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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第一章 中学一年生編
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3話 美少女と飯を食いイケメンと魔法を使う


 俺と紗奈の家はさほど遠くない。


 とは言え、顔を合わせるのは夕飯時だけ。


 俺は公立だが紗奈は中学受験をして私立に通っている。


 と言っても、方向も同じだし、学校同士もお互いに見えるくらいには近いのでしようと思えば一緒に登校できるが、俺が待たせてしまう事が多いので――主に寝坊――顔を合わせるのは夕食の時だけとなっている。


 紗奈は気にしないと言って誘ってくれるが流石に遅れさせるのはまずい。


 お前が遅れなければ良いとは言わないでほしい。


「伊織くん、美味しい?」


 紗奈が長い綺麗な黒髪を揺らしながら聞いてくる。


「ん?うん」


「お兄ちゃんもっとしっかり言わなきゃダメだよ彼女なんだから!」


 詩はそう言うが彼女と言うのは正確ではない。


 数ヶ月前に紗奈に絡んでくる男から逃れるために俺が彼氏になると言うことになりはしたが。


 初めは嬉しくて飛び跳ねそうになったがどうやら少し違うとわかるとちょっと悲しかった。


 まあ、彼氏役になれるくらいには信用してしてもらっているのなら嬉しいが。


 それにこの事実だけで俺は勝ち組だ。


 友達がいなくてもヘッチャラだ。


 ヘッチャラなんだからな!


「そうだよ、私の彼氏なんだから」


 ちょっと、赤面しながら言ってくる。


 やめろ、心臓飛び出るぞ。


「ああ、美味しかったよ」


「本当?!」


「本当だし、いつも言ってるだろ」


 詩の作る料理もうまいが紗奈のも美味い。


 と言うか美少女の手作り料理なんて言う、調味料がある時点で不味いわけがない。


 そんな事関係なく美味いけどな。


 ちなみに、俺はキッチンに入る事は許されていない。


 下手どうこうでなく二人とも譲れないものがあるらしい。

 

 カップ麺を数十分放置してしまったからではないと思う。


 カップ麺は料理じゃないらしいし。

 

 そんなこんなで、飯を食い、紗奈と話してひと段落した俺たちは帰ることにした。





 朝、7時半。


 高校生や、会社員ならこの時間を見ても朝だなとしか思わないだろう、だか、俺は違う!


 何故なら。


 中学生だからだ。


 ホームルームが始まるのが8時だが、着席していなければならないのは、7時55分、どちらにしても、今から走ってもぎりぎりだという事。


 俺の朝はブレザーを羽織り重い学校指定のバックを背負い走るところから始まる。




 放課後、公園には一人のイケメンがいた。


 イケメンがこちらを見ると近づいてくる。


 女子なら嬉々として喜ぶだろうが、俺は男だ。


 そっちの気はない。


 一つ言える事があるとすればどっちにしても目に毒だと言う事だろうか。


「やあ、遅かったね」


 そう言ってイケメン――蒼介が話しかけてくる。


「すまんな、遅れて」


「毎回遅れるから気にしてないけどね」


「時間の管理が苦手なんだよ」


「時計見ずに30秒ピッタリ数えたりするのは得意なのにね」


「そんな事より何だよ、放課後にこんなとこに呼び出して」


 寒いからさっさと家に帰りたい。


「そう、急かさないでよ、今日は魔法を使う練習をするために来たんだよ」


「つっても、いくら試しても出なかったぞ」


 そう、俺だって今の今まで大人しく指を咥えて待っていた訳ではないのだ。


 魔法を習得したとき、すぐに試したが出なかった。


 魔力が足りないのかと思い回復させてからやって見たが出来なかった。


 ちなみに、魔力は時間経過で回復しているのは確認している。


 感覚でだが。


 寝てる時が1番回復するようだ。


「それで詳しく訊いたんだよ【鶯】に、前は習得するところまでしか教えてくれなかったからね」


「でも、前の情報だって結構高く買ったんだろ」


 この話は前回話した時に聞いている。


 情報のやり取りをして小銭を稼いでいると言っていたが、詳しくは無いが情報ひとつ売っても6千円あれば相当高いほうだろう。


 そもそも、あの金額を売上だけでというのは無理があるのでどこから出したのか未だに謎だ。


 蒼介の両親がそんな事で大金を出すなんて事はあり得ないし。


  前の情報だけでもそれなりだったのなら、今回の情報はどうやって得たのだろうか。


「そのことに関しては条件付きで値引きしてもらったよ」


「条件付き?」


 つまりこう言うことらしい。


 【鶯】からの条件は魔法、モンスターなどの情報を広めてほしいとのこと。


 かと言っても誰コレ構わず何でも話す訳ではないらしい。


 魔法の習得、使い方については出来るだけ漏らさないでほしいとのことだ。


 それについて、教えられるのは、信頼信用できる、できれば身内の者だけらしい。


 それとは別に、魔法、モンスターの存在を少しずつ広めてほしい、と。


「まあ、それくらいで、値引いてくれるならと喜んで引き受けたよ」


「そうか、んで、どうやって使うんだ?」


 そんな事より魔法が使いたい。


「先ずは自分の使える魔法を確認するんだ『ステータスオープン』」


 蒼介の目の前に半透明のプレートが浮き、ウィンドウが表示される。


「マジかよ?」


 思わずショックのあまり言葉が漏れる。


「びっくりしたで――」


「クッソッあと1日でも長くやっていれば!」


「え?」

 

 悔しさのあまり俺は地面を叩く。


『ステータスオープン』と叫ぶのはもはや日課になりつつあったのに魔石やら何やらのせいでするのを忘れていた。


 クッソッいつ異世界召喚されても大丈夫なように色々と準備していたがいざという時、これでは意味がないじゃないか。


「いや、こんなこと言っている場合ではない!日頃の特訓の成果見せてやる!『ステータスオープン』ッ!!」


 ・・・


「ん、何も起きない?」


「人の話は最後まで聞こうよ」


 蒼介はやれやれと言った感じで見てくる。


「これは専用のアイテムがないと使えないよ」


 そう言って何か腕輪のようなものを見せてくる。


「なにそれ?」


「これは、魔力供給器と言うらしい」


 魔力供給?ステータスと関係あんのか?

 

「それも、うぐいすってやつにもらったのか」


「そうだね、これが無いと、どうしようもないからって、送ってもらったよ」


「兎に角貸してくれよ、俺も早く見たいんだよ」


 はいはい、と差し出された、それを、引ったくるようにとり腕につける。


 今度こそ。


「『ステータスオープン』!」

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