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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第八章 赤翡翠高校編
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133話 昔千里も今一寸


 なんか新学期早々イチャついてるやついるとムカつくよな。

 わかる~。

 多分皆思うはずだ。

 だからこれは仕方ない。


「伊織君、お茶飲む」

「飲む」


 入学から一か月たった俺には新しく友達が出来ていなかった。

 正直、紗奈がいるから困ってないのだが、友達がいるかどうかということより、なんかクラスメイトがよそよそしい。

 俺も入学早々教室にカップルがいたら排斥しようとするだろうが、多分こいつらは違う、なんか俺単体に対してそういう意識が向いている。

 なんか、いじめみたいで悲しい。


「では今日のHRでは新人戦のメンバーを決めますよ~」


 担任が黒板に『新人戦』と書き綴る。


「前にも話したと思うけど五月末にはあるのでもう決めないといけないので立候補ある人は手を上げてくださいね」

「新人戦?」

「前も言ってたけど各校から選抜した選手によって魔法技術を競い合うんだって」

「へー」


 新人戦というのはどうやらネストに関係している七校の中から選手を選びなんやかんやする大会だという。

 名前の通り一年生からそれは選ばれ、優勝すれば成績が良くなるとかなんとか。

 まあ、俺はそれを上回るスピードで成績を落としていくから関係ないがな!

 というか、そんないい成績も出せなそうだし。


「枠は二人あるので男女で行きましょうか」


 俺思うんだけど男女に指定しなくてもよくね。

 やりたい人が自分から言えないっていう雰囲気でもなさそうだし。

 というか、異様に意欲が高い奴が多いから男女で絞らなくても……。


「先生。津田伊織君が良いと思います」

「そうね~いいかもね」


 いいかもね、じゃねーよ。

 というか、散々無視しておいてよく推薦なんてできたな。


「じゃあ、私もやります」

「なら、月宮さんも追加で。他はいますか~。いないようですのでこれで決定しますね」


 紗奈がやるのはいいとして何で俺決定してんだよ?

 本人の意思表示は?多様性は?

 っていうか皆はやらないの?

 授業も大真面目に受けてるような君たちがこれで納得するとは思わないけど。


「「「はーい」」」


 はーい、じゃねーよ。

 大多数で返事するとか卑怯じゃん、というかこれは新手のいじめですか?


「頑張ろうね。伊織君!」

「うん」







「ということなんだが……」

「いや、どういうこと?」


 放課後敷地内にあるカフェで俺、紗奈、蒼介、ゆあの四人は顔を合わせていた。

 なぜこんな陽キャスペースに俺がいるかというと、まあ、単純な話、俺以外が陽キャだからだ。

 陽キャというのは何故かこういった場所が好きらしい。

 ちなみに言っておくと某珈琲ショップは人にもよるが意外とガチ陽キャはいないから陰キャのみんなは安心してね。まあ、陽キャどうこうではなく場所として入りにくいのは分かるが。(by入店したことない陰キャ)

 

 と、それはともかく、蒼介たちに新人戦のことを話した。


「おめでとう」

「いや、そうじゃねー」


 確かにこういうのをやらされるにしてもなまじ力がある分ちょっとは俺TUEEEE出来るかなとか妄想してはしまうものの俺が言いたいのはそういうことではない。


「でもすごいね。二人とも選ばれるなんて」

「ゆあさんも結構強かったでしょ?」


 何とかこの一か月で会話が出来るようになったのでゆあさんに聞き返してみる。

 ゆあさんも魔力量も多かったし選ばれてそうなものだが。


「あー。でもうちのクラスには佐梁君がいるから」

「さりょう?……ああ、二位の人か」


 そういえばいたなと思い出す。

 別に眼中にないとかじゃなく忘れていた。


「でも、蒼介くんもなったんだよ」

「へー」


 予想通りって感じだな。

 蒼介なら結構強いし。


「ん?あれ?そうするとベスト十以内が一クラスに三人もいるのか?」


 俺はふと思いいたり聞いてみる。

 俺たちに学年は全クラス八組からなっているが、それなら生徒のバランス的に単純計算して、二人のクラスと一人のクラスが出てくるはずだ、そんな状況の中三人をまとめて同じクラスに入れるのは考えにくい。


「それはAクラスからDクラスまでは新人戦に出るけどEからHは出場できないからこうなったんだよ」

「出場できない?」

「この学年の半分の生徒は戦闘職につかないからね。ほら、【Nest】の開発部みたいな人たちがいたでしょ?」

「ああ確かに」

「ああいう人たちでも【Nest】の階級は必要だから入学してから試験も受けるけど基本こういうのには出ないんだ」


 そういえば、なんかコース名が違った気がする。

 俺たちのコースが『魔法被害対策コース』的なやつで他が『魔法技術対策コース』みたいな感じだったような。


「あれ?」

「どうしたの伊織君?」


 ふと、疑問が湧いて放った言葉に紗奈が反応する。


「いや、三人の理由は分かったけど。俺と紗奈とか、蒼介たち三人とか順位で見たら明らか偏ってね?」


 よく考えてみれば、ゆあ以外上位半分と言っていい具合なのに固まっている。

 そうなれば同じベストテンと言えど他のクラスとの差がすごいのではないかと思ったのだが。


「それは、私が頼んだから」


 俺の疑問に答えたのは紗奈だった。

 しかし、頼んだ?


「推薦の話で少し手続きが必要であっちの人と接触した時に少し」

「いや、少して」


 どうやらこれは意図的なものだったらしい。


「じゃあ、そっちに三人が固まってんのは?人数は分かったけど、さりょうとお前が同じなのはおかしいだろ?」

「まあ、僕もちょっと……」


 言い淀む蒼介。

 まあ、結局そういうことだったのだ。


 世の中は一部の人に都合よくできてて怖いなと思った俺は珈琲を啜った。


 あ、珈琲飲むと喉乾く同士いる?

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