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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第八章 赤翡翠高校編
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152話 夜の鳥は見えない


『では早速一回戦第一試合から始めたいと思いますので選手の皆様は移動してくださいねー』


 そんな声がマイクに乗せられてつられた会場の空気も浮ついている。

 これぞ祭りって感じな雰囲気を漂わせながら皆が盛り上がりを見せる中、俺たちも若干テンションが上がっていた。


「『新人戦』はあくまで校内のものだったけど『七祭』は各地から強者が集まった感あっていいな」

「そうだね、伊織君」

「その分時間もかかるから期間は三日、ちょっとしたお祭りみたいなものだね」


 蒼介が言うように『新人戦』以上に手が込んでいて試合以外の場所も盛り上がってるように思う。

 今いる会場はどこの学校にも属していない場所であり、恐らく地方に作られているここはスタジアムだけでなく周りも賑やかだ。

 まあ、ゲートで来ているため実際の場所は分からないが外に出て見渡しても『七祭』の施設しかないのを見るとそう考えるのが妥当だろう。


「やっぱこれだな」

「どうした金髪……ってポップコーンかよ」

「いいだろ映画を見る時だって食うんだから」

「いや上木ポップコーンはないだろ。時代はホッとドックだ!」


 そういってイケメンは優雅に口に運ぶ。

 イケメンは良いよね絵になって。


「私は朝ごはん食べたばかりだしそんなに食べれないかな」


 そういうヒヨウはドリンクだけのようだ。

 まあ、確かにまだ朝早いし朝ごはんを食べたのなら別に必要としないだろう。

 とは言え、俺はこの二人がさっき席に案内する途中に他のものを食ってたのを俺は知っている。


「ゆあは飲み物これでいい?」

「あ!朝いったこと覚えてくれてたんだ」

「たまたまだよ」


 ちなみに朝行ったこととはミルクティ飲みたいなとコンビニの前で呟いたことらしい。

 というか、いちゃつくな。


「伊織君、お茶飲む?」

「ありがとう」


 ちょうどほしいと思ってたところに紗奈が気を利かせて渡してくる。

 気持ちだけでもありがたいが、本当に欲していてすぐに出てくるのはもっと嬉しい。

 こういうのは男がやるべきなのだろうか、とか今度は俺がとか考えていたが紗奈に気にするなと言われて諦める。

 紗奈的にはやってあげたい欲があるらしいので任せてくれとのこと。

 申し訳ないが、甘えておこう。


『では、開始前に注意事項を!まあ、とは言っても基本的に結解が張ってあるので試合の妨害になりませんのでシャッター焚いて写真撮っても全然オッケーですし何してもらっても大丈夫ですが一応注意事項を――』


 注意事項と言っても簡単なものでマナーを守っていれば大丈夫そうだ。


『ではではでは!一回戦第一試合!青高、夜鳥五偉子選手対黄高百武紅選手!試合開始!!』


 アナウンスがそう告げると一斉に両者が動く。

 同時に会場が熱気に包まれこちらまで気持ちが高ぶりそうになる。


「なあ、あの青高の人って」

「前に色葉先輩といた人だね」


 もしかしてと思い聞いてみるとあっていたらしい。


「確か、校内順位が五位だった人だよな」


 校内順位が五位であり、あの色葉よりランキングが上位の女。

 戦い方は知らないがまあ、見ていればおのずとわかるだろう。

 気になることと言えば。


「相手選手誰だ?」

「百武紅、割と名前は知れ渡ってるけど……まあ、そんなこと言えば今回出てる人はみんなそうだけど」


 そういって間を開けた後に蒼介は言う。


「選手としては当たり前だけどかなり強い。情報が間違ってなければ電気系統の魔法の使い手らしいね」

「ふーん」


 接近した両者は減速することもなくぶつかったかと思うと夜鳥は何か黒い魔力の塊を、百武は強烈な電撃を放っていた。


「反魔力か?」

「少し違う、というより反魔力と併用で何か使ってるね」


『あれは何ですか?』

『恐らく反魔力だね。夜鳥選手が使うことは彼女を知ってる人間なら知っているくらいには頻繁に使ってるようですね』


 夜鳥は電撃を分解しながら同時に魔法だろうか、能力を発動させて攻撃を行っていた。

 しかし、俺の師匠の黒帯のようにそう簡単に出来る芸当ではないためさらに魔法の併用をしている彼女では完全に分解出来ているわけでもなさそうだ。

 とは言え、それが目的ではないのだろうが。


 しかし、百武も負けじと距離を取りつつナイフを投擲する。

 夜鳥ははじきながら接近する。

 とは言え、接近戦が苦手だからと百武が退いたわけではないだろう。

 余裕の態度で応戦する。

 そして電撃を放つ。

 夜鳥はよけるが電撃は曲がりながら彼女を追いかける。

 だがすぐに先ほどのナイフに電撃が誘導されていることを見抜き簡単に対処する。


「なんか電撃パッとしないな」

「まあ、あれでも火力は高いけどあの状態で反魔力を使われたらきついだろうね」

「でも、奥の手はあるって感じか」


 彼の目を見ればわかる。

 いやこの距離では投影されたモニター越しにもはっきりは見えないが体の動きで何かあることは予測できる。

 これは攻撃が当たらずに諦めたようにした動きではない。


 百武は何かを口ずさむと電圧が上がれ体にまとわるのが見て取れる。

 恐らく登録したものだろう。

 スピードが一段上がり攻撃力も増す。

 ほぼ、防戦一方だった百武は反撃に出る。

 右手、左手、右脚、左脚と目にもとまらぬ速さで攻撃を繰り出される。

 それを夜鳥はもろに受ける――ように見えたが、恐らく違う。

 よく見れば魔法の併用をやめて反魔力だけで防御をしている。

 黒帯ほどではないが相当な練度である。

 と、感心していた次の瞬間勝負は決まった。

 立っているのは夜鳥だ。

 百武は魔力が切れたのか倒れ伏しているが実際のところ彼女の攻撃で意識を刈り取られていた。

 相当なスピードだったので見逃しそうになったほどだった。


『勝者は夜鳥選手です!!』

『いやー凄かったねぇ!』


 ここからは試合の反省が始まりこの試合は終わりとなった。

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