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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第三章 【Nest】試験編
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24話 月と不審者


『見事な連携でリザードマンを翻弄!!』


「さっき会ったばかりでこれは凄いな」「ヤクモくんあんま気上手くないけど連携すごいな」「私も相棒とか欲しいです」「じゃ俺が」「おい、抜け駆けしてんじゃねぇ」「殺すぞ」「よーし、試験は一旦中断だー」「お、乱闘だ」


『ダメですよ皆さん、喧嘩は』


 スナイから魔力が放たれる。


 いくら実力者とも言えど一級のこれに耐えられるものは少ない。


「やべっ」「同志が死んだあああ」「逝くなよあの夜一緒に励まし合っただろ」「だ、大丈夫ですか?」「お、お前まさかこれを狙ってクッソ心配してもらう為だけにこんな事を……死ねええ!!」「いや、違、まぢで……グホッ」「伊織様を映せええ!!」「おい、おま、落ち着け、殺されんぞ」「おいお前そんな態度だと津田伊織に泥を塗るんじゃないか」「っ……」「静かになった」「確かにコッチも静かに……あれ、こいつ息してなくね」




 山岳エリアB。


「フッ」


 少女はボブゴブリンに蹴りを入れる。


 爆散。


 身体強化を施し威力を底上げする、これは大事。


 黒いパーカーに黒いショートパンツ、黒いサンダルというラフな格好、髪は黒、そこには全身黒づくめの少女がいた。


 唯一黒くないのは透き通る様な肌を除いて魔力の影響でメッシュの様に入った紺色の髪と桃色の瞳だけだった。


「黒で統一してかっこいいかと思ったらただの不審者みたいになってしまった」


 一人呟き落ち込む。


 少女――沖田イオ(おきたいお)は片足を軸にしてそのまま後ろからのボブゴブリンの攻撃を防ぐ。


「でも、私が女の子でよかった〜男の子だったら眼帯付けて間違いなく黒いコート着てきてたし」


 危ない危ないと思いながら更に近くにいた3匹に蹴り叩き込む。




『凄まじく速く強い蹴りでゴブリンたちを圧倒している!!』


「強っ」「つーか何?あの男がしたら不審者みたいな格好」「男がしたらだろ、女の子なんだから良いだろ」「あの子かわいいですね」「それは君もゲホッ」「あ、すまん肘が滑った」「何やってんの…いやそんな事より、魔力で誘き寄せてるわけでもないのにめっちゃモンスター集まってね?」



 


 山岳エリアD。


「はぁっ」


 紗奈は手と足を巧みに使い人形モンスター人間君タイプJIIIを相手していた。


 人間君シリーズ。


 それは【Nest】の開発者の一人である【秋沙】の作品である。


 人形モンスターのキメラをベースにして改造している。


 実験経験を積ませ壊れたら改修しその度に強化する。


 IIIというのは改修した回数である。


 そして、人間シリーズは階級試験では採用されず運用禁止されているはずだった。


 本来なら。





『おっと、次は人間君だぁああ!!』


「あ、でた」「あれ、試験に出しちゃいけないやつでは」「また、【秋沙】さんか……」「タイプJって何ですか?」「確か、柔道の略」「いや、柔道の技ほぼ使ってなくね?」「最近は柔道何か分からない子もいるんじゃないですか?」「まさかぁ、学校でもやんだろ」





「くしゅん」


 風邪ひいたかなみんなにうつさなければ良いけど。


「大丈夫ですか詩さん?」


「うん、大丈夫」


 目の前の女性に心配されないように答える。






『おっと!凄い人間君と互角以上に渡り合っている!!』


「すげぇ」「見切ってんのか?」「肉弾戦できる女の子はカッコいいです」「あ、俺もでき――ナハッ」「那覇に行きテェのか連れてってやるよ」






 人間君からの攻撃を受け流しつつ攻撃のチャンスを窺う。


「このままじゃ」


 このまま続けていても負けることはないが時間が減るばかりだ。


 紗奈は仕方ないと割り切り手に魔力を集める。


「《三日月》」


 手から月を模した様な刃が飛び人間君を両断する。





『え……倒した?』


「何あれ」「いや、知らん」「な、なな、何ですかあれ?」「な、ななってかわ、ぐきゃっ」「すまん、ビックリして鳩尾に入っちまった」






「おい、ありゃ何だ?」


 モニターを覗き込んで【鳰】は聞く。


 月宮紗奈とは長い時間関わりがあったが聞いていない。


「ステータス測定では月魔法と」


 いつステータスが測定されたかと言うと魔力の測定器に密かに付けられていたのである。


 そもそも、50程度の魔力であれば少数点まで求めないのであればあそこまで大きな装置は必要ない。


 因みにだが伊織がステータスを見るのに魔力供給器を使う必要があったのは本来ステータスウィンドウは空気中に存在する魔素にホログラムの様に映し出している。


 以前ステータスを見ようとした時は魔力濃度も低く人工的に魔力を注がなければならなかったからである。


 魔力濃度の高くなった今では津田詩のように腕輪なしで使用できる。


 そして体内の魔力ではダメなのかと言うかことに関しては、体内に入った魔素と空気中にいる純粋な魔素は別物だからである。


 ウィンドウは純粋な魔素でしか出ることはない。


 そして【鳰】はその返答に驚き思わず声が出る。

 

「月だと」


 何故そんなものを月宮紗奈が持っているのか考えても答えは出なかった。

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