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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第五章 青鷺学園高等学校文化祭見学編
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45話 俺TUEEE


「先ずは二人組を組んでもらう」


 体育教師の菊井がそう言うと皆が移動する。……嫌な予感。ちなみに男子の人数は奇数で女子の人数は偶数だ。


「ああ、それと津田も【Nest】の階級を持ってたんだよな?」


「あ、はい」


 すげぇtheインキャみたいな反応してしまった。


「なら、日高と組め、身体能力的にそれが良いだろう」


 先生アンタは神か?正直今まで陽キャの男子と女子(全員)とは仲良く話してて(これは関係ない)インフルエンザで仕方なく休んだ生徒()が後日提出物を出しても「インフルとか関係ないから期限過ぎてるから」とか言ってきて呪ってやろうかと思ってたけどそんなこと無かったわ。


「わかりました」


「それと、お前らは俺が教科書見ながら教えるより戦闘経験あるだろうから自分達でやって良いぞ。勿論護身術以外でも体術なら基本何でもオッケーだ」


 この先生こんなに優しかったか?もっとクソみたいな奴だと思ってたんだが(思い込み)。








 そんなこんなで体術だが。


「俺に出来るわけねえだろ?」


「確かにそうだね。多分伊織より授業を受けてきた他のみんなの方が体術はうまいだろうね」


 第一俺の戦い方は魔法のゴリ押しみたいなところがある。二種の魔法とアデゥシロイの自動修復する手入れいらずの刀を使って攻撃する。


 実際の戦闘でしているうちに動きの最適化みたいな事は出来ている筈だがその程度では習った人には敵わない。


「まぁ、とにかく少しやってみよう」


「そうだな」


 俺たちは同時に地面を蹴り前に出る。



 





「ぐっ、なんだ?」


 二人組を作り先ず基本の技の確認を全体で教師が前に立って始めようとしたところで強風が吹き少し押されそうになる。


「あれ、見ろよ。上木」


 金髪の生徒――上木はペアを組んだ生徒に話しかけられる。


 なぜ彼が金髪なのかと言うとあの日膨大な魔素に当てられたからである。


 上木は言われた通り振り向く。


「あれは……」


 そこでは物凄い速さで攻撃をする蒼介と伊織が居た。伊織から見ればサポートに徹する印象がある蒼介がここまでパワーを持っているのはあまり想像しにくいが、ここにいる上木を含めたクラスメートと体育教師の菊井からすれば全くの反対の印象だった。


 あの日校庭に現れたモンスターを倒した時、側からみれば伊織はモンスターに押し負けて何も出来ず蒼介が鎖で拘束や相手の武器を奪った印象が強かった。


「伊織様ー」なんて真面目に言ってるのはどこかの元自宅警備員だけでありこの学校で本人を見てネットで書き込んでいるのはただ津田伊織をダシにして注目を浴びたいものくらいだ。世間の評価はそうでも無いのだがこの学校だと特にそう言う考えのものが多く居た。


 だが、彼らの予想に反して津田伊織はこの学校の英雄とも言える日高蒼介と渡り合っている。


 彼らが攻撃をし受け流すたびに衝撃波が他の生徒達の体を震わせる。


「すげぇ」


 誰かが呟く。そしてそれは次第に大きくなり2人への応援へ変わっていく。


「いけぇ!」「日高!そこだぁ!」「津田くんもすごくない?」「凄い!」「津田も頑張れぇ」「伊織!負けんなぁ!」


 菊田の立場からすれば授業を続けろと言わなきゃならないところだが今はその必要はないだろう。


 それに実戦を経験している2人だ。学べることも沢山あるだろう。徐々にスピードが上がり目で追うのが難しくなってはいるが。


 そして2人がピタと止まる。見れば両者共にそのまま行けば急所に入ると言う位置に拳があった。


「マジ凄い!」「2人ともカッコいい!」「俺も出来るかな?」「無理だろ、ま、俺くらいなら行けるがな」「お前俺より弱いだろ」「津田ってあんな凄かったんだな」「たしかにな」


 生徒達が興奮気味に感想を言い合う。次第に先ほどの戦闘から自分達の改善点を上げていく。良い傾向だなと思いながら皆の声を聞く。


 先ほどまで止まっていた2人が構を解き話し始める。


「強いね伊織、手加減してもらってこれかーもっと頑張ら無いとな」


「お前だって本気じゃなかっただろ」


 そう2人が話し始めるが。


「手加減?」「本気じゃ無い?」「ど、どう言うこと?」「最後の方はほぼ見えないほどだったのに」「【Nest】すげぇ」「そっか津田も階級持ってるんだっけか」「え、津田くんも持ってるの!?すごい!」


 手加減だの本気じゃ無いだのと言う言葉に驚きつつも生徒から自然と拍手が生まれていた。







「津田くんさっきのすごかったよ」「俺たちもああ言うの出来るのか?」「凄いかっこよかった」「伊織って読んでも良い?」


 体育が終わった後何故かチヤホヤされた。


 今まで溜めてきたモテ期が漏れてしまったのだろうか。


「津田くん、【Nest】の階級ってどれくらいなの?」


 俺の席を囲う様にして人が集まる中その中の1人――確か名前はヒヨウ、よく発表して教師に当てられているので何となく名前は覚えている。


「確か三級だった筈だけど」


「三級ってどれくらい凄いの?」


 おいお前どれくらいか知らないのに聞いてきたのか?だが今回は許してやる。俺に話しかけてきてくれたからな。


「階級試験を受けると貰える階級で一番高いよ」


 蒼介が解説してくれる。ありがとう。


「へぇ〜凄いんだね!」


 可愛い。


「――っ」


 何だ今の阿寒が走ったような。

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