表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第五章 青鷺学園高等学校文化祭見学編
43/193

42話 名もなき闇炎使い


 チョークが黒板に擦れる音。


 教師の声。


 そして、僅かに生徒の話し声。


 まぁ、いつもの授業風景である。

 

「――皆んなも家帰って親に数学で何が一番難しかったか聞いてみてください。きっと証明って言うはずですよ」


 教師が皆に言う。


 本当かよ?


 ちなみに若くてイケメンだ。よく女子が話しかけている。


 と言うか、証明ってなんぞや。


 10ヶ月も学校に行っていない俺は伊達じゃない。


 だが、そんな俺にも楽勝な教科がある。


 そう、英語だ。


 元々は一番出来なかったが今では英語を聞けば日本語の様に聞こえる。文字通り。


 そんな俺が教える英語を今すぐにできる様なる方法。その名もスキル:言語理解!


 これを使えば英語がわかる様になる!


 しかも全ての言語に対応している。


 これのお陰で転移先で異世界から来たテイリたちと話せたのである。


 やり方は簡単。


 『ステータスオープン!』と唱えるだけ。


 ちなみに理解は出来ていない。日本語に聞こえるだけだ。あと筆記もいける。


 ちなみに異世界の言葉も書ける。知っているというより認識している言語に限るが。


 そう言えば、異世界の言葉だが文字の書き方の法則がローマ字によく似ていた。なぜそんなことを態々聞いたかと言われると紗奈がテイリ達に質問していたからだ。その時文字の書き方の何かの話もしていた。自動で翻訳されるのにそんな事聞くなんて真面目だなと隣で聞いていた。


 ちなみにローマ字と違う点で一番印象に残っているのは厳密には違うが日本語で言うTとSが同じ字だった事だ。読むとき間違わないのかと思ったが感覚で何となくわかるらしい。


 話が脱線したが言語がわかるからと言ってテストで100点を取ると言うのも難しい。あのナンチャラ詞ってやつが問題になってくる。


 この単語は何詞か答えよと書かれても分からない。


 読んだり出来てもどれが何詞かわからないと意味がない。そして勉強する気もない。


 そうゆう事である。






「伊織、次移動」


 机に突っ伏してた俺に蒼介が話しかける。


 次は理科だ。


 と言ってもこの時間はダンジョン産のアイテムを使っての実験やらなんやらだったりする。


 年間、この学年でいえば140あるうちの35時間をこの授業に変えているらしい。さすがに多すぎだし本来の理科が進まない気がするのだが。


 と言うか何で理科だけ極端に削った?


 そのせいで実験の授業が極端に減ったり。(友達がないから個人的には嬉しいが)


 それに魔法やダンジョンのことなんてあまり情報がない。


 何を勉強すれば良いのだ?


 その結果結局35時間の内30時間くらいは本来の授業に当ててるらしい。


 そして今日は残った5時間の内の1であった。


 と言う事で今日はダンジョン産のものを使った実験らしい。


 皆んなに物知り顔で教えて津田くんすご〜いをしたい所だが。俺もあんま詳しくないし教える相手もいない。唯一話しかけられる蒼介は俺より知っている。


 俺は密かに落ち込んでいるが皆んな結構楽しそうだ。普段ダンジョン産の物なんか滅多に触らないからだろうか。少しはしゃいでいる様にも見える。


「日高はダンジョンに入ったことあるんだよな。これも見たことあんのか?」


 金髪のクラスメートが話しかける。


「うん、そうだね。伊織と一緒に入ったよ」


「へーそうなんだ」


 おい、お前今蒼介が態々俺の名前言ったんだから「津田もなのか」とかないのかよ。その勢いでお前も行ったんだとか言えよ。


「あの時はゴブリンのやつだったよね。伊織」


 ナイスだ。蒼介が俺に回してくれた。


「あ、ああ、そうだな。あの時はホブゴブリンもいて」


 少しどもってしまったけど、話をつなげやすい様に「そうだな」だけで終わらずに一言付け加えたぞ。


「日高凄いんだな」


 おい、テメー金髪!お前流石に良くないだろ!金髪、おま、こっち向け!知ってるんだからなお前が休み時間デケェ声で喋ってんの!その調子で喋れよ!


「じゃ行くわ」


 そのまま金髪は席に戻って行った。


「よし、説明するぞ」


 教師が実験の説明を始める。


「今回の実験はポーション作りだ」


 ポーションとかあったんだ。


「まず材料だが、魔力を通した水とこのダンジョン産の薬草だ」


 ビーカーに入ったほのかに光る水と草を持ち上げながら説明する。


「あと準備するものはガスバーナーと――」


 ちなみにやり方は説明しない。何故なら前回の授業(数ヶ月前)に分けられているからだ。


 授業数が少なく等間隔で配置されてるため俺がこの授業を受けるのは初めてだ。


 先生〜紙ないでーすと言ったが予備がないから他の人に見せてもらってと言われた。


 早速実験の準備を開始する。


 こう言う時は準備を手伝って「持って来たよ」なんて言いながら自然に会話に入っていくのが最善手だろう。


 さて準備を――


 俺が動こうとした時俺以外の班員が一斉に動き早足で準備を開始する。俺の近くにいた奴なんか俺を押し退けるくらいの勢いで追い抜いて行った。


 なんかつらい。


 実験開始。


 まず水と草をビーカーに入れる。そして三脚の上に置きガスバーナーを下に入れ熱する。かき混ぜていくと段々光を増し全て溶け切ったところで完成。――と言うのを傍目から見ている。


 そして完成したポーションを切り込みを入れたじゃがいもにぶっかけ観察する。切り込みが入っていた場所は段々と塞がっていき最後には傷がなくなった。


 皆がプリントに記入し始める。


 俺も――無かったわ。


 皆んなこの役割分担のところになんて書くんだろ。班全員の名前と仕事を書く欄があるが。


 少しバレない様に覗き見てみる。


 俺の名前ねぇ。

ちなみに四章の人たちの名前の由来。

うけとめたほう→田梅卦都

もうかたほう→ 右形鳳

ほくせい→ 伊勢穂

ノースきた→ 鋤田

たてシールド→タドル

けっかい→カケイ

だいたいこんな感じです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