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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第六章 鳥取ダンジョン編
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74話 喧嘩するほど何とやら


 俺たちの攻撃はゴートマンに直撃した。


 だが。


「なっ!?」


「ベルレェェエエエ!!!!」


 ゴートマンは元気よく雄叫びをあげる。いや、実際元気なのだ。その白い毛皮を纏う体には傷ひとつついていないのだから。


 おいおい頑丈すぎるだろ、今の攻撃なら余波だけで牛を数メートル吹っ飛ばした上で怪我を負わせられるぞ。


「ごめん、伊織君ダメージ入らなかった」


「いや、俺のも入らなかったから気にすんな」


 何故か謝られるが折り合えずそう言っておく。


「ベルェェェ!!」


 ゴートマンが動き出そうとするが鎖に阻まれる。凍りついた鎖は皮膚を剥がす。


「なぁ、蒼介」


「なに?」


「いや、何で俺たちの攻撃効いてないのにお前の鎖で皮膚が簡単に剥がれてんの?」


 そうなのだ。あの鎖は魔法ではあるが皮膚が鎖にくっつき剥がれるのは氷が溶け水になりさらにまた凍りついたためだ。つまり魔法ですらない。そんな攻撃が魔法より強いとは考えにくい。


「さあ、魔法が効かないとなると魔法に耐性があるとかだと思うけど」


「あれ、でもお前さっき鑑定してたじゃんそういうの分からんの?」


 さっき鑑定したときに一緒に見たと思ったのだが。


「ああ、レジストされたから見れなかったんだよ、まぁ、魔力を消費すれば見れなくもないけどそこまでする相手だとは思わなかっから」


「ちなみに、消費量はどれくらい?」


「大体今回の場合で言うと10.25倍くらい」


「マジか……計算早」


「いやそこじゃないでしょ。それに自分の魔力量を大雑把でも数値に変換して考えてみればすぐ出るよ」


 そんなこと言われても計算できないし、それに自分の魔力量は日が経つにつれて段々増えてきてるから限界まで使わない限りもう分からん。体感だと階級試験からでも倍近く増えてる気がするし。と言っても魔力があってもそんな強い攻撃は出ないけど。


 簡単な話タンクがいくら大きくなっても蛇口を変えなければ一気に出る量は同じだ。まぁ、暗雨の様にちょっといじることくらいは出来るけど。

  

「でも、例えば俺を鑑定したらどれくらいかかるんだ?」


 俺は使ったことないので知らないが消費量はどうなんだろう。


「うーん、別にほぼ消費しないかな。抵抗のない状態の人間なら魔力はほぼ減らないよ」


「じゃあ、試しに俺にやってくれよ」


「まぁ、いいけど、ステータス見ればよくない?……『鑑定』」


「いや、ステータス確かなんか道具がないと……」


「もしかして聞いてないの?……どれどれ、伊織のステータスはっと――ッ!?」


「どした?」


 なんかいきなり固まった。


「い、いや、何でもないよ。スキルが増えてるなと思っただけ」


 そういいながらステータスは随分昔に出せる様になったと聞かされた。


「それじゃ、『ステータスオープン』」

















 七つの魔力反応の一つを目指し動いていた男は止まる。目の前には豚人間。


「……オークってやつか」


 顔は豚それが二足歩行で走ってくる。見慣れぬものには随分と奇妙な光景だった。


「ドアノック拳法ッ!」


 男――徳備多々良は構えた。

















 頭から両断された牛は血を吹き倒れる。


「ふぅ……人型だと倒しにくいですね」


 幾ら牛顔と言っても人型、動物を殺すのも躊躇われる世界で生きていた彼女には幾ら世界が変わろうとも好んで駆除する様なものではなかった。


 それに今回は街に溢れない様にするために多くのモンスターを排除しなければならない。少し憂鬱だと思う。


 だがそれは憂鬱に思うだけにとどまっていた。別に好き好んで殺すこともないがそれでもそれが積み重なりストレスになることもない。


 それゆえに、モンスターを何百、何千も殺しておきながら可哀想だと思い続けられるのが彼女――イイツであった。


「イイツちゃん、お茶いる?」


「イイツちゃん、おにぎりいる?」


 そんなイイツに一緒に行動している2人の男、ギオとヤチが話しかけるがそれに返事をする前に1人の男が口を挟む。


「じゃあ、俺がもらうわ」


 そう言って2人からおにぎりとお茶を取り上げる男。


「「あ!?おい!」」


 2人は息を合わせた様に反応するが既におにぎりとお茶は男――具谷(グヤ)の腹の中だった。そして、文句を言おうといた2人にはまあまあとグヤは宥めながらペットボトルとおにぎりを包んでいたゴミを渡す。


「はい、これ」


「「おい!返せ!今すぐ吐き出せ!」」


 そんな3人のやり取りを見ながらイイツは微笑んでいたのだった。

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