159話 ■10話 deux mois
大変申し訳ありませんが156話の最後に加筆させていただきました。
完全に書き忘れていて地味に大切なので確認いただけると幸いです。
どれだけ歩いたかもわからない。
足の感覚はとうになくなり、左手は動かない。
いただいた回復薬はあるがまだだ。
節約した方がいい。
右手が折れたところで使うことに決めている。
でかいダメージを追ってからの方が薬の消費を減らせる。
持っていた刀はすでにドロップ品に代わっている。
刀は数回切っただけで血がついて斬れなくなった。
血に出ないゴブリンキングを見習ってほしい。
でも、もう、体が動かない。
荷物はアイテムボックスに入っているが不親切なことに重さは軽減されないらしい。
どうしようかと考えているときにモンスターの死体を闇魔法で操ったらうまくいったために荷物は持ってもらった。
魔力は使うがなくなる気配がないため大丈夫だろう。
身体強化を覚えたことで進行速度が大幅にあがったと思う。
疲れにくくなっても来た。
しかし精神的にきついな。
どんどん、弱くなっているモンスターを見ながら出口が近いことを感じる。
それと服がボロクなってきたのでモンスターの皮をマントにすることにした。
案外快適だ。
ギルドに戻った俺は換金して宿に泊まった。
暫くは、金を溜めて元の世界への帰り方を探そうと思う。
ひたすらダンジョンに潜っていたらランクが一番上まで上がっていたらしい。
そして変な名前で呼ばれるようになった。
「よう!また金が入ったんだってな!酒くらいおごってくれよ!アデゥシロイ!」
「絡んでくるな。それに俺は未成年だ」
「なんだそれ?」
アデゥシロイそれが俺のあだ名らしい。
いや、多分あだ名と言うか、日本名があるように異世界名みたいな感じだ。
彼方の世界とこちらの世界では比較した時ローマ字が一番似ている。
そして、『言語理解』によって翻訳されるのだが固有名詞の場合少しうまく働かない。
いや、性格には翻訳は正確なのだがこちらの世界の読み方が違うというか。
まあ、大本である、『津田伊織』と言う名前は『tudaiori』となるわけだがまずこっちの名前は苗字と名前が逆で『tuda』と『iori』を入れ替えた上で『iori』『tuda』の順番になる上に読むときは右からになる。
『adutiroi』になるのだが。
それだとまだ、『アヅチロイ』だ。
しかし、そこから読み方も変わる。
日本人が漢字を様々な読みをしたり『は』とは『へ』を違う読み方をするのと同じように変わってくる。
そして、その場合彼らが高確率で発音するのが『アデゥシロイ』なのだ。
まあ、そもそもネイティブ発音かどうかで言語何て変わってくるしそんなもんだろう。
まあ、しかしせっかくだから元の世界に戻れるまでそう名乗ろうと思った。
ちなみにこれは勝手に鑑定されたときの結果だが上級者になると紙を裏から透かすようにして鑑定できるらしい。
そうすると自動で反対になったステータスを『言語理解』働いて反転させてくれる過程で『津田伊織』になることがあるらしい。
だから、逆に言うと元の世界でそのテクを使ってステータスを見ると『アデゥシロイ』になるそうだ。
まあ、とは言っても許可が出会いとレジストされるようだが。
それと魔法のことは未だ隠している。
こちらの世界も魔法があるが普通は取得しないらしい。
何故ならそれは属性が固定されてしまうから、だそうで魔術を極めるのが一般的らしい。
しかし、魔法以前にこの世界でない所にいる俺たちは魔術は使えないようだ。
まあ、この世界にも魔法を使ってるやつもいる。
とは言え、大抵他の属性を犠牲にして火力を得ようとする人隊が大半らしい。
そんなことをすれば、日常生活で魔術を使うこの世界では生活するのもままならないらしい。
まあ、不便と言うだけで俺みたいにそんな生活を送ってこなかった人間には関係ないが。
金がたまった所で旅に出た。
宿屋の少女のテイリと言う子から地図をもらった。
貴重じゃないかと思ったが結構流通しているらしい。
手がかりもないがとにかく各地を回ることにした。
身体強化のおかげで割と早く移動できたのはラッキーだった。
ある気がメインの旅となれば車で数分のところでも下手したら一時間かかる。
元の世界ならまだいいだろうがこの世界は道の整備すらままならない。
まあ、こういった力があるだけに発達しなかった可能性も十分あるが。
様々な場所をめぐるうちにある情報を得た。
この世界には神がいるらしい。
神と言えば超常的な力を持つものだ。
なら、元の世界にも帰れるかもしれない。
そう思いある集落に向かった。
その集落には土地神がいるらしく何でも相当力を持つ神らしい。
名を『アヤザミカミ』
鬼神らしい。
そのころには金もあって俺は自身の刀を打ってもらっていた。
『アカイロノ』と言う名前だ。
今でこそ銀色に輝く刀身だが元の金属は赤かったため、安直ながら赤い色のやつと言う意味を込めて命名した。
この時の剣の本数は三本。
俺は二刀流だったのだ。
炎の加速により二振りの刀を自在に操り、このころには魔法の補助なしでそれくらいできるようになっていた。
ちなみに後の二振りは魔法などの効果を記録することが出来る刀だった。
魔法陣を刻めばそれだけで発動が可能な優れものだ。
集落に着いた俺は長老っぽいばあさんに事情を話すと三日後に神を降ろしてくれると約束してくれた。
俺は礼を言うと三日待つことにした。
三日後。
神との対面だ。
神力と言うのだろうか、それを浴びた俺は悟ったように神との力の差を知った。
次元が違う。
だから、この神なら元の世界に返してくれるのではないかとそう期待した。
「俺は元の世界に帰ることはできますか?」
この時、この世界に来て早三年。
俺は不遜にも神に問うた。
他にやらなきゃならないことがある時って凄く捗る。




