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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第三章 【Nest】試験編
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30話 四十六音順


 喰魔石の暴走を確認しマニュアル通り身を隠したスナイは異変が収まると伊織に近づく。


「死人が出なくてよかったですよ」


 とは言え、階級試験は滅多な事では中断できない。


 色々と事情があるのだ。


 それでもスナイは何かあっては困ると思い異常が起きると逐一上に連絡を取り確認しているのだが。


 意外とそれが面倒にとられる事はなく責任感が強いとして毎回試験の監督を任される。


「でも、オーブはどうなるのでしょうかね」


 受験生がここまで入ってきて見つける可能性はそう高く無いだろうが先ほどの二人は戻ってこないとも言い切れないそんなことを思い周りを見渡す。


「ない?」


 すぐさま端末を取り出しオーブの所在を確かめる。


「なるぼどね」





 津田伊織の無事の連絡を受けたシタバは【鳰】に報告した。


「……と言う事らしいです」


「まぁ、モニター見ればわかったけどな」


 上司にそう言われると疲れるって。


「たが、報告ご苦労様」


「は、はい!」


 最高の上司だぜ。


 そんな具合のシタバをよそに【鳰】の携帯に連絡が入る。


「何だ?……あ?今すぐ来いだと?……お前か?俺の部下持ってったの?……チッ」


 舌打ちをして【鳰】は携帯を切る。


「シタバ、オレは少し出る、何でも化け物を冷凍保存したい様だ」


「は、はあ」


 いや分かりやすくってくれとシタバは思う。


「あとは頼む」


 え?あとは頼むって何を?


 【鳰】の部下になってまだ3日目だぞ。


 まだろくに仕事は教えてもらってない。


「此処の片付けが終わったら帰ってくれて良い」


 聞こうか迷っていた時に丁度そんな声が聞こえてくる。


 流石【鳰】である。


 と、シタバは思った。


「お疲れ」


「お疲れ様です!!」



 

 



 闇雨使用時伊織からオーブを託された紗奈は山岳エリアDに隠れていた。


 離れすぎるのはリスクがあるし先ほど通った時に良さそうな場所を見つけていた。


「――っ」


 何か嫌な予感。


 伊織君に危険がなんて思っていたが当の本人にオーブを持って隠れていてくれと頼まれていたのだ。


「約束は守る」


 ぐっと手を握る。






 12時40分試験終了。


 13時合否発表。



『えーこれから合否を発表します。モニターに映し出されますので確認よろしくお願いします』


 モニターに表示される。


 名前は五十音順だ。


 紗奈は、伊織を確認した後自分のを探す。


 と言っても二人の名前の距離は近かった。


 小学校の頃も同じクラスになれば席が近いことが多くそれを良いことに伊織の世話をしていた。


 ――――――

 津田伊織三級

 ――――――

 月宮紗奈三級

 ――――――


 今回合格した場合三級か四級に割り当てられる。


 いきなり一級とかは無理なようだ。


 ちなみに三級は一桁らしい。


 確認すると紗奈は二人の名前を写真で撮る。


 紗奈は既に伊織が怪我をした事を聞いている。


 なかなか強いモンスターを倒したらしく回復は直ぐするらしいので代わりに見にきたのだった。


 本当は行きたかったのだが今日伊織が37言目に「なぁ、発表ってさ何順なのかな?受験番号はなさそうだし」と言っていたのを覚えている。


 そして蒼介がもう居るらしいので任せてここは自分がする事にした。







 蒼介と話していると病室の扉を開けられる。


 紗奈だ。


「伊織君、五十音順だって」


「ごじゅ、え、何が?」


「ううん、何でもない伊織君合格だよ!」


「あ、マジで」


 結構頑張ったが評価基準が分からないと不安なものである。


「三級だってお揃いだね!」


「お揃……いや、合ってるか」


「僕のこと忘れてる?」






『えー試験が終わったと言う事で順位を発表しちゃいます』


 スナイが壇上に立つ。


「おーきた」「伊織様あああ!!!」「楽しみですね!」「俺も楽しみ」「俺も」「そう言えば受験生には教えないんだっけか」


 毎回そうだが順位に関しては評価をつけた物たちの中で発表される。


 受験者たちが知る事はない。


 『今回三級に選ばれたのは6名!!』


 この数字は今までで3番目に大きな数字だ。


 第一回から数字を並べると。


 第一回12名。


 第二回4名。


 第三回7名。


 第四回3名。


 第五回6名。


 『じゃあ6位から発表だ!』


 ゴクリと誰かが唾を飲んだ気がした。


 多分。


『第6位は!気を使い連携をとる事で戦闘面を埋めた八雲吹(ヤクモブキ)!!!』


「お、あいつか」「デカい方な」「お姫様抱っこされてた人ですね!」「俺もしてあげたいくらいだぜ試しにどうだ?」「あ、マジでありがと」「何してんのお前ら」


『続いて第5位は!圧倒的な攻撃で敵をねじ伏せた沖田イオ(おきたいお)だ!!』


「もっと上かと思った」「戦闘面だけならな」「試験中にゲームは危ないので評価を下げさせていただきました」「俺も下げたぜ」「俺も」「お前ら……」


『第4位!気と二級でも難しいと言われると魔力の併用を使いこなした千田智(チダトモ)だ!!』


「まあ、妥当だな」「すげえよなあれ」「練度がすごいです!」「俺もそう思う」「俺も」


『此処からはベストスリー!第3位!数多の敵を薙ぎ倒し大人数の受験者を脱落させた。津田伊織(つだいおり)!!!』


「伊織様はもっと高いはずだあああ、でもおめでとうございますぅぅ!!」「凄かったな」「範囲攻撃な」「強いです!」「俺もそう思う」「俺も」「確かゲームオーバーした後に反撃して減点だっけ」「ゲームオーバーのあと攻撃されたのに可哀想だな」


『第2位!数多の扉を開きその圧倒的な力で巨人を倒す徳備多々良(とくびたたら)!!!』


「あいつはマジ強い」「ドアノック何とかな」「凄いです」「俺もそう思う」「俺も」「実際本物の扉は一回も叩いてないけどな」



『最後はナンバーワン!第1位!津田伊織のサポートに加え自身での戦闘、しかも最後にはオーブを守り切った月宮紗奈(つきみやさな)!!!!』


「月宮紗奈様あぁ!!!」「あの魔法凄いよな」「名前なんて言うんだろ?」「カッコよかったです」「俺もそう思う」「俺も」「実際後半戦の潜伏スキルもすごかった」


『と言う事で、お疲れ様でした。此処で解散です』


 各自お疲れ様でしたと言いながら退出して行った。

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