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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第六章 鳥取ダンジョン編
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70話 初めては冒険、慣れれば日常


 ネストから送られてきた沖田イオの詳細を確認しながら俺たちは街中を歩いていたのだが1時間たったあたりで一度休憩する事にした。俺たちは身体能力が上がっているが詩は一般人だ、歩きっぱなしだと疲れるだろう。そう思い詩を見やるが当の本人は大して気にした様子もなく先程コンビニで買ったフライドチキンを食べている。


「どうしたのお兄ちゃん?もしかしてコレ欲しいの?」


 俺が見ていたのが気になったのかそんなことを聞いてくる。


「別に要らないけど。そんな事よりお前さっきから次から次へと買って食べてるけど大丈夫か?」


 文化祭の時のこともあるし別に驚きはしないが良く入るものだなと思う。家ではそんな素振りを見せないが普段の量でも腹減ったりするのだろうか?


「沢山食べてるけど普段の飯足りてるのか?」


「ん?足りてるよ。沢山食べてるのは外行って食べ物見るとお腹が空くからだし。……ほらあれだよ何とかは別腹って言うでしょ」


「その何とかには少なくともフライドチキンは入ってないだろうけどな」


 まぁ、兎に角普段お腹が空いてて我慢してないのなら良かった。別に気を遣って嘘をついている訳でも無さそうだし。


「俺も喉乾いたしコーヒーくらい買おうかな」


 ふと思い口に出す。丁度今はコンビニの目の前だ。一応は隅によっているが屯しているのは邪魔なりかねないからさっさと買って離れた方がいいかもしれない。


 入店してレジに向かおうとすると詩に声をかけられる。


「詩も飲み物欲しい!」


 買ってとばかりにこちらを見るがお前の方が俺より小遣いを貰っているだろう。まぁいいかと思いつつ歌の持っていたペットボトルを受け取ってレジに行きコーヒーも頼む。カップを受け取り退くと次の客が入っていたのを横に見ながらカップに注ぎに行く。


 一見コミュ障で店員に話しかけれなそうな俺だがコレばかりは慣れている為平気だ。ちなみにコーヒー以外は頼めない。


 少し待った後カップを取り出す様に画面に映し出された文字に従いカップをとって蓋をはめる。すぐそばのドアから出るとすぐにペットボトルをひったくられる。


「んぐ、んぐ、ぷはぁ!……あ、お兄ちゃんありがとね」


 ひったくったお茶を豪快に飲んでから今思い出したかの様にお礼を言う妹から目を外しコーヒーを啜る。


「あち」


 流石に熱かった。飲み口を見ると湯気が茫々と立っている。毎回思うがもらってすぐ飲めるやつとかいるのだろうか?


 俺は一旦諦めコーヒーを右手に持ちながら一旦店から離れた。
















「帰っていいかなぁ?」


「ダメだよ。仮にもコレは【Nest】からの仕事なんだから」


 もう何回目かわからない俺の呟きにもう何回目かわからない蒼介の言葉が返ってくる。


 あれからかれこれさらに1時間経っていた。こんな広い中本気で見つかるとは思わないが身体の疲労がないとは言え時間の経過とともに疲れてくる。主に精神的に。


「ん?」


 とそこで端末に着信が入る。小刻みに震えた端末を取り出し内容を確認する。


「伊織、見た?」


 蒼介が顔を見て聞いてくる。


「ああ、やばいなコレは」


 端末にはモンスターの活性化による被害の為近くにいる三級以上の者たちに向けて対処する様に出ていた。丁度目的地からはそれ程遠くない。


 モンスターが活動している危険区域すぐそこだ。前回の牛狩りで場所は正確に覚えている。


「……詩」


 そう声をかけると頷いてお店に入っているとだけ残して離れていった。あらかじめ詩にはこの様な事になった際は離れている様に言って約束してあった。黒帯には少し気をつける様に言われていので詩に話していたがそれが功を奏した様だ。


 そして俺たちは危険区域に向かいながら改めて届いた内容を確認する。


 まず起こったのは急激な危険区域内での魔素濃度の増加。そしてそれが関係しているのか分からないがモンスターたちの更なる活性化を確認しているらしい。


 ちなみに俺が狩っていた牛も活発化の影響で出てきていたやつだ。


 危険区域はダンジョンであり周囲50メートルまでしか出てこなく、その周囲もある程度は人を配置したりして対策はされているが今回の活発化は少し様子が違う様だし気をつける必要がありそうだ。


 そう考えながら足を動かした。

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