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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第二章 ちょっと長めの進級準備編
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14話 友達いないと自撮りなんてした事ないよね


「あ、やべケータイの充電死んだ」


「わふん」


 俺は0%になり、暗くなった画面に写る自分の顔を見る。


「結構いけてると思うんだけどな、なんで、モテないんだろ」


「わふぁ」


 興味なさそうに犬、ではなく狼が欠伸する。


「そう言えば名前つけてねぇな」


「わっふっ!」


「ワッフルか確かにいいな」


 犬はブンブンと首を振る。


 言ってねぇと。


「まあいいじゃんか、わっふるで」


「わふぅ」


 仕方ないなとばかりに犬もとい、わっふるは鳴く。


「お肉焼けましたよ」


 そう言って部屋に19歳の女の子テイリが入ってくる。


「あ、ありがとうごさいます」


「わふっ」


「いえいえ、私たちにはこれくれいしか出来ないですから」


 というのも、俺が飛ばされたあの日道すがらモンスターを倒しながら歩いていた時家屋を発見した。


 デザインは洋風というか、ファンタジックというか、でもゲームとかでいう村にある家とかというより、都市とかそんなところにあるような家に見えた。


 だが、2度目の連絡で理由が分かった。


 転移だ、よく見れば地面ごと、と言うか道路などであっただろう石畳ごと飛んできたようだ。


 そこだけエリアが違うとでも言うように規則正しく切り取られたように地面に石畳が敷き詰められていた。


 それと、二回目の連絡は向こうからかかってきたのだが、紗奈だった。




「も、もしもし」


『もしもし、何で伊織君私にかけてくれなかったの?』


 なんか、怒ってる?


「いや、なんか」


『なんか、じゃわからないんだけど』


 何で怒られてんだ?


「俺としても、緊張すると言うか、迷惑にならないかなとか」


『彼氏から電話がかかってきて嫌なわけないでしょ』


「なんかすんません」


『いい?これからは毎日連絡すること』


「いや、充電が足りなくて無理なんですけど」


『充電すればいいでしょ、お金もスマホに送ったと思うんだけど』


「いや、あのここ街中じゃないと言うか」


 ちなみに現代っ子でありながら電子マネー使った事はない。

 

『そんなわけ……、転移』


「転移?そりゃ俺転移したっぽいけど」


『ううん、そうじゃないの、あの光どうやら、いろんなところで起こってたらしくてそれで地形ごと転移してしまったなんてことも珍しくないって』


「じゃ、本当は街中だったってこと?」


『うん、GPSが壊れてなければそこは京都郊外、といっても都市には近いし店ならいくらでもあったはず、今の周りの特徴教えてくれる?』


「あの、その、前に詩も言ってたけどGPSって何のは――」


『周りの情報を教えてくれるかな』


 声が少し低くなった気がする。

 

「え、あのGP――」


『電波が悪いのかな?周りの情報を教えて』


「はい」


『あ、写真撮ってよその方が伝わるでしょ、後、顔、やっぱできるだけ全身写して』


「それ必――」


「必要だよ、本当にそこにいるかわからないじゃん、捜索の時もきっと必要になるし」


「う、うん、あんま自撮りとかしたことないからミスったらごめん」


 インキャは友達がいないのでそんな機会は無い。


 いや待てそれは、ぼっちでは。


 いや違う、俺には蒼介がいる。


「いいよ、証拠があればいいし」




 そんなこんなで、写真を送った。



 

「うまっ」


「わふっ」


 モンスターの肉を頬張る。


 意外とうまいな。


「ありがとうございます、でもモンスターを狩れない私たちにはそれくらいしかできないので」


「それだけで十分ですよ」


 テイリ達飛ばされる前は街に中に住んでいてモンスターを狩るのは専門の職についた人がやる事だったらしい。


 と言うか、モンスターの死体持ってっただけで、捌いてしまうテイリの方がすごい。


 それと、俺はモンスターを狩る代わりにここで、泊めさせてもらっている。


 ここで待ってれば救助が来るらしい。




「ふふふ」


 紗奈は一人スマホを見ながら笑う。


 思わぬところで伊織の写真をゲットしてしまった。


 邪魔にはなってないが、若干画面の隅に写ってしまっている彼の指先を見ると慣れないであろう自撮りを一生懸命頑張って自分のために撮っているのを想像して何とも可愛らしくて、思わず笑みが出てしまう。


 ちなみにこの部屋は紗奈と詩しか使っていない。


 皆は体育館や教室などに男女で分かれ床にテープを貼り平等に分けた多くないエリア内で過ごしている。


 こんな待遇なのは、津田伊織と連絡を取れるのは日高蒼介、津田詩、月宮紗奈だけであり、親しい存在と言う事で、事情聴取及び情報提供のために津田詩、月宮紗奈は各学校から本部が設置された郁谷第一中学に連れてこられたからである。


 連絡が可能なのはこの3人だけであることに驚きクラスLINEなど、何かないのかと聞いた【鳰】は少し申し訳なくなった。


 ちなみに蒼介がいたのにグループに入れなかったのは蒼介が皆招待されるのは普通であり、とっくに誰かに誘われていると思い込んでたからであった。


 そして学校間の行き来に関しては二人がおいそれと、行き来できる状況でもないし近いとは言え両学校はそれなりに離れている。


 なので、精神面も考慮してお互いに気軽に接することができたほうが良いと判断し二人に部屋を割り当てた。


 が、伊織ではないのだ、二、三日目立つ他校の制服と、小学生がいれば自発的に行かなくとも必然的に話しかけられる、


 それに、全校生徒がいるのだ。


 それに加え二人は顔も良く、コミニュケーション能力も、割と高い。


 伊織ではないのだ。


 そして普通に知り合いや友達ができた。


 伊織ではないのだ。


 【鳰】は直前までの話のせいで伊織を基準に考えてしまっていたことに思い至った。

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