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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第二章 ちょっと長めの進級準備編
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19話 玉手箱を開かずとも時間はズレる

「じゃあ、カードの話に戻るね、このカードはさっき、帰りに使ったゲートや食堂などという【Nest】施設内にあるあらゆる施設の使用の許可証なんだ」


「それはさっき何となく聞いたな」


「うん、それでここからが大事なんだけど【Nest】に所属している一定階級以上の術者はもちろん一般人を傷付ける行為は禁止だけど自分の判断で術の行使が可能なんだ、そして君もその範囲に入っている」


「いやまて、往来で魔法は使ってはいけませんって法律でもできたのか?」


「まあ、そうだね」


 マジか俺が篭っている間に世界は。


「いや、なんで教えてくれなかったんだ?」


 思えば携帯の充電もさせてもらえなかった。


「それは紗奈さんが――」


「伊織君ニュースとか見てもそのまま抜けてっちゃうでしょだから私が大事なことは後でまとめて教えようと思ったの」


「そうか」


 ニュースはそれなりに見たかったが紗奈の気遣いなら仕方ない。





「うまっ」


 それから、簡単な説明を受けた俺たちは皆で紗奈の料理を食べていた。


「伊織君が喜んでくれてよかった」


「紗奈ちゃん私も美味しいよ」


「そう、ありがとう詩ちゃん」


「入りにくい」


 蒼介が我慢できずと言った感じで声を漏らす。


「珍しいなコミュ力高いのに」


「一人君のことしか見ていない人いるしね」


 ボソリと何か言ったが聞こえなかった。




「なあ、気になってたんだけど何で詩の目が金色何だ?」


「えー、お兄ちゃんだって、濁ったような汚い赤じゃん」


「おい、今汚いって、いや待て」


 俺は慌てて自分の顔をスマホ画面に写し目を見る。


「マジかよ」


「そう言えば伊織は知らないんだっけ、まだ僕も詳しくは知らないけど魔素に関わっているらしいよ、中には髪の色とかも変わる人も珍しくないからニュースとかでも、ある学校が理解をしてくれなかった件とかが報道されてたよ」


 「へー、なんだか取り残された気分だな」


 半年でここまで常識が変わってるとは。


 先ほども思ったばかりなのに改めて実感する。





「どう?お兄ちゃん?」


「おーすごいな、似合ってる」


 詩が1回転するとスカートがそれに合わせて揺れる。


 俺は一年弱篭っていた。


 俺は中1から中2に。


 詩は小6から中1に上がった。


 つまり制服だ。


 本当は4月とかに、わぁー、とか言うはずだったのに遅れてしまった。


「えへへ、そうかなぁ」


 因みにブレザーだ。


 俺はスマホを構え詩を取る。


 正面。


 横。


 斜め。


 上から。


 そしてローアングル。


 低い位置に陣取り角度をつける。


 あ、みえ――


「グハァッ」


 顔に衝撃。

 

 因みに撮れた写真は4枚が詩を写し1枚は俺の顔面だったとさ。


 撮るわけねぇだろ。






「お兄ちゃん、遅い!」


「すまん」


 俺は謝りながら目を擦る。


 今日から俺は中学2年性――もう二学期だけど。


 詩が中学生になったので行き先も同じ、学校も同じ、どうせなら一緒に行こうと誘われた。


 家の前に出ると紗奈がいた。


「おはよう、伊織君、詩ちゃん」


「おはよう!」


「おはよう」


 詩と俺は挨拶を返す。


 鍵を閉め二人に追いつく。


「伊織君、今日から学校だけど大丈夫?」


「う、うん、多分……」


 正直不安だ。


 知っている生徒は何人居るか分からないが、もう二学期となるとクラスは完全に形成され後から来た俺が入る余地はないかもしれない。


 まあ、あれだけ目立って消えたからお前何してたんだよー的なノリで話してくれればいいが。


「お兄ちゃん気にしすぎだよ友達なんて過ごしてれば一人くらいできるよ」


「お前それ去年も言ってたが一年の12月まで新しい友達なんて出来なかったぞ」


「あ、紗奈さん今日委員会あったっけ?」


「ん、ないと思ったけど」


「あはは、そうですよね」


「おい、無理に誤魔化すな」


 まあ、こういうのもたまには悪くないかとも思うが。




 少し歩き人が増えてきたところで何か視線を感じる。


 300メートル先に隠れている、とかじゃ無い。


 何か質というか。


 いつもの視線は紗奈あるいは詩を見て誰と歩いているのだろう?と俺を見て興味を無くしたように視線を外すが。


 今日はもちろんいつもの様に他の二人を目的にこちらを見てくるものも多いが逆に俺を見てそして後の二人を見るような視線を感じる。


 俺以外の二人は人に見られることになれているのか気にした様子はないが。




 紗奈とは途中で別れ学校につき昇降口に入ろうとして。


「あ、俺のクラスどこだ」


「えー知らないよー」


「えぇ、マジかよ」


 職員室だけには行きたくないんだけど。


 あの雰囲気苦手なんだよな。


「思い出した、そう言えば蒼介さんが2年4組だって言ってたよ」


「忘れんなよ」


 いや、ガチで。




 ついにきてしまった。


 クソ入りたくない。


 だが行くしかない。


 いや、ちょっと待て席わからん。


 出席番号はもちろん分からないが席替えしているはずの自分席の特定などできるはずもない。


 いや、ここは一旦家に帰って明日――


「伊織?何してるの?」


「どわっ、蒼介か助かったぁ」




 蒼介の後ろに着きながら教室に入る。


 皆が一斉にこちらを向く。


 こえーよ。


「蒼介君おはよー」「よう、日高」「おはよ、蒼介さん」「日高今日遅いなぁ」


 クラスメイトが次々に蒼介に挨拶をする。


 去年もこんな感じだった。


「みんなおはよう」


 おいお前ら皆んな挨拶した後にチラッと俺の顔を見て背けんな。


 そいつ誰?とかそいつが津田ってやつかとか無いのかよ。


 おい、そこの金髪……金髪?いつからこんな治安の悪そうな学校になったんだ?


 まあいいや、金髪!無駄にチャラチャラしてんだから話しかけてこいよ。


 陽キャみたいな見た目のやつ多いんだからさ一人くらい話しかけても良くね。


 俺から話しかけろ?


 むり。




「伊織ここが君の席だよ」


「一年の時とあんま変わらんな」


「ん、そうだっけ一年の席順とか覚えてないや、でも今回も近いからよろしくね」


 俺のいない間の蒼介との時間の感覚が……


「どうしたの伊織?」


「泣いてない」


「いや、何も言ってないけど」

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