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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第八章 赤翡翠高校編
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126話 一期三会くらいはしたい


 試験当日俺は紗奈と一緒にゲートを使用し赤高に向かっていた。

 今一緒にいるのは紗奈だけだが蒼介は別行動、他の連中は後から合流らしい。

 なんでもネストに入ってないと手続きが大変とか言ってたが、前に詩を鳥取に連れて行ったときはそのまま入ってしまったけど大丈夫だろうか。


「怒られたらどうしよう」


 俺の豆腐メンタルでは耐えられない。


「大丈夫?伊織君」


「うん。気にしないで」


「?」


 紗奈が首をかしげるのを見て癒される。

 彼女のいる俺はリア充なんだ。だから、怒られても怖くない。なんかウェーイって感じで受け流してやる。


 それはそうと蒼介がなぜ別行動しているかというと彼女である桜庭ゆあさんを迎えに行っているらしい。


「わざわざ迎えに行くなんて律儀な奴だ」


「蒼介君のこと?」


「ああ、うん。ゲートがあるとはいえ凄いなと」


「伊織君は私にしてくれないの?」


「いや、迎えに行こうにも一緒に住んでるだろ」


 家が壊れてからというもの紗奈の家にお邪魔していた俺だが流石に一年も経てば家も直る。

 ということで家に帰ったのだが直ったはずの家にはまたくそデカい穴が開いて開いていた。

 まあそんなこんなで結局俺は引き続き紗奈の家にお邪魔していた。

 紗奈曰く隕石が落ちたらしいが魔石が降る世の中だ俺は何があっても驚かない。

 ちなみに隕石は高く売れると聞いたことがあるので探してみたが見つからなかった。

 それと開いた穴は何故か隕石が落ちたというより何かで切られたような断面だった。


「伊織君が部屋まで迎えに来てくれたらうれしいんだけど」


 そんなことを言うが今日だって俺が寝坊して部屋まで来て起こしてくれたのは紗奈だった。

 完全に逆だろう。


 そんなことを考えていた時聞きなれた鳴き声が聞こえた。


「わふっ」


「ん?」


 わふ?

 そういえば持っていたバッグがやけに重かったような。

 俺は鞄を下ろしファスナーを下す。

 まあ、案の定ワッフルがいた。


「おい何でここにいる?」


「わふ?」


 わふ?じゃねーぞ。

 曲がりなりにもなんとなくお前が何を言おうとしているか契約しているおかげで分かるが、お前今何も考えずに首をかしげただろ。


「あれ?知らなかったの?今日の朝、伊織君が寝ぼけながら朝食を食べてるとき自分から器用に開けて入っていったけど」


「見てたんなら教えてくれよ……」


 ん?今なんて言った?あれ?知らなかったの?とか言ったくせに寝ぼけたこと把握してたよな?


「今回は契約しているわっふるちゃんもついてきていいって書いてあったしいいんじゃない」


 そういって紗奈はワッフルを抱きかかえる。


「わふっ」


 まあ、いいか。








 赤高にはゲートを使ったこともあり指定時刻の三十分前に着いたがすでにたくさんの人がいた。

 俺一人で来ると多分良くて五分前に到着だろうし紗奈様様である。

 なんかみんな強そうだこれで大半が【Nest】にまだ加入していないのは驚きである。

 前聞いた話だとダンジョンの体験的なのもあるらしいしそれで鍛えてるんだろう。

 あの時蒼介は俺と二人でもやっとの難易度のものもあると言ってたし。


「それにしてもすごい行列だな」


 もうすでに受け付けは始まってるようで列の最後尾に並んでいるのだが文字道理長蛇の列って感じだ。

 これでも前のほうを見ると受付がいくつかあり端末やスマホに送られてきた試験票を改札のようにかざすだけでスムーズに進んでいるのだがそれでもかなり人が多いのだろう。

 年々受験者は増えているというしまだ三回目だそういうところはこれから改善していくのだろう。

 正直これ以上ないくらいに対策がされていてこれなので俺には案が浮かばないが。


「もうすぐみたいだよ」


 紗奈にそういわれ時計を見るとまだ五分と少ししかたってなかった。

 見た目以上に早くは入れたことに驚きながら案内に従い中に進んでいく。

 というかスタッフもくそ多いし慣れてない人でも数秒もかからぬうちに案内して列が詰まることがない。

 てかスタッフの技量がえぐい。

 デジタルということもあり、うまく受験票を入り口で読み取れずに入るのに時間がかかったりする人はどうしても出てきてしまうがそんな人がいてもすぐ手動で対応。

 改札もどきいらないのでは?

