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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第五章 青鷺学園高等学校文化祭見学編
53/193

52話 白と


『開始』

 

 アナウンスの合図と共に前に出る。今回は模擬戦なのでお互いの距離は100メートルしか離れていない。

 

「はぁっ!」

 

 いつもの様に炎で自分を加速接近したところで更に刀を加速して攻撃をする。


 当たる寸前で加速する攻撃、初見では防ぐのは難しいだろう。

 

「ふっ」

 

 だが、来るのをわかっていたかのように攻撃は色葉の刀によって防がれる。


 先ほどアデゥシロイとの戦闘の動画を見たと言っていた。多分その時に使った技はあちらに知られている。


 俺の攻撃を防いだ刀は全体的に白の印象を与える彼女だが刀も同様に白が基調になっている。


 再度打ち込む。上下左右と角度を変え打ち込むが防がれる。


 こちらが怯んだ瞬間に放たれた攻撃を何とかよけ、その隙に彼女の刀が俺に迫るが何とか刀を加速させ間に合わせる。


 そのままの勢いでさらに加速。


 連続で攻撃する。


 振り上げた刀を炎で加速してスピードを上げ下げたところからさらに炎を使い無理やり方向を変える。


「――ッ、これでも追いつかないか」


 炎を最大限に活かしての攻撃だがそれでもまだ色葉の方が早い。


 お互いの攻撃がぶつかり衝撃を生みそれを利用し距離を取る。

















 


 

 葉月は驚いていた。目の前の少年――津田伊織は身体強化も使わずこちらに攻撃について来ていた。

 

 何故身体強化を使わないのかは謎だが。彼は喰魔に頼らずとも強いと言う事はわかる。


 足りないスピード、攻撃力を魔法で補いこちらに合わせてきている。

 

 若干強く攻撃をぶつけ距離を取る。

 

「流石だね」

 

「色葉さんの方が凄いですよ」

 

 素直に褒めるとそんなことを言われる。こちらもまだ本気ではないとは言え身体強化なしの相手に言われたくはない。

 

 とは言っても今回の目的は勝ち負けではなく相手の喰魔を引き出すことだ。その上で喰魔の共鳴が必要となってくるが葉月にとっては存在しか知らない様なもので実際に自分がやったり間近で見た事はない。実際喰魔を持っている者は多くない。その為貴重だと言うことでもあるのだが。

 と、考え事はそこまでにして再度刀を構える。
















「流石だね」


「色葉さんの方が凄いですよ」


 優位な相手に褒められてもな。本当に言われているのかも怪しい。だが今はそんな事よりスピードだ。炎の加速だけでは限界がある。考えはあるのだ。


 身体強化。


 身体強化はスキルに属し発動自体は難しいものではない。


 階級試験が終わった後身体強化の存在を知った俺は蒼介にやり方を教えて貰いに行った。


 やり方は意外と単純で簡単に言えば体の中での魔力の循環をする事だと言う。よく聞くような方法だが今の今まで試した事はなかった。


 と言う事で試してみたのだが。結論から言えば出来た。それも一発で出来たのだが。練度が低く戦闘中に使える程ではなかった。


 身体強化は長時間発動できるように修行するらしいが未だ出来ない俺は長時間の発動が出来ず練習中だ。


 だから使う気はなかったのだが、使わないわけにも行かないだろう。


 "身体強化"


 体内の魔力が全身に行き渡るように意識する。


「おー、身体強化使うんだね」


 彼女の刀が迫るが余裕で間に合わせる。


「そうだね、その方がいい」


 そう言った彼女の剣はさらに速くなる。本気じゃないとは思っていたが速すぎだろ。


 お互いの剣が空中に幾重にも残存を残してぶつかる。


 このままじゃお互い攻めきれないな。再び炎を纏う。このままさらにスピードを上げる。


 身体強化と魔法の併用は難しいが何とか維持する。


「練度はそれなりだけど速いね」


「そりゃどうもっ!」


 相手の攻撃にぶつけ相殺する。


「じゃこれはどうかな?」


 色葉は再度刀を構え直し一言。


「――《灼桜(シャオ)》ッ」


 そう呟くと刀身が熱と光を発し白く輝く。


「はっ!」


 攻撃が迫り刀で応戦する。色葉が刀を振るたびに白の光が桜のように散る。


 手に当たった白の光が腕を焼く。


「クッソ」


 だが、それなら此方も使えばいい。


「《闇炎(あんえん)》ッ!!」


 同時に溢れ出す炎と闇の魔力が空気を焦がす。


 闇炎を纏い相手の刀にぶつける。


 衝撃が走り黒と白が空中で舞う。


 その瞬間。


「――ッ」


 何かが反応した。


 打ち合うたびに鼓動が酷く大きくなる。


 ……何だこれ。


 頭もひどく重く今にも意識が――



















「……これ、で」


 津田伊織の変化を確認した時、色葉葉月も同様に意識が飛んだ。


 喰魔石の共鳴。


 未だ何故起こるかは明らかになっていないがそれが起きた時、二つの喰魔が現れる。

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