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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第六章 鳥取ダンジョン編
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64話 おっさんといっしょ


「……はぁ、はぁ、はぁ」


 膝に手をつけながら酸素を取り込む。


 あたらねぇ。かれこれ30分は全力で動き続けて攻撃していたが掴まれたり避けられたりするばかりで全くと言っていいほど歯が立たない。このオッサン強すぎる。


「……もう終わりか?」


 どうする?闇炎も効かないしそもそもスピードが足りない。そのせいであんなにも隙だらけで立っていても一撃も当たらない。どれだけ攻撃しても相手が疲れる様子はないしそれより先にもうこっちが限界に近い。


「クッソ」


 俺は地面を蹴りまた前に踏み出す。身体は限界に近く最初の頃のように満足に動かないがそれで良い。とにかく一撃入れる。


「おい、ただ突っ込んできても意味がないぞ」


 相手の目の前まで迫り少し前傾の態勢から刀を振り上げるが先ほどまでの戦闘で避けられるのはわかっている。だからその瞬間足から腐喰を使う。もちろん足の裏から炎を出すなんてことは俺には出来ない。だから既に垂れ流している炎に腐喰を載せる。出力を上げ一気に床を喰らい尽くし地面を脆くする。


「――ッ」


 若干足元が悪くなりこれで向こうにも隙が生まれるだろう。そこに叩き込――


 刀が止まる。


 当たり前だ。黒帯が掴んでいるのだから。いや、まて、足場を悪くして隙を生ませた筈だろ?疑問を抱き足に目を向ける。


 そんな削れてねぇ。
















「今日はこれで終わりにしよう」


 あれから何度も繰り返し、俺が動けなくなったところで黒帯のは言う。ボロボロの俺に対し黒帯は全くの無傷。服自体はボロいが。


「わかりました」


 取り敢えず返事をしておく。ここで反発する必要もないしな。


「それで、次っていつ何ですか?」


 こう言うのはすぐ聞くに限る。なんか家帰って思い出してそわそわするのはやだ。もしかしたら後で言うかもしれないがお互い伝え忘れたとかならない方が良いだろうし。


「あー、そうだな……それはその時に連絡する」


「……そうですか」


 そうしてオッサンとメッセージアプリで連絡先を交換した。ヤッベ、家族と紗奈と蒼介以外のやつが増えた。この数字が変わる日が来るとは。いや、でも待て、オッサンとどう話すんだ?同級生ともまともに話したことないのに。


「あ、じゃあ、今日はありがとうございました」


 礼を言い退出する。もちろん帰っていいと言われたからだ。一応説明はあったが大部分は後日伝えられるようでその時まで待ってくれだそう。


「ああ、気をつけて帰れよ」


 このオッサンぶっきらぼうだけどなんか気遣いを感じられるな。さっきも終わった後に飲み物出してくれたり何だったりと色々としてくれた。


 再度失礼しますとだけ言った俺はその場を離れた。
















「それで伊織君どうだったの?」


 夕食中紗奈に訊かれ箸を止める。毎日聞かれるので今日が特別と言うわけではない。一日中紗奈といた日にも言われるのでその時は一応内容ではなく感想を言っている。と言っても出かけることなんてないのでそもそも内容なんてないに等しく感想なんてほぼ出てはこないのだが。


「まぁ、多分良い人だった」


「それなら良かった」


 紗奈は安心したようなそぶりを見せる。これは今日会う前にも言われた。その時は性別すら分からなかったので何も答えることは出来なかったがそこまで気になることでもないだろうと思う。


「そんなに気になるのか?」


「だって教えてもらうのは良い人の方がいいでしょ」


「まぁ、そうだな」


 それもそうだと思い食事を再開する。相変わらず美味いなと思いながら美味しく頂いた。
















 


 数日後呼び出された俺はまたネストに来ていた。理由は簡単、黒帯に呼び出されたからだ。ちなみにメッセージは何事もなかった。よく考えたら事務的なものだったので要件を確認してその返答を返すだけだった。


「来たか」


 ドアを開けると――正確には一人でに開くとすぐにガタイのいいイケおじは声をかけて来た。


「こんにちは」


 適当に挨拶をして部屋の隅に荷物を置く。部屋番号なんかが違うものの前回と作りは変わらない。前回より勝手がわかっているのでスムーズに支度を終わらせる。


「よし、では始めよう」


「お願いします」


 オッサンとの楽しいレッスンが始まった。

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