 その他にも彼方側で識別方法が何かあるのかこちらが受験番号などを見せなくとも案内してくれる。


「こちらです」


 そういわれあまり何も考えずに進んでいく。

 よく電車とか乗るときに目的地が同じ人がいると何も確認せずに唯々ついて行っちゃうあれだ。

 ほら親とか……と、友達(経験はないけど)とか。


「こちらの建物にお進みください」


 そういわれて俺たちは進んでいく。

 入り口には恐らく常設されているであろう電子掲示板サイトじゃないよに『受験会場』と書かれている。


 中に入ると――


「やっぱりゲートか」


「そうだね」


 やはりというかなんというかゲートが設置されていた。

 俺と紗奈はみなれているが初めてみる受験生も多いのか物珍しそうに見ている。いや、入れよ!

 とは言えどうやら結構分散されたようで止まる受験生がいても人数的に邪魔になることはない。もちろんゲートがバカでかいのもあるが。

 そしてこんな時こそ足を止めずに入り「なんだアイツら躊躇せずに入ってる!?かけぇぇ!」をする時だ。

 まあ、ただわざわざ止まらずに入るだけだけど。


 通る瞬間、「かけぇぇ!」とは言われなかった。

 何て言ったかって?無言だよ。









 伊織がそんなことを考えているときゲートの向こう側では一瞬の静粛が支配していた。

 そしてそんな静粛を誰かが破る。


「やばい。本物見ちゃったよ」


 一人の男子受験生が感動を胸にそういう。

 そしてそれに他の受験生も反応する。


「やっぱそうだよな!あれって津田伊織だよな?」


 興奮気味にもう一人がそういう。

 ちなみに初対面だが今はそんなことは頭の中になかった。


「じゃあ、やっぱ本物?」


「すっご」


 その二人の呟きを聞いて二人組で来ていた女子が盛り上がる。


「じゃああの女の人は?」


「私知ってる!たしか彼女さんの月宮紗奈さんって人じゃない?」


「それ俺も聞いたことある」


 そんな風にどんどん周りを巻き込み盛り上がっていった。

 だがそれも当たり前ともいえた。

 なぜならばモンスターが現れた次の日に投稿されたあの動画は当時上がっていた中では一番と言えるほどの知名度がある。

 あの当時モンスターが現れる前には魔法を使用した動画は多々あった。

 そして当時はすでにそれがフェイクでないと判明しそれを見た人々は羨み憧れた。

 そうした動画たちはほぼすべて検証系の動画がであった。

 モンスターと戦っていても遠くから魔法を打って倒すのがせいぜい、そんな時あの動画がアップされたのだ。

 当時の視聴者は衝撃を受けた。

 だってその時はまだ既存の魔法を使った動画ですら目新しく皆が関心を寄せたのだ。

 それなのに魔法を使い漫画のようなことをするやつが現れたら衝撃を受けないわけがないだろう。

 伊織の学校のように伊織にそういった感情を抱かないのは極めてまれなのだ。


「すげーな。なんかゲートにも当たり前すぎて驚かない感じだったし」


「【Nest】に入ってるんだからそりゃそうよ」


「すげー。しかも俺たち今日は生で津田伊織の戦うこととかも見れるかもしれないぜ」


「た、たしかに」


 受験者と思えない提案に純粋に頷く者たち。


「よし!じゃあいこうぜ!……えっと」


「あ……」


 そこでやっと名前を言おうとして初対面だったことを思い出す。

 そんな気まずい雰囲気になってしまったが彼らは取りあえず自己紹介をするとすぐに打ち解けたようだった。


「もう行かないと遅れるぜ」


「そうだね」


 そんなことを言い合いゲートへ入っていった。

主人公描けるっていいなぁ。

前の章ではたまらずトシユキ君をぼっちにしてしまったし。

主人公はインキャでしかも僕と同じくらいの知能指数なので描きやすいです。

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