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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第五章 青鷺学園高等学校文化祭見学編
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55話 先導者は自分のペースで出来る


 フィールドには医務室があり、模擬戦での負傷者がいたら運ばれるらしい。ここには既存の処置だけでなく魔法なんかの治癒能力で負傷者を癒してくれるらしい。


 医務室に置いておる病床は3つあるが、気を失うことなどがなければささっと治して出ていくのであまり出番はないらしい。


 そして、らしいらしいと言いながらも出番の少ない病床を使っている俺はと言うと、突然の展開に頭が回らないでいた。とにかく、一緒にきたみんながいる事くらいしかわからない。


 なんか変な夢でも見てたのか知らないが気分もあまり優れないし。


「先ずは、謝らないといけない事があるんだ」


 深刻そうな顔をして謝って来たのは、学園内ランキング第6位の色葉葉月だ。先ほどまで俺と闘っていた彼女だがどうしたのだろうか?まさか、勝ってしまって御免なさいとか言われるのだろうか?実際勝負どうなったのか知らないが、ここで寝ていると言う事は……


「私は貴方のことを利用したんだ」


 利用?


「私はある人に頼まれて、貴方に勝負を仕掛けた」















「申し訳ありません、出入り口の封鎖をしていましたが相間には逃げられてしまいました」


 キイナは頭を下げる。


「いいよ、いいよ、キイナちゃんはがんばったんだよね、仕方ないよ」


 頭を下げられた【鴉】は戦闘時とは別人のような年相応な笑みを返す。黒くなった瞳も今は鳴りを顰め蒼に戻っている。


「あ、思い出した!えーと、りよちゃんのやつ伝えといてね!」


 閃いたとばかりにキイナに言伝を伝える。


「……わかりました」


「えーと、あとは〜、【(こうのとり)】に聞いてね!連絡はしとくから」


「わかりました」


「そんなに気にしちゃダメだよ、元々かいはつぶは戦う人少ないんだから」


 先ほどから暗くなる一方のキイナの顔を見て【鴉】が言う。


「いえ、それはこちらから申し出て……いえ、そうですね。気を取り直して仕事に励みます」


 いつの間にか履いていた弱音。相手は【Nest】のトップ、とは言えまだ子供だ。そんな子供にいつまでもこんな事は言ってられないと思いそう言う。


「そうだよ!がんばろーね!」


 そう言った【鴉】はたこ焼き〜と言いながら走っていった。


















「んで、その喰魔石の共鳴をするために俺と、ってことですか?」


「そういうこと、本当にごめん」


 再度謝られるが。


「別に気にしてませんよ、俺がやってみたくてやっただけですから」


 実際、強制されたわけでも何でもなく自分が決めてした事だ。


「でも大丈夫なんですか?その相間って人、本当は退学を阻止することもできる立場じゃないし、さっき逃げちゃったんでしょ」


 先ほどの話で相間は最近入ったばかりの新人でしかも今回のことでネストに追われる身になったらしい。退学の件はどうするのか気になった。


「それは、何とかしてみるよ」


「何とかって?」


 まだ決まってないからこそ、そう言ったんだろうが反射的に聞いてしまう。


「そ、それは……」


 その時ドアが叩かれる。誰か来たのか?


「どうぞ」


 紗奈が先んじて返事をする。ドアが開き人が入ってくる。


「……突然で申し訳ない、開発部の者よ」


 入って来たのは女性、ウェーブ鮮やかな赤い髪を短く切り揃えている。


 開発部と言うとさっきの相間と関係がありそうだが。


「葉月さんとはさっき話したけど一応自己紹介を……【Nest】の開発部にいる澳塩紀伊奈、よろしく」


 キイナさんというらしい。


「お話中悪いけど、葉月さん借りるわね、夜夜田さんのことで……」


 さっきの退学しそうな子か。


「なら、この人たちにもお願いします」


 葉月はキイナに向かってそう言う。


「いいの?まぁ、悪い話でもないからいいか、結果から言うと夜夜田莉世の退学は取り消しになった」


「……え?」


 色葉が呆けたような顔になるがキイナは続ける。


「元々は合格の筈だったのと此方も配慮が足りなかったという事らしいわ」


「そんな簡単に決めれる事なんですか?」


 色葉がそんなことを言う。もちろん嬉しいが気になる点が多すぎると言うことだろう。


「【Nest】トップの【鴉】さんが決めたことよ」


 からす?


 トップ?


 それってボスってことか?でもいくら一番偉くても一存で決めれるなんてどんな権力してるんだ?


「そうですか」


「それと、夜夜田には伝えてなかったから代わりに伝えて来てくれない?」


 そうキイナが聴くと大きく首を縦に振り医務室を出ていった。


 もう、用は済んで帰るのかと思ったが。


「じゃあ、津田伊織君、君には幾つかの質問に答えてもらいたいんだけど」


 まだ続くらしい。

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