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186話 取られた駒は牙をむく

設定が思い出せねー。

と言うかキャラが覚えられん。


と言うわけで変なところもありますがご容赦を。


「おいおい、普通は死ぬまで執着もない奴に襲い掛からないだろ」


 トシユキは刀に突いた血を振り払ってそう言った。

 声を掛けた先は、未だそこに佇むキタキだった。


 そして、彼女の視線の先に仲間であったジュウジの死体が転がっていた。


「で、君はどうする?」


 彼はそうただ呼びかけた。







「今現在、この街に必要な駒がすべてそろった」


【鴉】はその幼い顔に大人げない笑みを浮かべて宣言した。


「駒だと?ああ、この時空の喰魔石の所持者か?」


 少女の見た目をした老人の言葉を考えるようにしたタケルは得心が言ったように呟いた。

 だが、それ以上の疑問が生まれたようで言葉をつづけた。


「確かに、喰魔石所持者は強力な駒だ。だが、顕現した喰魔を倒すには至らないだろ。お前たちが抑えたと言う三体、そしてうち一体は消滅させることが出来たようだが、それも【鴉】、お前の神としての力があってこそだ。【鶯】の話を聞いた限りじゃ、共食いってのは他の喰魔石所持者には出来ないんだろ?」


 そう、【鶯】から幹部会議の情報はすべて抜き出している。

 それによって【Nest】の状況はすべて把握している。

 だから、守葬化した場合にしか強力な力を出せない者たちが来たとしても意味がなかった。

 守葬化しなければ、幹部や【非翼者】には力が足りず、したとしても、相手は喰魔、体の構造から考えて、切り札の守葬化をしたとしても、力は上回れられている。


「だから、疑問を抱けと言っている。【鶯】から情報を引き出した。そこまでは良いだろう。だが、そいつは仮のも幹部だ。幹部は力だけでなれるものではない。私との契約の制限故に限られた家系からしか原則排出されない。そんな境遇にありながら、迂闊な行動をするような教育を受けるはずもないだろう」

「【鴉】が崩れれば終わるほど脆い組織の幹部だ。別にそうでも不思議は──」


 ──パチンッ


 言葉の意味を考えつつも、嫌みを言おうとした瞬間、【鴉】の指が鳴らされた。


「何を──」


 それを言う前にその場から飛びのいた。

 自信を襲うのは【鶯】の攻撃であった。


「いやぁ、頭をいじられるってのは怖いな」


【鶯】は攻撃をした姿勢を戻してそう言った。






 

