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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第八章 赤翡翠高校編
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148話 sizumi川竹

タイトルは半角になってて気づかずに打ったやつをそのままにしてるんですけど個人的になんかシャレオツ。


 紫炎は舞い上がり触れたものを燃やしていく。

 美しさに騙された哀れな魔物は身を焦がし、逃げようとしても飲み込まれる。

 それは粒子となり消え、また、糧となり一人の人間へと貢がれる。

 すでに少年の視界に入ったものは生きることを許されず魔力だまりから生まれる強力な個体でさえ運命は決まっている。

 まさに生簀の鯉。

 紫炎を纏う少年にとっては鯉も魔物も変わらなかった。








「ふぅ」


 俺は息を吐く。

 別に変なことをしていたとかじゃない。


 現在場所は鳥取県にある危険区域。

 紫炎を使うために来ていたのだ。

 とは言えもうそこまで手ごたえもない。

 あの時俺たちが苦戦したモンスターたちは相手にならないし俺が喰魔を使ってやっと倒したのより強い奴も倒せるようになっていた。

 明らかに異常というスピードで力が増していた。

 俺がここ一年で上げたトータルの力を寝て起きただけで何倍もの力がついてしまったのだ。

 蒼介が言うには今まで俺が二つの魔法を出す際に使われていたリソースが一つの魔石になったことで一度に出せる出力が変わったとかなんとか。

 俺の感覚的にはそれで説明がつかないほどではあったのだが納得しておくことにした。


「それよりも力を上手く使えるようにした方がいいからな」


 単純な力は上がったもののまだまだ使いこなせていない。

 恐らく俺が引き出せているのはほんのちょっとだけ、それでも十分に強いのだが幹部の人たちには敵わない。

 というか今になってやっと正確に強さを推し量れるようになったというか。

 朧げな存在から現実味のある存在へと変わったと言えばいいだろうか。

 まあ、俺が自信を幹部の人たちと比べて何て考えられるようになったのはこの力によるものが大きいのだ。


 とは言え実のところもう数十日は練習をしている。

 お陰様で魔力は多いので精神面以外は基本疲労はないのだが未だに力を使いこなせていなかった。

 だから、今日も学校へ行かずにこんなことをしている。

 なんか学校に居づらいという雰囲気があるのもあるのだが。


 ということは紗奈も一緒にいるのかと思われそうでもあるがそうでもない。

 初めは一緒に来ようとしたが紗奈まで、というか俺は喰魔の恩恵で成績はそれほど関係ないが紗奈はそうではないので説得していかせたのだった。

 結局俺に見せる分のノートを書いてくるというミッションを押し付けてやっとではあったが。

 普段碌にノートを取らない癖に必要ないだろとも思われそうなところではあるが紗奈は引き受けてくれた。

 なんか体よく使ってるみたいで申し訳ないがそうでも言わないと言ってくれないから今回は仕方ない。

 

「なんか悪いしなんかしてあげようかな」


 プレゼントとかいろいろ考えてみるが浮かばない。

 そもそも、くそ陰キャの俺にそんなものがわかるはずがなかった。

 そういえば紗奈は毎年誕生日とかそうじゃないとか、というか割と一年中くれるのだがもちろん俺も返そうとするのだが結構遠慮されてしまう。

 俺のお財布事情を見て判断しているようですごくほしそうな顔をしていてもそっちを優先してくれるのでなんだか情けない気持ちではある。

 とはいえ、あまり俺が使える金がないので助かってはいるのだが。

 紗奈は基本あげたものは何でも使ってくれるので変なものを渡すわけにもいかない。

 小学校の頃俺が買ったくそださ財布を何年か使ってた時は流石に新しいのを買ってあげたが同じ轍を踏むわけにはいかない。


「うーん」


 悩むところだ。

 小学生なら文房具とかでもよかったかもだけど。

 毎年いろいろ考えて結局詩に手伝ってもらってるので自分だとなかなか思いつかない。


 俺はここから結構な時間悩みモンスターの攻撃を受けそうになるまで気付かないのであった。









 学校に慣れてくるとやはり時間が早く過ぎることや、長期間休んでいるとまたもや時間が早く過ぎるものであっという間に七祭当日である。

 今回は七校すべてから人が集まるということで尋常じゃないくらいに人が集まっている。


「伊織君こっちだよ」

「うん」


 子ずれの親子さながら紗奈に俺は手を引かれて歩いていた。

 しかし今回ばかりは許してほしい、仕方ないのだ、人多いし、人多いし、人多いし。

 あと、俺を見る目が若干気になってこうしてないときつかったりしたりしなかったり。

 話しかけてくるわけでもないし大丈夫だろとか考えていたが実際来ると案外きついものがある。

 とは言え七校も集まってきているのだから外部の生徒の方が圧倒的に多いため何とか心を落ち着かせる。

 学校で普段から話しかけられないのだから悪感情を持った人たちなら余計近寄ってはこないだろう。

 まあ、本人たちに悪感情を抱いている自覚はあるがどうか知らないが懐疑的に見られていれば正直な話当事者からすれば同じなのだ。

 とは言えその人たちを責める気もないし相手からしてみてもここらあたりがないことを言われても迷惑だろう。というか話しかけることが出来るのなら友達がとうの昔に出来ている。

 まあ、気楽にいこ――


「お、津田来てんじゃーん」

「おはよう」

「お前手を引いてもらって子供か?」


 ビビり過ぎてちびるかと思ったわ。

 蒼介たち以外に話しかけられるのは久しいからな。

 というか、入学以来何故か校内で見当たらなかった三人じゃん。


「いやー間に合ってよかったな」

「今回の試合は普通に見たいしね」

「そうそう前回みたいのはこりごり」

「お前ら人に話しかけといてこっちにわからない話題を話始めるなよ」


 金髪、ヒヨウ、イケメンに俺は指摘する。

 話せるようになったからいいものの他のやつにやられてたらきつかった。


「あーすまん。成績が上がったから気兼ねなく大会を見れるって話だよ」

「そーいうこと」

「ほら、早く行こうぜ」


 久しぶりの三人はそういって俺を席へと案内した。

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