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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第六章 鳥取ダンジョン編
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62話 オンクン


 放課後学校を終えた俺はネスト本部に来ていた。その為今日は制服のままである。


 あいささんに紹介して貰った人に会いに来たのだが、詳細を聞くまでが長かった。電話が切られて掛け直したが出ることはなく結局聞けたのは次の日になってからだった。


 何でもその人の名前?は黒帯(コクタイ)と言うらしい。ちなみにクロオビではない。何とも紛らわしい名前だ。


 そんな事を考えていると指定の場所に着く。あいささんに教えられた場所はネスト内の施設であるトレーニングルームだった。


 ネストの施設内でも魔法の使用が全面的に許可されている場所の一つがこのトレーニングルームだ。と言っても俺は利用したことがなく余り詳しくは知らないが。


 送られてきた部屋番号を二、三度確認しているうちに扉が自動で開く。ネストの施設内ではカードを検出して扉なんかのロックは自動で開く。その為、部屋が間違っている可能性はないに等しいが、そんな事より何度も確認していたのは心の準備をしていたからである。こう、勝手に開けられるとなんとも言えない気分になる。


 気分以前に近未来チックなシステムにも慣れないな、などと思いながら否応なく空いてしまった扉の向こうへ視線を向ける。


 あれ、こう言う時なんて言うんだっけ?えーと、職員室入る時とかは名前言って用件言って……。いや、まて、職員室で自分の名前言ってるやつ見たことないぞ。いや、俺が職員室に行く機会が少ないから知らないのか?くっそ、こんな時に経験不足が……(この間0.2秒)


「……お前が津田伊織か?」


 頭を必死に回転させていると随分と渋い声が聞こえて来る。いや、なにぶんおかしい事ではない、どう見ても目の前に立っているおっさんは見た目も渋い。よく考えたら性別なんかは聞いてなかったから綺麗なお姉さんとかが出てくると思ってたか違ったようだ。


「あ、はい、えっと、津田伊織です。黒帯さんですか?」


「ああ、そうだ。【黒帯】は本名じゃないが俺のことであってる」


 流石に本名だとは思ってなかったが二つなとかだろうか?俺も欲しいな。やっぱ炎使うし【炎帝】とか?


「お前の指導をするにあたってお前のことを知らなきゃならない」


「え、ええ」


「まずは、俺に攻撃を仕掛けてこい。全力でだ」


 全力?いや、いくらこの人が強くても怪我するんじゃ……


「……良いんですか?」


「ああ、気にするな」


 始めるぞとだけ言い残して黒帯は少し距離を空ける。


「さあ、掛かってこい」


 そうは言うが黒帯は武器を持つ様子もない。それに防具もなし。防具を着ない俺が言うのもなんだが素手で相手をすると言うことは受けに回ると言うことだろう、なら防具くらい着た方が良いのではないのかと思うのだが。黒帯が来ているのは防御力皆無の普通の私服だ。普通と言うには少し語弊があるような気もする。例えば黒帯の履いているズボン――ジーンズ一つとってもなんて言うか……ボロい。多分あれは市販のダメージジーンズとかじゃ無い。長年履き続けて出来た天然物だ。


 とまあ、考えるのはここまでにして俺も構える。俺が刀を出そうか迷っていると武器も使えと言われたので装備する。


「始めの合図とかありますか?」


「お前のタイミングでいいぞ」


 俺の問いにそう答える黒帯。随分余裕そうじゃ無いか。だが、相手が油断してようがして無かろうがする事は変わらない。


「じゃ、行きます!」


 地面を蹴ると同時に刀を振り抜く。刀は一直線にそのデカい体に吸い込まれるように迫っていく。

 

 先ほどこの部屋についての説明を受けた。どうやらこの部屋の中では相手に攻撃を放っても当たる寸前に魔力障壁が展開し攻撃から守るらしい。つまり、手加減の必要もなく殺してしまう心配もない。


 ならば。


 殺す気で。


 狙うは――首!


「ハァッ!」


 俺の腕で振るわれた刀をさらに炎で加速する。


 炎の光を僅かに反射してうすらとオレンジ色になった、刀が首元へと届く。


 そして――


「おい、さっき言っただろ。本気出しても大丈夫だって。殺してしまうかもって躊躇ってんのか?」


 俺の放った一撃は最も(いとも)簡単に止められていた。


 たった2本の指で。


 俺が躊躇してる?ちがう。今のは本気だった。トドメを刺すつもりで放った一撃だ。


 人差し指と親指で挟まれていた刀は俺の攻撃の勢いが止まると離される。


「――ッ」


 その場から飛び退きそうになる体をなんとか止まらせ地面を蹴る。思わず引きそうになるが相手が攻撃してこないのはわかっている。それは最初に説明された。


 ならば――


「《闇炎》ッ!!」


 無意識のうちに刀に込めた闇炎を相手に叩き込む。慣れてきたのか今ではこれを発動するだけで無意識のうちに刀に炎を纏うことのできるようになっていた。


 闇炎により刀の速度、攻撃を力を上げ様々な方向、角度から攻撃を仕掛ける。


 だが、全て見切られ、避けられ、勢いを殺される。


 それを何度も何度も繰り返していた。

風邪治ったとか思ってたら熱が出てまた寝込んでた。

もうちょっとすると更新の頻度が戻ると思います。

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