75話 すてーたす
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津田伊織
魔法 :炎◼️法
:◼️魔闇
スキル :言語理解
:剣術
:曲刀術
:炎耐性
:体術
:喰魔
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「うぉー、スキル増えてる!」
「僕も人のこと言えないけどモンスターと戦闘中だからね」
「わかってるって」
蒼介がなんか言っているので適当に返す。なんか魔法のところバグってね?
いや、それよりも剣術とか曲刀術とか持ってたんだな。黒帯に武器を使ってれば手に入れるだけなら簡単とは聞いていたがまさか持っていたとはその割には上手くないけど。まぁ、それは仕方ない。
というのも、同じスキルにもレベルが存在するらしい。スキルにレベルなんてものは書かれていないが黒帯曰く、同じスキルを持っているものでも効果に差が出てくるんだと。
例えば俺と黒帯が同じ剣術スキルを持っていたとしても表示こそされないがレベル1とレベル10という事もあるのだそう。
それでもスキルのレベルは特訓すれば上がるらしいので別に低いからと言ってそこで終わりなわけではないらしい。そんなことを聞いてそれじゃあ普通にやるのとスキルとあんま変わんなくねとも思ったがどうやらそこは流石スキルということで上達速度は段違いらしい。そんな上達速度をもってしても俺は剣術下手くそなわけだが。
そして、炎耐性。最近段々と闇炎を使う時にダメージ受けなくなったなとか思っていたらコイツだったか。と言ってもダメージゼロってわけにはいかないのだが。
次は喰魔?いや、字面から喰魔石が関係している事はわかるが。スキルは使おうと思って使うらしいが発動しないし。まぁ、パッシブスキルしか持ってないからその感覚は分からないけど。
ちなみにだが身体強化はスキルじゃない、というより普通は手に入れるものらしい。と言うか話を聞く限り曲がりなりにも習得している俺が持ってないのがおかしいらしい。普通は身体強化が使えれば持ってるものだと言う。
「それにしてもスキルがいっぱいあるといいな。そう言えばふたりとも幾つスキル持ってるの?」
ふと気になり2人に聞く。この2人も結構モンスターとかと戦ってるみたいだし多ければ10個くらい持ってるかもな。紗奈なんて知らないうちに魔法使える様になってたくらいだし。月魔法って何だよ!かっこいい。
「うーん、僕は……」
そう言いながら蒼介はステータスを開き数えている。……あれ?なんか長くね。数秒で終わるよね?なんか地味に時間がかかっている蒼介を見ながら疑問を抱く。
「えーと、全部で32個」
「え?32個?」
「うん、ちょっと少ないかな?」
いや少なくねぇよ。クソ多いじゃん!
「伊織君、私は48個」
お前もかよ紗奈。俺がおかしいのか?
「伊織君は何個?」
「……6個」
「「え?」」
2人が同時に物凄く驚いた様な顔をする。そんな顔しなくてもいいだろ。
「だから、6個って」
つーか蒼介は俺のステータス見ただろ。
「そ、そうなんだ。……スキルが全てじゃないよ」
「伊織君はスキルがなくてもこんなに強いんだね」
紗奈は……多分褒めてくれてる。でも蒼介、お前はダメだ。明らかに感情が伝わってくる。
『魔力反応確認!別個体が来ます!』
今まで黙っていたオペレーターが叫ぶ。よく考えたらこの人よく黙ってたな。戦闘せずにステータス確認してる様なやつがいたら俺だったら注意する。
「ベルレェ!」
ゴートマンも何かに気づいた様に叫ぶ。瞬間、ゴートマンに光る石がコツンとあたり光に包まれて消える。
「は!?」
どこ行った!?
「伊織君後ろ!」
紗奈の声が聞こえ反射的に後方へ刀を抜き放つ。鈍い金属音が聞こえ数歩ほど吹っ飛ばされる。
砂煙を上げながらその場に止まり、襲撃してきた犯人の顔を見る。それは先ほどまで鎖に拘束されていた羊面だった。
多分さっきのは転移だ。それはわかる。転移のアイテム自体はそこまで入手は難しくない。ネストがゲートの他に長距離移動によく用いる魔道具と違い、短距離転移アイテムはダンジョンに入れば入手する事は割と簡単だ。
だが、誰が?
考えられるのは全てのリーダー格に指示を飛ばしているであろう、沖田イオ。
いや、そんな事よりも何処から転移アイテムを使っているかだ。さっきはゴートマンだったから良かったが俺たちが分断されればモンスターの数が圧倒的に多いこのダンジョンでは不利になる。そもそも、本来ならばここにはパーティを組んでくるのが普通なのだ。そして、そこには回復役は必要になってくる。モンスターを倒して傷の回復を狙っていても、もし致命的なダメージを受けた場合どうにもならない。そんな場所で分断されたらキツくなる。
「先ずはどこから狙ってき――」
その瞬間皆が消えた。いや、俺が転移したんだ。だが、おかしい。アイテムは使われていない先ほどのゴートマンを見るに、あのアイテムは対象に当てないと発動しない。
なら何故?
そんな疑問が俺を襲った。




