150話 黄色い鳥は何の鳥?
テストがあったため更新ができなかったんです。
仕方がないです。
え?勉強?
ま、まあ、しましたよ。テストの前に教科書開くとか。
「おーすっげ、美人!」
金髪がいきなり声を上げたことにビクつきながら顔を上げる。
現在、俺は紗奈と金髪、ヒヨウ、百目鬼について席まで歩いている途中なのだが、金髪に上げた声に皆が止まる。
視線を向けた先には黒のセーラーにカーディガンを羽織った少女だった。
ちなみに七高の制服は意外にも統一性はないが申し訳程度に名前に関する色が入ってたりする。
とは言え、俺たちで言えば赤ということになるのでラインなんかが入ってたら流石にダサいのかネクタイと校章の色が赤いくらいしかない。
そして金髪の視線の先にいる彼女の制服のリボンは黄色であった。
恐らくと言うか多分――
「き……きこうだな」
き……なんだっけ?
「黄鶺鴒高校だよね。伊織君すごい」
「あ、そうそう、それ」
一見馬鹿にしているようにも聞こえるが、紗奈の場合本気で凄いとか言ってそう。というか何がすごかったのだろう?物知り―とか?
まあ、どっちでもいい事ではあるが、それよりも俺は金髪の意見に異を唱えたい。
あれは美人ではあるが何というか綺麗系ではなく可愛い系だ。
凛としたたたずまいがなんともたくましくあるが顔だちを見ればあどけなさがあるというか。
それにしても雰囲気で実際の顔と随分変わって見えるんだな。
表情だけでなんとなくの性格を図ることができる。表情は人生の履歴書的な。知らんけど。
「てか、痛いんだけど」
「伊織君がジロジロ見てるから」
「すまん」
正直そこまでやましい気持ちはなかったが確かに紗奈が横にいてするべき行動ではなかったな。
俺だって紗奈が他の男見てたらやだし。
そんなことを考えているとこちらに気付いたような彼女はこちらに歩いてきた。
そんなにジロジロ見てただろうか。
「おぉ!これって逆なんの予感」
「黙れ」
「つーか、されるなら俺だろ」
「まあ、ナンパの場合内面何て見ようがないし確かに百目鬼君だろうね」
変なことを言った金髪を黙らせることに成功した俺は先ほどの反省を活かし、ばれないように盗み見る。
いや、正面から見といてそれは無理か。
「初めまして甲野希湖ノと申します。お会いしたかったです、月宮紗奈さん、それに津田伊織さん」
紗奈を見た後、顔だけをこちらに向けて微笑む。
紗奈がいなかったらやられてたな。
「初めまして月宮紗奈です」
「津田伊織です」
「わざわざありがとうございます。そちらの方たちは?」
他の三人を見た彼女はそういった後、自己紹介を三人とも済ませた。
こういう時蚊帳の外だと気まずいもんね。気遣いの出来る人なのかもしれない。
「で、会いたかったというのは?」
「実は前回の新人戦の映像を拝見したのですが途中で棄権してしまったようなので今日実際に戦えればうれしいと思いまして」
この人も出るのか。
「ああ、まあ、危険というか体調がすぐれなかっただけだけど、やれるといいですね」
「ええ」
希湖ノはそういって笑った。
話し終えた俺たちは蒼介たちと合流して座ることにした。
席の座り方もメンバーも受験の時と変わらないのでわざわざ説明する必要もないだろう。
入学式の時に隣に座った奴と仲良くなるようなイベントはなかったため新メンバーなどいないのだ。
「そうなんだ。伊織も結構人気だね」
「そうなの……か?いや、まあ、それなりにそういうがあるのは最近自覚してきたけど校内では今、割と不人気だったような」
最近学校に行かなくなって今思えば学校でのみんなの行動はって考えて自覚してきたことではあるがそれでも今はそんな状況でもなかったはず。
しかし、失ってから気付くとはよく言ったもので、今になってやっと少し自分の扱いがああだったことを察した。
まあ、知ってても避けられることでもないのだろう。
いろいろと失敗した人はあの時は意外と輝いてたんだなと思うのが常なのだろう。
「まあ、校内ではね。でもそれは赤高に限った話だし、それに『七祭』に出場するような選手なら尚更伊織が弱いとは考えないよ」
「そんなもんか」
言われてみればそんな気もする。
「それより君があったっていう子、多分結構強いよ」
「そりゃ出るからなってわけでもないか。はぁ、なんか美男美女ばっかだな」
よく考えると皆顔が整っている。
俺みたいな陰キャでも輝けるんだってなるところなのに強いのは結局美男美女だとなると世の陰キャ君たちは血の涙を流しているだろう。
まあ、強い奴が美男美女だと花があるからいいのかもしれないが。
と、俺の思考はどうでもいい方へそれていった。




