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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第一章 中学一年生編
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12話 ペットと報告書


 目を開ける。


「知らない天じょ、おっと地面だ」


 うつ伏せになってたようだ。


 仰向けになる。


「知らない天じ、知ってる空だ」


 と言うかさっきから、重みを感じる。


「なんなんだ?ってさっきの狼か?でも、全部死んだはずじゃ?」


 いや、そう言えば、1匹逃げた奴がいたっけ。


「魔力結構削ったけど、やるしかないか」


 俺は刀を……コレでいいか、回収したアデゥシロイの刀を抜き構える。



「クゥぅん」


 狼は地に伏せる。


 いや、斬り伏せたわけじゃない。


「何だ?降参ってか?」


 こんな事されたら、斬りにくい。


 かと言ってさっきの後ろからの衝撃もこいつだろうし放っておいてもな。


「……そう言えば」


 ふと思い出し首飾りから首輪を取り出す。


「主従の首輪って言ってたしな」


 狼の首につけてみる。


 つけてみて分かるがこれ、人間用じゃないわ、奴隷とか言ってた俺が恥ずかしい。


「わふっ」


「なんか、見た目が犬っぽくなってないか?」


「わん!」


「気のせい?」


 と言うか何と無く言ってることがわかる。




 それからコミュニケーションを取ってみたが色々と分かったことがある。


 まず、こいつは初めから敵意がなかった事。


 どうやら、外に出て知らないものがたくさんあって、はしゃいで飛び出していったが戻ってきたら仲間全滅、変な光の柱もあった。


 よくわからなかったが強いものに従うのが狼達のルールーである。


 だから、俺を新たな群れ主に決め、ダイブした、そしたら俺ごと光の中に入ってしまったらしい。


 曰く、うっかりだわん!


 と言う事らしい。


「まあいいや、今の時間は?」


 ポケットからスマホを取り出す。


「なんか溶けてるような……いや、気のせいだ」


「わふ」


 動くしな。


「朝、七時……あのまま寝てたってことか」


 そういえば怪我も治っている。


 倒したのは黒狼だけだが、経験値は入ったらしい。


 でもアイツら死体だったんだよな。


  それより、何時間寝たんだ?


 いち、にー、さん、そもそも、どれくらい戦ってたかもわかんねぇ。


「まあいいか」


「わふ」


 で、どうするかだが、ここはどう見ても校庭ではない。


 転移とかそんな感じだろうか。

 

 なんか、地面干からびてるし。


 こんなところで、どうやって生きれけばいいんだ?


 さっきしまったばかりのスマホを取り出す。


「……いかんいかん、すぐに、スマホで調べようとしてしまった、現代っ子の悪い癖だ」


 こんなところで電波届くなずもないのに。


「ん?」


「わふ?」


「電波入ってるぅ?!」


「わふぅ?!」


 つーか何でこいつ俺の真似してんだ?


 それよりも電話できるってことでは?


