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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第九章 六月馬鹿編
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161話 ■12話 Heures du jour


 伊織が消えてすべてが変わった。

 詩は引きこもり、紗奈は奔走していた。

 いや、紗奈はそのままか。


 しかし、それに気づいたのも随分たった後だった。

 蒼介自身も情報屋を名乗りながら、外部の情報をブロックしていたから。


 あの日。

 伊織がいなくなった日。

 ゆあが死んだ。

 なにもできなかった。

 向かうことさえできずに死んだ。


 そして、その事実を忘れるように【Nest】に入り働いた。

 でも、忘れるなんて不可能だった。

 いつも頭にちらつく。

 だから、やっぱり諦めきれなくて何度も探した。

 こんな世界だ少しくらい奇跡が起きてもいいだろう。


 情報を集めた。

 ない。

 ない。

 できない。


 役に立たなかった。


 昔ふと興味本位で情報を得た。

 小学校の頃だ。

 売りはしなかったがそんなことをしていた。

 そのときはその重大さをわかっていなかった。


 簡単だった。


 ターゲットの出身が分かればその同級生などに扮して同じ出身校の生徒に情報を聞くのだ。

 当時はそれだけで簡単にわかってしまった。

 ネットリテラシーの関係もあっただろうがその程度だったのだ。

 今思うと、とてもじゃないが恥ずかしくって言えない。

 人として恥ずかしい。


 でも、ある日。

 知ってしまったのだ。

 この世には良くないものがたくさんあると。

 だから、ゆあや伊織たちに害になるようなものは排除すると決めた。

 だから情報も集めた。

 初めのようなことはしないがそれでも良くないことをしてきた。


 そして、極めた力を使っても何の情報も得られなかった。

 蘇生に関してはなかったのだ。


 ある日紗奈が頼み事を頼んできた。

 稲津の血を持つ人を見つけたほしいと言われた。

 それくらいなら簡単だと思い情報を渡した。


 そして、紗奈が【Nest】に入り、階級を上げて有名になるころ忽然と姿を消した。


 正直どうでもよかったが考えることにした。

 そこで、神を知り、思いついた。


 あの日より前に戻ってゆあを守ろうと。


 シトイを説き伏せ協力を頼んだ。

 多分彼女には相応の処分が下されるだろうが、もうなりふり構っていられる精神状態ではなかった。


「おぬしか?」

「そうです。僕を過去に、あの日以前に飛ばしてください」


 あの日。

 神ならばそれだけで伝わる。


「出来なくもないが。おぬしどこまでわしを知ってる?」

「どこまで?時間の神と言うくらいです」

「そうか、まあ、認識的にはそんなとこかの」

「僕はあの時間より前に戻りたいんです」

「細かい様だが時間ではなく時刻だ。まあ、いいだろう」


 そういって神――時間神『レゼオボルド』は了承した。


「しかし、こちらの世界だと少々力の制御が難しい。まあ、確実にその時点よりも前に飛ばして必ずやそこに行けるようにしよう」


 ここからだ。

 そう思い覚悟を決めた。

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