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99話 キュウキョ

遅れて申し訳ないです。


 「二人とも学校はどうだ?」


 静粛のなか口を開いたのは頭首であるタドルであった。

 昼神家の朝食は基本黙食であるがタドルが口を開いたときのみ発言が許される。なんとも前時代的に感じなくはないが少ない記憶ながら鳰家も似たようなものだったのでかなめは特に疑問を抱かずに受け入れていた。


「俺はぼちぼちですよ」


 タケルはそうやって答える。

 次期頭首であるタケルだが社会経験のため、高校までは学校に通うことになってた。

 これは昼神家だけでなく、この界隈に属している家は基本この方針だ。無論鳰の家もそうであったがかなめの知るところではない。


「そうか、成績も悪くないと聞いていいる。頑張りなさい」


 タドルの言葉通りタケルは一番と言うわけではなかったが上位の成績を維持していた。かなめはこれを本人が時に勉強をするでもなく素の学力で獲っているのを知っているのでそういう面では尊敬のようなものすら感じていた。


「かなめはどうだ?うまくやれてるか?」


「はい、おかげさまで友達もできて充実しています」


「そうか、それはよかった。かなめの成績がいいのも聞いている。この調子で受験まで気を抜かずに頑張りなさい」


「はい」


 安心したような顔をしたタドルを見ながら返事をする。

 受験まではまだ三年はあるが継続できるようにと考えていた。とはいえ、まだ定期考査は一度もやっていないので指標になるのは四月初めに実施した実力テストだけだが。

 

 一方タドルは未だに若干よそよそしいところを見せるかなめの口から友達ができ充実していると聞いて安心していた。元々家族間で敬語を使うような生活をしていて和気藹々としろという方が難しいのだが、それとは別に血のつながっていないかなめは家族にそう簡単に相談や悩みを打ち明けることは難しいと考え、そういう友達ができたと聞いてホッとしていたのだった。


















「――ふぅ、こんなところか」


 かなめは一人息をつき作業を止める。

 今は、二十一時。学校から帰ってきてからやっているので結構経っている。

 今日は夕飯は各自でとるように言われているので集まる必要はない。そう思い書物をあさったり道具類を使って実験していたのだが夢中になり過ぎてしまったようだ。


 だが、新しく知れたことは多い。


 例えば魔力とかだが、正魔力、反魔力、霊力、妖力、となっている。

 左から順に、第一属性魔力、第二属性魔力、第三属性魔力、第四属性魔力、と呼称されている。だが実際のところ、第一第二は魔力であるが第三と第四は魔力ではない。

 

 だがそれでも魔力として分類されているのは第三、第四は魔力として扱うことができるからだ。

 

 というのも魔道具と呼ばれる類はすべてこのどれかを使えれば動かすことができる。だがこの他のそこに分類されない気や輝力、それに神力などでは動かすことができない。厳密には少し違うがこういった風に分けられているのため、この2つが魔力に分類されているのだ。


 とはいえ、現代では第一第二はいても第三第四の所有者は絶滅寸前と言えるほどに少ないようだが。

 ちなみに気以外の輝力、神力に至ってはもう完全にないらしい。


 まぁ、それでも自分が何を宿しているか気になるわけで、魔道具によって調べてみたのだが。


「……通りでな……」


 結果は第四、つまり妖力だ。

 妖力の性質として魔力と異なる点の中のひとつに魔石が使えないというものがある。

 恐らく、というか完全にこれだ。


「はぁ……こんなんで潰れたのかよ」


 思わず口にしてしまう。

 初めから妖力だと知っていればこんなことにはならなかったのにと。

 まぁ、それでもまず妖力持ちなんか生まれるはずもないのだから仕方ないかとも思いながら。

 それでも、もしかしたら、心のどこかで魔法のことをよく知れば自分が悪くなかったと言えると、そう思ってたのにやはり原因は自分だった。


 そこで初めて意外と未練があったのだと実感した。

今までの人生で困難に直面すると出来るだけ避けてきて場数を踏まずに成長したのでちょっとしたことでの疲労がすごい。精神的にも肉体的にも。


いい訳です。

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