「詩でいいか」


 ボタンを押し電話をかける。


 ワンコールで出てくる。


 俺のことをよほど心配してくれ――


「ごめんなさい、ごめんなさい、謝るから、お兄ちゃんが大事にしてる、ガ◯ダム?の人形の(つの)の折ったのも謝るから、連れてかないで、ナンマンダムナンマンダム」


「俺泣きそうなんだけど」


 あのアンテナお前が……


「ならよかった、コレね昨日頑張って考えたんだよ」


「いや、感動したわけじゃないんだけど、と言うか、なんで生存してるって分かったんだ?いや、それより折ってないんだな?」


「?、うん、でも、紗奈ちゃんが大丈夫って言ってたし」


「いつから紗奈はエスパーになったんだ?」


「ん?普通に現代科学で解決してたよ、スマホのGPSは反応ないけど、もう一つの方は反応あるって」


「もう一つの方って、いやそもそも、スマホの方も知らないんだが」


「お兄ちゃん細かいこと気にしすぎ、じゃあ観光楽しんできてね」


「冷たくない?」


「わふぅ」


「と言うか、観光以前に食べるものすらなさそうなんだが」





「伊織から電話が来た?」


 蒼介は驚いたように、詩に聞き返す。


「うん、元気そうだったよ」


「それなら良かった、いくら、GPSが現在地を示していても俄には信じられないしね」


「蒼介さん、ずっと、心配してましたもんね、いやーお兄ちゃんも人騒がせだな」


「蒼介くんもだけど、詩ちゃんも大概だったけどね、と言うか何で私にも連絡してこないんだろう」


 二人の話を聞いていた、紗奈が、何で、何でと呟くが、口角は上がっているものの目が笑ってない。


 昨日は目の前に居たのに助けられなかったと落ち込んでいた蒼介と、心配した詩の空気が重かった。


「それ、僕に掴みかかってきた紗奈さんだけには言われたくないんだけど」


 後から話を聞いた紗奈は取り乱し蒼介の胸ぐらを掴み追い討ちをかけるように責め立てたのを思い出す。


「それはさっき謝ったじゃない」


 正直、死の恐怖すら感じた蒼介からすればそう簡単に割り切れるものでもなかった。


 何故平日の昼間から集まり、そんな話を3人で話していたかと言うと、いま避難民は伊織と蒼介の中学である郁谷私立第一中学他、3校の体育館に集まっていた。


 ここに、紗奈と詩がいるのは、【鳰】に事情を聞くためにここまできたからだ。


 外のモンスターは【鳰】の部下が掃討しているが、外に出るには念のため護衛をつける必要があり、二人がここに居るのは特別だ。



 

 

 14時23分ごろ発生した魔素で構成される光の柱によって、各地にモンスターが出現。


 日高蒼介からの連絡により、転移を使用し【鳰】が現場に急行、日高蒼介の情報から人員の確保、人員の不足によりやや出発が遅れる。


 14時48分現着。


 郁谷第一中学の校庭で、日高蒼介及び仲間である津田伊織を発見。


 モンスターとの戦闘を確認。


 出現モンスターは黒い魔力を纏い強化されたであろうウルフタイプの魔物を多数発見。


 後に、日高蒼介の協力により、死体からグレーウルフだと判明。


 纏っていた魔力は闇属性だと推測。


 魔力持たない謎の人狼アデゥシロイを発見。


 魔力を持たず存在の保存を行なっていることから鑑定結果と擦り合わせ亜人と推測。


 直ちに、大規模拘束術式"神縛結界"の準備に移行。


 14時59分、"神縛結界"の行使。


 辛うじて、動きを抑えるが、長時間の拘束は不可能と判断。


 15時02分、同じく大規模殲滅術式"Nemesis"の準備に移行。


 15時13分、"Nemesis"の発動直前、空から高濃度魔素の反応を確認。


 "Nemesis" の中断、及び万が一のことを考慮し防護結界の起動。


 魔素の性質から単なる魔素の塊では無く、大規模魔法又は魔力災害と推測。


 結果、郁谷私立第一中学の校庭の消失。


 その際負傷者無し。


 大規模な魔素被害で魔力の感知は困難であり、殺意及び敵意の無かったが為に不意をつかれ敷地外からのグレイウルフの侵入を許す。


 グレイウルフは負傷し動きの鈍くなっていた津田伊織の背中を押し自分もろとも高濃度魔素体に突入。


 その際津田伊織及びグレイウルフの反応を消失。


 17時54分、周囲に存在のする、人口の密集した、中学校及び小学校の生徒の保護を教員の協力のもと完了。


 死者は確認されていないが、日高蒼介を除く負傷者を一人確認。


 右腕の肘から上が切断され、切り口には闇属性の魔力を確認、目撃者の証言と併せてアデゥシロイの攻撃だと考えられる。


 闇属性の魔力は、摘出は不可能であるが、その影響で出血は確認されず。


 現在、郁谷第一中学校の保健室で経過観察中。


 今いる人員で可能な数であり、魔物の特性から考え、狙われやすく、自己防衛能力の低い児童、及び生徒が多く集まる教育機関に保護を限定する。


 その際、津田伊織の妹、津田詩及び交際相手の月宮紗奈と接触。


 自分の責任で津田伊織に被害を与えてしまったことへの謝罪、事情説明の際、月宮紗奈から津田伊織の位置情報を提供、そして、救出の依頼を申請される。


 それを承諾。


 津田伊織は高い戦闘能力、そして、―閲覧制限―

 の会得及び―閲覧制限―を可能とする。


 デメリットも多くあるが既に実用可能段階まで魔法の発現から僅か数週間で移行している。


 以上のことから、人員を動員するに値するものと考える。




「とは言え、保護してる生徒も多いからすぐ動けないんだよな」


 【鳰】は慣れないパソコンのエンターキーを叩きそう呟く。


 そもそも、パソコン以前に中卒の自分的には文を書くのも慣れないことだが。


 とそこで、コンコンとドアが叩かれる。


「入っていいよ」


 そう答えると、部下が頭を下げながら入ってくる。


「【鳰】さん、先程は詩ちゃんのスマホに伊織君から連絡があったらしいです」


「本当か、ちゃんと生きてたんだな」


「ええ、無事でよかったです、あの子が時間を稼いでくれなかったら、私たちも術を使えなかったわけですし」


「そうだな」


 そう言って【鳰】は、津田伊織からの連絡があった旨を文に追加した。

鳰さん中卒です。

理由は僕がこういう堅い文書けないから。(保険)

中卒と言っても偉大な方は沢山いるので一概には言えませんけどね

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