107話 陰キャの種類は千差万別
陰キャって200色あんねん。
入学式から少し経ち学校にも慣れたころ……なんて世間では言うのだろうが……
トシユキは未だ親しいと呼べる友達ができていなかった。
『このクラスって男女皆結構話せて仲いいよな』
これは、このクラスの強いて言うなら陽キャと呼べる者の発言である。
そんな発言に対しトシユキは一人、「このクラスじゃなくてお前がな」と愚痴る。もちろん心の中で。
よくある、「お前って実は結構面白いんだな」と同じである。
よく陽キャが陰キャに語り掛ける言葉だが、それはお前がそいつと関りがないだけで静かな奴=面白くないと決めつけてるからだろと。
その陰キャだって別にたまたま面白いことを言ったわけじゃなくて仲間内では普段から言っているのだろうし。
とまぁ、他人が言ったら気持ち悪いとか思われそうなことをブツブツと考えているのは先ほど言ったように友達がいないからだった。
そもそも、トシユキは中学まで割と中心にいる方だったのだがこうなったには訳があった。
この学校――少なくともこのクラスの生徒はいま、見分けられるのでさえ、出歩いている生徒四分の一、近くの席と話しているもの四分の一、そこに一塊になっている女子五分の一。そして後の生徒は全員ボッチだ。
いや、おかしいと思うだろう。
だが現実だ。
ちなみに女子が少ないため五分の一となっている。これで全部であり一塊になっている。
まぁこれで(ボッチであれば)分かっただろうが、今までは何もせずとも自分の席に集まっていた環境にいたせいでトシユキは受け身であったことも含めて孤立したのだった。
あと、ボッチ同士で仲良くなればいいと考えた君(もし自分を陽キャと認識していないのなら、今日から自分は恵まれていると思い、幸せを噛みしめながら生活しろ)ボッチというのはその第一歩ができないからボッチなんだよ。
つまり、人に話しかけるだけの勇気があればもうすでに友達くらい作っている。
まぁ、とはいうもののトシユキだって声はかけてみたのだ。
だが、悲しいかな、結局のところ相手もコミュ障、「一度話せた。よし、この人は話せる相手!」とはならない。
二度目に話しかけられることはない。
そしてまたそこの君はならまともに話せる陽キャと、とかいうのだろうがそれができないからこの行動に至ったのだと思い返してほしい。
そんなわけでトシユキはボッチだった。
中学の時は勉強が好きではなかったトシユキだがボッチになったことで授業の方が楽しみ、というか楽だった。
まさか、休み時間がつらく感じるなんて。
まぁ、授業も内容というより、生徒の質的につまらないが。一般常識が欠落したものが多いのかそれらの解説まで聞いていたらそりゃ疲れるだろう。とは言えバカではなく単純な知識不足の者(些か知識不足が過ぎるが)が半数、ちょっとあれな奴が半数ってところだが。
そんなことを思っているが何も休み時間中にずっと考えているわけではない。
まぁ、どういうことかというと周りの話を聞いてるのだ。
ボッチのくせにと思われるかもしれないがこれはボッチだからこその行動であった。
中学の頃も別に陽キャではなかったもののそれなりのカーストにいたのには理由がある。
理由と言ってもたいそうなものではないがトシユキはそれなりにギャグセンが高かった。
今はこんな生活でさび付いていそうだが。
そしてそれ故かよく、話を盗み聞きして「俺だったらこう返すとか」考えていた。
ここでツッコんだ方が面白いとか、ぼけた方が面白いとか。
もちろん一人で。
「あ、ごめん」
トシユキは久しく出してない声を使い謝罪をする。
ちゃんと聞こえたかなとか考えながら。
「ううん、大丈夫」
そして相手は女子だ。
中学の頃は~と思うトシユキは高校に入ってからの女子との会話はこれが初だった。
高校に上がりあか抜けた人が多いのかはたまた自分のクラスがレベルが高いのかは、友達もいないため教室から出ないトシユキにはわからないが、美少女と言っても過言ではないということはこの女子を見て言えた。
ちなみに名前は分からない。
把握しているのは自身の前後くらいだし。
「如月さん、大丈夫?」
向こうから彼女を呼ぶ声がした。
如月か。
彼女はそのまま去っていく。
ちょっとぶつかっただけの一幕なので当たり前なのだが。
だが、部活にも入らず、行事もほぼない中で碌に思い出と言えるもののないトシユキは心に刻んだ。
流石のトシユキもこれには我ながらキモイと思ったが。
如月風都希それが彼女の名前だった。
何故か筆が進んだ。
何故だろう?
とりあえず僕が言いたいのはボッチにも陰キャにも種類があって一括りには出来ないということ。
?