 二体の喰魔との激闘の中、現れた芥生に蒼介は目を見開く。

 ギリギリのタイミングで命を拾ったのだ、それも仕方がなかった。


「これで……」


 時間を稼いだ甲斐があった。

 そう思い、蒼介は息を整え立ち上がった。


「ちょっと、【鳩】さん、重い」


 少し横に目をそらすと、同じく喰魔石所有者の沖田イオが【鳩】に絡みつかれていた。

 そして、更に他にも、色葉葉月も現着して紗奈と会話をしていた。


 それらから目を離した時芥生が口を開く。


「蒼介。ここは俺たちが受け持つ。お前らは今から言う地点に向かってくれ」


 端末に送信された位置情報を確認する。

 現在位置と照らし合わせることは、魔素の多いこの空間では不可能だが、場所の把握くらいは出来る。


「どうしてここに?」

「此処が戦場になって数時間。一向に目撃されてない奴がいる。そいつがそこに来る可能性が高い」






 イイツは剣を抜く。

 例え勝てないとわかっても。


「はぁ!」


 そんな状況でも立ち向かう。

 だからこそ、彼女は親衛隊と呼ばれるようになるほど慕われる。

 だが、今はただの不遜の蛮勇。

 負けるとわかっていて相手に挑む。挑んだ結果負ける、または死ぬ。そして、大幅に隊の士気が下がる。


 どこからどう見ても悪手だった。


「それはダメでしょ」


 卦都が半ば呆れたように言う。

 高感度で言えば、第一印象と、先の戦闘でMAXまで上がっていたが、その根拠となる性格を最悪の一手に使われるとなればそのゲージは一機に地に落ちた。

 そもそも、特に思入れもない人物に好感も何もないのだが、【弧】に身を置くものとして羨ましく思った面によるものであった。


 ただ、若干の情がある卦都はともかく、鳳には全くと言っていいほど関係がなかった。

 だから、蒸発させようと腕を伸ばした。


「死ね」


 小学生が履くような呪詛を唱えながら殺意を込めた。


 ただ。


「君たちそれしか言えないの?」


 ビームの様に打ち出されたそれは、そんな声と共に現れた男の刀によって切り裂かれた。

 切り裂かれたそれは、なおも勢いは止まらないが、二分割され人に当たることなく背後のビルをぶち破るだけにとどまった。


「えーっと。おっさん?いや、お兄さん?まあ、どっちでもいいけど、何処から現れたの?」


 卦都は単純な疑問を男にぶつけた。

 刃と柄の比率がほぼ同じような太刀を携える男──トシユキはいきなり現れたのだから。

 それは比喩でも何でもなかった。


「女の子の方は大丈夫?」

「……はい。大丈夫です」


 トシユキは返答せずにイイツに話しかけた。

 駆け寄ってきた親衛隊にイイツを任せて、正面に向き直った。


「ああ、悪いな。無視したみたいになって」

「いや別にいいけど。それよりどうやったの?」


 予想外に反応したトシユキに驚きながらも卦都はもう一度聞く。

 本来、と言うより、話術を先頭に取り入れている卦都はともかく、強者であれば戦闘中に敵と話などしない。

 であれば、トシユキは弱いかと言えば、卦都にはそうも思えなかった。

 そんな様子にチグハグさを感じたがその前にトシユキが続けた。


「例えばだけど。これを撃ったするだろ」


 そう言ってトシユキが取り出したのは拳銃であった。

 術者の強化された肉体には通じないそんな武器を取り出し意気揚々と語りだした。

 だが、もはやここにいる者の中で同様などしないであろうそれを見た中であからさまに様子が変わったものがいた。


「おい、何でお前がそれを持っている」


 思わずと口に出たのだろうか、今まで黙っていた鳳が口を開いた。

 だがそれもしかたないと言えた。

 それほどまでに、彼の動揺を誘うものであった。


「オイッ!!何でお前が阿木さんの銃を持っているッ!!!」

「いや、話している途中だろ?」

「黙れッ!!」


 鳳が声を荒げ当て地面を蹴る。

 彼のその能力を見れば圧倒的に遠距離タイプではあるのだが、理性は耐えきれなかったようだ。

 接近し、手のひら方熱を発生させる。

 まるで、相手を骨ごと溶かすような気迫であった。

 あったが。


「ここを外さないいけないんだっけ。よし。ぱーんっと」


 何事もないかのようにトシユキは躊躇なく発砲した。


 弾を鳳は弾こうとして、手のひらを当てるように降るが空を切った。

 そして、いつの間にが弾丸は懐にもぐりこんでいた。


「クッソッ!!!」


 だが、声を上げながらももう片方の手でそれを溶かし、跡形もなく消した。


「おっと、知っていれば対処できるのか」


 少し驚いたような、そうでもない様な様子でトシユキは呟いた。

 今の攻撃は、阿木が使用していたものだった。

 自身の能力を付与した弾丸と魔法を使った転移する攻撃。

 慣性が必要であるため発砲してから相手に阻止される直前に懐に転移させる。

 そこまで抵抗がなければ、体内すれすれの転移をさせ、その影響で強化の類を一瞬掻い潜ることもできるが、強者には効かない程度だった。

 だが、反魔力を込めたそれは気付かれなければ、強化も打ち破れる代物だった。

 トシユキの評価は微妙であったが。

 そもそも、反魔力云々は神力を使う彼にはそこまで関係のない話ではあったし。

 

 そして、間髪入れずに連射した。


 そのたびに、避けられるがトシユキはそんなものかと、銃を頬り投げた。


「所詮、初見だましか」

「貴様よくもッ!!!」

「いや、俺弾の詰め方とか分からんし。銃で殴って戦うのも変だろ?」


 そもそも、詰め替える弾も回収してないしな、なんて思いながらそう返した。


「殺す殺す殺す殺す殺す──ッ!?」


 頭の悪そうな言葉の羅列をしていた彼だが、それは透き通る棘のような攻撃に阻まれる。

 そして、これを彼は知ってた。


「キタキッ!!裏切ったなぁ!!」


 バカみたいに口調を荒げる。

 視線の先には仲間であったはずのキタキがいた。


「…………」


 キタキは黙り込んでいる。

 そして、また声を荒げようとした時、卦都が口を開いた。

 

「鳳、ちょっとうるさい」

「あ!?黙ってられるわけないだろ!?」

「チッ」


 鳳と違い阿木にそこまで執着のない卦都は舌打ちをする。

 いや、執着関係なしに、感情的になることは戦闘において悪手だろう。

 それを毛嫌いしていたくせにいざ自分がなると、こうなるのは非常に面倒臭い。

 真面目ぶってる堅苦しい奴はすぐこうなる。

 そんな評価を卦都は下す。

 世の中は広いが、卦都は多くの人と接する機会がなかったためにその考えが定着していた。


「今すぐあいつを殺す!」


 鳳は再度魔法を発動する。

 最大まで威力を高め、殺すこと以外に考えていないのは明白であった。

 そして、トシユキが狙うのは俄然鳳である。


「死ね!」

「いや、そこまであの人が好きなら、気を付けるのは背後でしょ」


 トシユキはそんな言葉と共に鳳の首をはねた。

 阿木の銃を使用できるのは、阿木を倒したから。

 では、魔石がどうなるかと言えば、敵の手に渡ることは想像に難くない。


 現在、転移魔法の使い手はトシユキであった。


「はぁ、最悪。一応聞くけど投降はできる?」


 鳳の首を冷めた目で見つつただ卦都はそう言った。

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