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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第三章 【Nest】試験編
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23話 ドアノック拳法の教え 第一訓 回数にも意味がある

本日四度目の更新。


「闇炎キター」「お、コレか」「へー凄」「何魔法」「知らね」


『津田伊織4体同時に倒したぁぁあ!!!と、あちらでも戦いが起きている!!つーかでけええ!!!』




 五メートル、いやそれ以上あるだろう。


 その姿はまさに巨人。


 青色の肌の巨人だった。


 そして、そこに立つのは。


 あの日、突如現れたモンスター――アデゥシロイに手首を切断された学生、徳備多々良であった。






 12月26日、多々良は4日ぶりに目覚めた。


 起きれば悪夢から目覚めるとおもった。


 でも違った。


 現実だった。


 夢から覚めても右手の手首から上はなくて。


 自分を置いて逃げたことに罪悪感を持っているのか、気にしないでと言ったが以前のように話してくれなくなった友達。


 自分の気も知らないで。


 そう思った。


 本当は誰も悪くないと分かっていても呪いたい程憎かった、痛かった。


 その場にいても何にも出来なかっただろうし、何より自分以外の被害者が出なくてよかったと、仕方ないと言い聞かせてもこの気持ちあふれ続けた。


 そして切られた腕から今もあふれ続ける闇が心を表すがごとく揺れていた。







 それから数か月【Nest】が魔法技術で義手を作るなどという話を耳にした。


 そして早速【Nest】に問い合わせた。


 多々良は、行動力は人一倍あった。


 そして【鳰】に世話になったこともあって、義手の開発に協力することになった。






 そして転機が訪れたのは顔合わせのために【Nest】に出向いた時だった。


 部屋の前の扉をノックしようとしたとき――いや、ノックをした手が――実際には手首が触れた瞬間、ドアが吹っ飛んだ。


 その時何かに気付いた。


 自分の力に。


 その可能性に。






 結果的には多々良の力を見た【Nest】の研究者が専属でついてくれることになった。


 それから約半年修行に明け暮れた。





 そして今放たれる、多々良の行きついた可能性。


「ドアノック拳法ッ!!!」


 多々良の攻撃が巨人を襲う。


 《一撃目(ファーストノック)


 相手の拳に義手のついた拳をタイミングよく合わせる。


 1ノック目は優しく柔らかに攻撃を相殺する。


 お互いがぶつかり、衝撃が起こる。


 《二撃目(セカンドノック)


 少し強めに空いた胴にぶち込む。


 最後に頭。


 拳に魔力を纏う。


 既に改良に改良を重ね手首から湧く闇魔力を利用し義手に纏わせ効率的に運用することを可能にしている。


 イメージはドアの向こうに入室すると言う意思が伝わるように。


 でも力みすぎずフレンドリーに。


 それでいて音が部屋に響くように。


 拳が触れた瞬間、特殊な波長に合わせて魔力を波のように送る。


 《三撃目(サードノック)


 相手に届いた余韻に浸る瞬間――インパクト。


「……《親しき中にも礼儀あり(三連ノック)》ッ!」

 

 

 これが多々良に行きついた境地。


 ドアノック拳法だった。


 



『た、倒したあああ!!!!!!』


「三撃でかよ」「ドアノ、なんだって?」「裏拳か?」「なんか右手から闇属性っぽいのでてんぞ」






「風?」


 受験生の一人、八雲吹(ヤクモブキ)は突然の風に呟く。


「何か突風の様な……攻撃の余波かな?」


 先ほど初めて会ったヤクモと組んで行動している千田智(ちだとも)は予想を立てる


「トモ、冗談はよせよ、どんだけエグいモンスターいんだよ」


「まぁ、そうだよね、強いやつなら真ん中あたりにいるだろうしそれを加味しても1番強いのでもせいぜい二級程度かな」


 この試験において採用されているモンスターは1番高くても二級だと予想されている。


 モンスターの階級は同等の【Nest】の階級であれば余裕で対処できるものに定義されている。


「それより来たぞ、モンスター」


「流石に見えてるよヤクモ」


 茂みから出てきたのは五体。


 二足歩行のトカゲ――リザードマンである。


「そう言えばお前戦闘スタイルは?」


「それ今聞く?自分も忘れてたけど、そっちは魔法とかあるの?」


「ねぇよ、そんなん、あんなん持ってる奴なんて少ないだろ、複数拾ったやつなんか出てきた日にはそいつを変態と罵ってやる」





「えっくしょんっ!……風邪ひいたかな」


 紗奈にうつしてないといいが。


「おっと、攻撃、よそ見はいかんな」






「自分も魔法は使えないかな、魔石だって知る前にネットで売ってるの見たけど買っとけば良かったかな」


 まだ、【Nest】や国で魔石と発表する前の僅か2日の間はよく出回っていたが情報が入ると希少価値が一気に上がったのを思い出す。


「でもお互い身体強化だけって訳じゃないだろ?俺は気なら少し使える、まだまだだかな」


 そのせいで気の使用中は魔力を使えない分身体強化の発動は出来ないがなと笑いながらリザードマンを殴る。


「奇遇だね、自分も気だよ、お揃いかな」


「何だよ、これじゃあ俺があんま上手くないのバレちゃうじゃんか」


「自分もそこまでだから大丈夫かな」


 リザードマンの動きを受け流し自身の体重を乗せ叩きつける。


 後ろからトモを狙ってきた個体をヤクモが殴りつけ、その隙を突こうとしたリザードマンをトモが相手どる。


 そしてもう一体。


「俺たち相性良いんじゃね?」


「そうかも知れないかな」


 リザードマンが地面に崩れた。

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