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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第六章 鳥取ダンジョン編
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61話 ほうれんそう


 体が重い。


 頭が重い。


 思考がまとまらない。


 どう言うとこだ?


 いや、体が重いのは重力まほ――


「お兄ちゃんいつまでそうしてるの?食べ終わったならお皿運んでよ」


 今日は詩が登板で食器を洗うという事こともあってテーブルに突っ伏しているとキッチンの方から声が聞こえてくる。


「す、すまん」


 下げていた顔を上げて立ち上がり食器を重ねる。出来るだけ茶碗なんかのあまり汚れてない皿を下にして汁物やその他の汚れの目立つ食器を上にして重ねて、運んでいく。


「お兄ちゃん、そこ置いて」


 紗奈が流しの水を止めて洗剤のついた手をどけ指示してくる。俺は空いたスペースに皿を置くとすぐさま撤退した。キッチンに余りいると追い出されるし何より邪魔になる。


「はぁ」


 再度椅子に座るとまたため息が出る。やはり何度見てもネストで貰ったカードに新しく追加されてされていた項目、【rank】には『――』となっており何も書かれていない。


「どうしたの?伊織君」


 先ほどまで席を立っていた紗奈はいつの間にか戻っていたのか俺の顔を除いてくる。


「いや、なんていうかさ。ランキングっていうから期待したのにこれはないっていうかさ」


 先ほどまで地上波――つまり日本全国で、もっと言えばネットでも配信していて注目されているランキング、その発表が行われていたのだが、そこで俺の名前は呼ばれなかった。それはまだ良かった。良く考えてみればランキングは100位までしか番組内では発表されず、ダンジョン攻略などの結果などで決まる。そのため、あまりダンジョンに入っていない自分がまさかベスト100に入っているとは思ってない。


 思っていないのだが――


「せめて順位くらい教えてくれよ」


「仕方ないよ伊織君、一部の人は例外としてランキングから名前が弾かれちゃうんだから」


 紗奈のいう通り今回のランキングには例外なるものがあり名前が出ない。と言うのもこのランキングどうやら15歳以上――正確には15歳になる歳の4月1日にならないと載らないらしいのだ。理由は安全性がどうたらと言っていたが。その割にはネストに入れるのは12歳からとよく分からない。


「しゃあないか……」


 諦めてカードをしまい、代わりに携帯を取り出す。電源ボタンに触れる前に勝手に光を発し時間を表示する。と、その時スマホから軽快な音楽が鳴り始める。とは言っても俺のではなく対面に座っている紗奈のものの様だが。


 紗奈は立ち上がり少し離れた場所で電話にでる。


「もしもし」


『――――』


「わかった」


 紗奈はそう言って耳に当てていた携帯を話しこちらに渡してくる。何故に?


「【秋沙】ちゃんさんからだって」


 この奇妙な呼び方だが、紗奈があいささんのことを頑なに注意してもちゃん付で呼んだ結果こうなったらしい。携帯を受け取り耳に当てる。


「もしもし」


『あ!おそい!』


 耳に当てて返事をした瞬間結構な音量で文句を申し立ててくる。正直、こっちが声の音量に文句を言いたい。


「で、あいささんはどうして電話を?」


 別に夜中と言うほどでもないし時間的な問題があるわけじゃないが、俺たちが話したのは病室の時の一回だけだし遊びに誘い誘われる様な関係では無いはずだ。未だ友達ともした事ないのに初めてが幼女なのは些か問題がある様な気がする。


『あのね!あなた前に魔法とかの話してくれたでしょ?それで教えてくれる人がいないか探してるって!』


 確かに言った覚えはある。俺は試験の時も思ったが魔法に関しての知識が少なすぎる。例えば魔力を抑える技法だったり身体強化だったりを知ったのは最近だ。それに加えて刀の振り方は独学と言えるし素人の域は出ない。そんな事を思って洩らした一言だったが、わざわざこの幼女は覚えていたのだろうか?


 だがこれを話していたのは蒼介とでその時この幼女は紗奈と遊んでいたはずなのだが。なんか怖い。


「確かに言ったけど、それがどうかしたのか?」


『ふふん、何と、わたし探してみたらやってくれる人見つけちゃったの!』


 何故か得意げだ。人がふと、こぼした一言を聞いてここまで行動できるのはもちろん凄いが。


「それは有難いんだが、いいのか?やっぱ迷惑だし――」


『凄くノリノリだったよ!お兄ちゃんのことも知ってるみたいで!じゃあ、伝えたからね!』


 俺が断ろうとする前に用件を一方的に言ってきた幼女は電話を切ってしまう。知らん人とコミュニケーションとるの苦手だから身近な人を探してたのに。今の今まで誰にも教えて貰ってなかったのはこの呪いのせいでもあった。


「はぁ、覚悟決めるか……」


 今までの俺なら覚悟なんか決めずに現実逃避をして明日の夕飯の献立(作るとは言ってない)を決めているところだが、最近クラスメイトと会話ができる様になった俺は一味違う。


「よし!……あ」


 あの幼女重要なこと言い忘れやがった。このままだと性別どころか名前すらわかんねぇよ。


 紗奈に断りを入れてからまた電話をかけ直す。


 次に電話が通じたのは次の日になってからだった。何でも、夜は8時には寝るんだと。

寝込んでました(更新出来なかった言い訳)

感染症ではなく、普通の風邪ですけど。

学校に行っても話す友達も居ないしそれ以外で家出ないのにどこで貰ってきたか謎。

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