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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第五章 青鷺学園高等学校文化祭見学編
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49話 体育館の中の蛙


『それではまず囲碁将棋部からだ!囲碁と将棋は未経験であった彼だが半年の時を経てゲームの天才とまで呼ばれたこの男!』


 こんなデカい学校でも囲碁将棋部はくっついてるんだな。


『格ゲーのかげむー!』


 ゲームってそっちかよ。床から煙が噴き出し掻き消えるとともに男が姿を現す。目立つ金髪に女性もののコスプレ衣装を着てポーズをとる。


『ちなみに将棋囲碁どちらもいまだに未経験で部内では煙たがられている!』


 女装する気はさらさらないのか服以外は普段と同じなのだろう。骨格と足の開き具合で男っぽさが出ている。


 におさんの凄さがわかるな。


『続いて漫画研究部!漫画を初めて描いたのは小2の夏!その日から研鑽を重ねてきた!』


 今更だが運動部じゃないんだな。


『BLのぷすこ!』


 先ほどと同様の演出で姿を現す。こちらもコスプレだがかげむーとは雲泥の差だ。ピンク色の髪に白を基調としたセーラーを着ている。俺もこのキャラを知っているからわかるがかなり再現度が高いぞ。


 ぷすこが手を振ると男どもが湧く。俺一応手でも振るか。ノリ悪いのもどうかと思うし。


 手を振り上げようとして腕を掴まれる。


「伊織君どうしたの?手を上げようとして」


「紗奈さんこそどうしたの?俺の手を掴んで」


 紗奈は無言で笑う。


 俺は手を下ろした。


『彼女から一言、可愛い女の子は連絡先教えて、だそうです!』


『では試合を開始します!』


 2人が所定の位置へ着く。


『では!始め!』


 合図とともに2人が動き出す。


 かげむーが木刀を打ち込む。それをぷすこが舞う様に捌き攻撃を入れる。


 すげー。コスプレしたキャラの戦い方に合わせてきている。木刀を使う事以外はそのまんまだ。


 双方いい勝負をしている様に見えるが。多分これ魅せるための戦い方だな。一般客向けに派手に分かりやすくしている感じだ。


 仕方ない事なのかもしれないが少し期待が外れたな。もしかしたら他のところではちゃんとやっているのかもしれないが。








『――ではこれにて終了になります。漫画研究部、囲碁将棋部は新入部員を募集中です。そして、私からも、帰宅部は帰宅初心者でも大歓迎ですので是非是非入ってください』


 そんなこんなで模擬戦が終わり俺たちは外に出る事にした。









「なんか思ってたのと違かったね、お兄ちゃん」


 先ほどいた体育館を離れたところで詩がそう言う。


「戦闘経験がない詩でも分かるほどだったのか?さっきのは」


「多分他の一般の人にはバレてないと思うよ」


「詩ちゃんには才能があるかもね」


 ゆあがそう言う。

 

「何となく思っただけだよ」


 何か言い訳をする様に詩が言った。


「でも、ちゃんとやってる所は無いのか?」


 流石にさっきみたいなのばかり、なんて事はないだろうと思いそう言う。


「もしかしたら、本格的なのはこっちかもね」


 端末を見ていた蒼介は皆に学園内の地図を見せる。それにしてもでけぇな。


「此処にフィールドがあるらしいからもしかしたらそっちは本格的なのをやってるかもよ」


 蒼介が指を指しながら言う。フィールドと言うと階級試験の時のやつか。それならば魔法も使えるし派手な戦闘もできるだろう。


「じゃあそこ行こうよ!」


 と言う事で行くことになった。








 

 なったのだが……


「何故こうなった?」


 現在俺はフィールドの観客席ではなくまさにフィールドのど真ん中にいた。








「此処だね」


 建物に入るといつか見た様なゲートがあった。


「こんなんが有るのになんで体育館なんてあるんだ?」


 土地のことや使い勝手も考えるとフィールドの方がいいともうが。


「これ結構高いんだよ。それこそ体育館を幾つも作った方が良いくらいに。それに普通の体育ならフィールドよりやりやすいんじゃ無いかな?」


 体育館を幾つもって……いくらするんだ?とんでも技術を使ってるのは想像に難くないが……いや、というか逆に何処から金が出ているんだ?


「ゲートなんて初めて見たよ」


 ゆあがそんな事を言っている。たしかに俺も階級試験でしか見た事ないから普通珍しいんだろう。


 ゲートを潜ると階級試験の時とは違って観客席に出る。これだけ広いからどうやって見るのかと思ったが魔力が何かでできたモニターが浮かんでいる。


 人は先ほどの体育館の何倍もいるがフィールド自体が広いだけあってまだ空いている席がある。


 先ほどと同じ順に席に座る。どうやら途中からになってしまった様だ。


「凄いね!お兄ちゃん」


 詩がそう言うが実際凄いでは収まらないほどの戦闘が行われていた。魔法やスピードもそうだが何より技術が凄い。一瞬一瞬の間に的確な魔力コントロールや様々な技術が使われている。


「そうだな」


 だが()()()()()()


「蒼介、此処にいる奴らは学園内でどの位なんだ?」


「そうだね、此処で言うと――」


此処(学園)で言うと彼らは来月にも退学する生徒だ」


 そこでやっと気配に気付いた。


 誰だ?


「初めまして津田伊織君」

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