エピローグ
「寒っ」
俺はすっかり冷たくなった手に息をかける。
白い息がわずかながら俺にぬくもりを届けてくれる。
「つっても、たまには外に出ろか」
白い空を見て、俺は今朝のことを思い出す。
あの戦いから少し、俺はすっかり、家に引きこもっていた。
いや、普通に長期休暇だから許してほしい。
あれからあの町は大変なことに~と言うわけでもないようでネストの迅速な対応で復旧している。
よく考えてみれば、ゲートを数が月で作ったのだから納得な気もする。
それはともかく後始末は皆で頑張ったようだ。
幹部たちは疲弊していたが、一級から四級の人たちが頑張ってくれたのだという。
あと、残党はエンカンさんが待ち構えていたらしく収容したらしい。
どうやら、降参した人は例外なく殺されたりせずに生き延びたらしい。
あれから、いろいろあったが、まあ、大兼今まで通り日常は動いている。
「おお。結構いい家ですね。に、いやかなめさん」
「まあな。元幹部ってだけで金は割とあるからな」
【鶯】は新築であろう物件を前にそう言った。
そして、答えたのはかなめであった。
だが、その声に不満があったのか、第三者の声が聞こえる。
「ちょっと、そんなに家にお金はないですよ」
「そうそう。かなめは給料ほぼ受け取ってなかったらしいし、フヅキさんのために頑張ったんだよな~?」
「おい、アラキ。お前こそ無職のくせに名瀬にプレゼントを買おうとして──」
「それは言うなよ」
アラキは慌てて口を開いた。
「そ、それより、フヅキさん。喰魔石所持者も呼ばれてるんじゃないでしたっけ」
「ああ、そうでしたね」
「それはお二人も同じですよ」
【鶯】がそう付け加えるとかなめは「もう、【Nest】じゃないんだけどな」と続けた。
「召集は午後何で忘れないでくださいね」
「あれ。一緒に行かないのか?」
アラキが聞くとどこかに行こうとしたいた【鶯】が振り向いて言った。
「俺も一応幹部何で忙しいんですよ」
「じゃあ、俺は言ってくるから、ヒカリと一緒に待ってって」
「うん」
トシユキは玄関先でそう言うと、キタキは頷いた。
「いってらっしゃい」
そして、その後ろから出て来た女性の声を受けて家を出た。
「あれ、もう明日か」
スマホを見れば、金髪たちから着信が入る。
遊ぶ予定を組んでいたのだが、すっかり忘れていた。
「伊織君!」
そんなことを考えていると、後ろから声を掛けられる。
紗奈だ。
「あれ、どうしたの?」
「召集だって」
「えー。緊急的な?」
「ううん。昨日には来てたけど。そう言えば、詩ちゃんが間違えて追い出しちゃったから謝っておいてって言ってた」
「それで詩は?」
「先に行くって」
「アイツ……いや、俺が悪いのか?」
未だ、紗奈の家に居候している俺だが、紗奈が家を空けている最中に追い出された。
しかし、予定を把握しておけと言えば怒ることもできない。
「まあ、良いか。時間は?」
「午後からだから……」
「今からだとギリか」
俺は時間を確認して歩き出した。
「お兄ちゃん。遅い」
「いや、お前が俺を追い出したから……」
「彼女と妹にスケジュール管理してもらっといて、あまり言えないんじゃない伊織」
「いや、うん。まあ、そうか」
蒼介にそう言われて頷くしかない。
「いおりくんせきついて」
カラスに急かされて俺は席に着く。
「お前はもっと責任を──」
「今はいいだろう。今回は遅刻していない」
エンカンさんに言われたところを黒帯に庇われる。
まあ、仕方がないとも言えた。
すでに、幹部と【非翼者】はそろっている。
あの作戦以降、入れ替わりはあった者のどちらかと言えば枠が増やされた形になっているためあまり顔ぶれが変わった感覚はない。
それでも、時間の経過を感じさせる。
まあ、紗奈を慕う傀糸さんの姿はいつ見ても変わらないが。
思えば、中学生の時に世界が変わっていろいろあった。
きっとこれからもたくさんあるんだろう。
そんなこと思いながら、顔を上げた。
「じゃあ、みんなそろったし、はじめようか」
カラスの号令で会議が始まった。
最終話です。
ここまでお付き合いしてくださった方々には感謝を。
この作品を書く前に一つ書いた短編を除けば今作は処女作ですので拙いところが多くあったかとも思いますがなんとか完結できて良かったです。
最後に今作最強ランキングを
一位 【鴉】徳備多々良
二位 津田詩
三位 津田伊織
一応【Nest】に所属する術師限定です。
それと最高火力で付けてますので戦ったら全然変わってきます。
あと最後に遺言を
最強ランキングとか矛盾してねって思います。
最も強いんじゃねーのかよ。
複数人いるじゃねーかよ。
長い間ありがとうございました。




