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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第六章 鳥取ダンジョン編
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65話 レッスンわん

短いです


 一面、真っ白で殺風景な部屋で俺は今ボロい服を着たオッサンと対面していた。黒帯の服は前回と同じもののようだが大丈夫なのだろうか?偶々同じ服ということも考えられるが服がボロいだけあってあまり信用できない。ダンディではあるものの身だしなみはだらし無くその髭の生え放題な顎を触って思案した素振りを見せる。


「津田、お前身体強化が下手だろうからそこから始めるか」


 いきなりポーズを解いて話しかけてきたので若干反応に遅れながらも返事をする。


「あー、でもその前にお前の場合体内の魔力の操作からだな」


 確かにそれが未だ上手く出来ないのだからその技術の応用である身体強化は後回しだろう。


「じゃあ、まずやってみろ。今も意識してない間は少なからず漏れている」


 蒼介に魔力が漏れているせいで威圧感を与え人が寄ってこないと言われてから心がけるようにしてはいたがまだまだ技術は不足している。それと魔力抑えても人は寄ってこなかった。最近は喋れる奴も増えたが気を抜いた時に魔力に当てないように気をつけないとな。これでまたぼっちはやだ。


「じゃ、いきます」


 まずは集中。すると普段から感じている魔力がより強く感じる。そして同時に体から霧散しているのも。それをまず抑える。初めは少しずつ、ゆっくりそして段々強めていく。


「――っはぁ」


 ダメだ。完全に抑えようとすると直ぐに限界がくる。人体に影響がない程度なら漏れていてもオッケーなら普段日常でも出来るのだが。


「津田、お前はなんて言うか多分やり方が違う」


 そばで見ていた黒帯はそんな事を言ってくる。正直やり方も何もないような気がするのだが。


「魔力を抑えると言ったが厳密には少し違う。抑え込むんじゃなくて溢れないようにするんだ」


「というと?」


「魔力は体内を血のように循環している。だが魔力のそれは血管のように管ではない。例えるなら川だ。魔力は川を流れる水の如く体内を循環している。そしてその川は血管のように完全に閉ざされているわけではない。流れているものが荒々しく波をたてこぼれ落ちれば氾濫する。だから魔力を抑えるということは押さえつけるわけではなく魔力の波をたてないようにする事だ」


 要は押さえつけるだけじゃダメだって事か。つっても川か。よくわからないが何はともあれ試すべきだろう。体を流れる魔力を川を流れる水だと仮定する。まずは先ほどまで意識的に抑えていた魔力を元に戻す。と言っても完全に垂れ流しているわけではなく、ある一定までは無意識下で抑えられている。多分今の俺の魔力は荒れ狂い氾濫している。そこから波を抑え穏やかにしていく。何となくイメージだが少しづつ治まっていく気がする。それにイメージは大事だ。魔法の行使の際にも必要になるし多分これにも関係はあるだろう。


「っはぁ……」


 とは言っても簡単に出来るわけでもないらしい。いつの間にか、かいていた汗を拭い息を整える。動かなくても意外と体力は使われる。


「津田、さっきより出来ている」


「本当ですか?」


「ああ、お前の力が先ほどより僅かだが抑えられている」


 今のところキツくもないしこれを続けていけば出来るようになりそうだ。そんなこんなで俺は修行(多分)に励んだ。

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