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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第四章 端島襲撃編
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34話 水晶と硝子の違い


 阿木の前に現れた二人。


 どう見ても子どもだ。


 【鳰】はそう思った。


 右に現れた【鶯】の攻撃を受け止めた方は田梅卦都(タウメケト)、もう片方は右形鳳(ウカタホウ)と言うが二人は実際若かった。


 卦都は15歳、ホウは17歳と両者共に若い。


「だが、容赦はしない」


 実際数ある攻撃手段の多くが魔素濃度の低下により使用できない。


 それに魔素濃度の低下は今も続いておりそのうちこの空間の魔素はほぼなくなるだろう。


 そうなってくると手は抜いていられない。


 今動けるのは幹部だけであり部下たちは戦えない。


 敵の襲来を受けたがアデゥシロイの拘束を解くことは出来ない。


 そして何より大規模魔法であるため多くの人員を必用とする。


 そして結界を保ち続けるために魔力供給要因はただそれだけの為の人員であり基礎訓練は受けていても戦闘が出来るわけではない。


 本来の作戦を遂行する事を1番に考え【鳰】は必死に頭を回す。







「ん〜結構強いなぁ、ジュウジ弱体化したんだよねぇ?」


 キタキがジュウジに聞く。


「阿木が言ってたからそうなんじゃね?」


「それは私も聞いてたよ……と言うかそういう意味で言ったんじゃない」


「その話私も混ぜてよぉ」


 【鳰】の蹴りがジュウジを襲う。


「……ぐッ」


 ジュウジ避けきれず衝撃を受ける。


「ジュウジッ!」


「おっとわしを忘れてもらっては困るのぉ」


 【鵲】はキタキに向かって直刀を振る。


 この直刀は普段使っている杖に仕込んである。


 所謂、仕込み刀である。


 そして直刀であるため普段は切れ味を魔力で増強して使っている。


 【鵲】は武器に魔力が馴染んだものは普段使わない事に拘っている。


 そのせいで今の状況はあまり良くない。


「武器を貸してもらうのも大変そうだしのぉ」


 この期に及んで普通の武器にこだわるつもりはない。


 【鳩】は肉弾戦を好むため武器は持っていない。

 

 そして、武器を複数所持している【鶯】との距離は開いてしまっている。


「あぁ、もう!《棘硝子》!」

 

 キタキが叫ぶと手に持っていた球体が形を変えて棘が飛び出す。


 キタキが持っていたのは水晶ではなく硝子玉であった。


「避けられたぁ!」


 【鵲】は後ろに飛びかわす。







「【鶯】、建物内に入るぞ」


「建物内?……わかりました」


 【鶯】は【鳰】に従う。


「ちょっおい、どこ行くんだよ?」


 いきなりの行動に卦都は驚く。


「阿木さん!行きましょう」


「おい、卦都……」


 阿木への失礼な態度にホウが注意しようとするが。


「そうだな、行こうか」


 阿木は気にしてないようであっさりと応えた。






「ん〜あたらない!」


 キタキが【鵲】に攻撃するも中々当たらない。


 地面に散らばっている転移と共にわざわざ見つからないようにこの辺りに置いておいた追加のものを使ってもだ。


「《槍硝子》!」


 槍の様に変形したガラスが【鵲】を襲うが難なく刀で軌道を逸らす。


「ほっほっ、もう終わりかのぅ?」


 【鵲】は楽しんでいた。


 魔力なしでの戦闘を。


 だが。


「おじいちゃんなんでそんなに楽しそうなのよぉ」

 

 【鳩】は違った。


 魔力も使えないし相手だけ魔法使うし相手ゴツい男だし。


 どうせならキタキと戦いたかったな、などと考えている。


 案外余裕なのかもしれない。


「はぁっぁああ!!」


 ジュウジの雄叫びと共に土魔法が襲う。


 さっきから攻撃のたびに地面が変形し戦い難い。


「あれ、何やってんの?」


 ふと、建物内にあっちで戦ってた二人が入っていくのが見えた。


「よそ見してんじゃねぇ」


「邪魔」


 相手の顔面に蹴りを入れる。


 馬鹿なのだろうか。


 今【鳰】部下と愉快な魔力供給員たちはどこにいるかというとそこ等じゅうにある建物だったりする。


 という事はあの高層の建物にも人はいるし術者は動くことも出来ない。


 しかもあの建物には物資も運び込まれている。


「なにやるの?アイツ」








「意外と建物内には魔素が残ってる様だな」


「そうですね」


 今二人は建物内に入り上の階を目指して歩いていた。


「でも、歩いていて大丈夫なんですか?」


 魔力を察知するのにも魔素を使うため先程魔力を膨大に使った【鶯】には余裕がない。


「ああ、アイツ等はまだ来てない」








「《棘硝――」


「お、消えたのぉ」


 目の前でいきなりキタキが消えた【鵲】は驚く。


「おじいちゃん、消えたのぉじゃないの。またどこから現れるかもわからないのに」


 【鳩】は警戒している。


「此処だよ」


 【鵲】が刀を振り抜く。


「効かな――い゛っづぅ」


 【鵲】の後ろから転移してきた卦都は刀を掴もうとするが攻撃が当たった。


「掻き乱してそれかよ」


 幸い傷は浅いが少し手が痺れた。


「すまんのぉ、後ろから来られたからつい」


 つい魔力を使ってしまった事を詫びる。


「おじいちゃん悠長にしている暇はなくないぃ?」


 キタキがまたいきなり転移してきて数で不利になる可能性もある。


「いや大丈夫だよ、キタキさん僕と入れ替わりであっち行ったから」


 あっさり、卦都は真実を伝えるのだった。

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