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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第八章 赤翡翠高校編
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135話 天は天に在り


「ハァ、ハァ、ハァ……」


 膝に手をつき息を整える。

 額に伝う汗を服の袖で拭う。


「もう一回!」


 そういい放ち地を蹴る。

 相手との距離は精々二十メートル、それだけで距離の問題は解決する。

 問題は攻撃だ。威力は申し分ないが技術差のある相手、しかも魔素を乱してくる相手となると魔法による攻撃では今現在の俺ではダメージを与えられない。

 それなら――

 力み過ぎないように刀を握る。

 魔法なしで刀の力だけで斬る。

 それだけの力がこの刀にはある。


「はぁあ!!」

「甘い!」

「ぐっ!?」


 しかし、刃はあっさりと無骨な武器に抑えられる。

 黒く光ったと思った瞬間一瞬で距離を取られる。

 いや、距離を取らされた。


「よく見抜いたな」


 そう言われ俺は反応することなく刀を構える。

 構えたのだが。


「今日はここで終わりにしよう」


 彼方から投げかけられたのはそんな言葉だった。







「また負けた……」


 まただ。一年努力したが未だ届かない。


「いや、それでもお前は強くなっている」


 そう声をかけるのは、今さっきまで武器を向けあっていた相手であり、俺の師匠でもある黒帯(コクタイ)だ。

 俺はこの一年間引き続き黒帯に指導を受けていた。

 だが、今だからよくわかるがこの人強い。

 俺はほぼ毎日指導を受けているのだが全く勝てるような気がしない。


「でもまだ全然ですよ。攻撃だって当てられないし」

「それは事実だが、俺が今では本気を出さなければ負ける可能性もあるということも事実だ」


 そういって、黒帯は自身の愛刀、クロウホノマをさする。


「まあ、ともかく、今日は帰れ。『新人戦』は明日だろう」

「わかりました」


 そういえばそうだったと思い出す。

 いつもの癖で続けようとしてしまったが流石に疲れた状態で出るわけにはいかない、そう思い素直に返事をする。


「そう言えば、月宮は今日はいないんだな」

「ああ、今日は明日のために少し調整してるらしいですよ」


 真面目だなと思いながらそう答える。

 それと今日はいないというのはいつもはいるということだ。

 紗奈は俺がここに入り浸るようになってからは用事がない限りついてくることが多いのだ。


「それと、【秋沙】がお前に会いたがってたぞ」

「あいささんが?」

「ああ、帰りに顔を出してやってくれ」


 そういえば最近会ってなかったな。

 帰りに寄ってくかと思い俺は了承して部屋を出る。

 



 



 

 5月28日。

 新人戦当日。

 生徒たちはすでにスタジアムに集まりにぎわっている。

 会場は受験に使われたものと同じタイプの物が使われている。

 見物には一年以外もいるのが確認で来るが全校生徒を合わせても受験者よりは圧倒的に少ないので持て余すくらいで席は十分余っているようだ。

 ちなみに、七祭は外部からも人が多く集まるらしいのでこれより大きい会場になるらしい。


「じゃあ、確認だけど――」


 蒼介がそういって俺と紗奈に向かって話始める。

 何かというと、ルールの確認だ。

 主に俺のために確認してくれてるらしい。


 ルールと言ってもちょっとした制限があるというくらいだ。

 新人戦では攻撃の威力を肩代わりしてくれる道具を使うのだが、あらかじめ設定された体力ゲージが0になると敗北。

 それ以上の攻撃は禁止。

 アイテム、魔道具の類は原則禁止。(一部許可されるものもある)


 まあ、それくらいだ。

 魔法には制限もないし、会場には魔力障壁画貼ってあるしって感じらしい。

 あ、ちなみに俺は魔法の威力制限された。

 闇炎は禁止らしい。


 まあ、こんな具合だが七祭の時はこれらはほぼ制限がなくなるらしい。

 へーって感じだが、唯一殺しが禁止されている。

 まあ、審判の裁量で悪質なことをしたりしても失格になるらしいが。


「じゃあ、伊織大丈夫だよね」

「まあ、多分」

「……心配だなぁ」

「伊織君は私がお世話するから大丈夫」


 なんか信用されてないようだ。


「あ、僕の番だね行ってくるよ」


 そういえば蒼介の出番は早かったなと思い出す。

 

「相手誰だっけ?」


 今回の大会はトーナメント制、優勝者だけが七祭に出れるわけでもないがしょっぱなで負けると終わる。

 ということで相手は大事だ。


「えーと、確か、明治健治くんって人」

「へー」


 やべぇ、覚えてねえ。

 まあ、とにかく応援をしておこう。


「がんばえー」

「伊織君可愛い」


 何故か紗奈の士気が上がった。

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