第3章のあらすじ/主要人物紹介
第3章のあらすじ
失声の少女スティープルはヴェラム王国の地下に隠されていた扉の封印を解除しようとした疑いで処刑を宣告されてしまう。しかし処刑寸前、武器や魔法と異なる一個人だけの能力、通称プレーン能力が覚醒。『ファングド・ファスナー』と名付けられた能力を活かし、王城からの脱出に成功する。
二重人格の少年チョキ(裏人格の名はシザース)と共に隣国パーチメント王国にて新たな生活を開始したスティープル。使用人のマルル、執事のレサルタを雇い、ギルド・カートリッジから依頼を受ける日々を送っていた。
ある日、ギルドからの頼みとしてエフィ・ルレッドという少女の護衛を頼まれる。エフィは資産家一族グルーの長老宅で働いており、彼らの遺産相続を巡るトラブルに巻き込まれる可能性があるのだという。
そして長老の住まう島に到着した夜、事件は起きる。何者かに殺害された長老の遺体が発見されたのだ。弁護士である自称名探偵ペッグは内部犯を疑うが、スティープルの『ファングド・ファスナー』が聞き出した言葉は、誰も殺人犯ではないということを意味していた。
スティープルの警戒も虚しく事件は続く。ペッグの助手として正体を隠していたラキュアことウルシア・グルーを含め、残るグルーの親族全員が襲撃を受ける。さらには、一連の事件の犯人としてスティープルが疑われ、隔離を余儀なくされてしまった。
ところが翌朝、半魚の魔物シェイクが姿を現したことで事態は一変。ラキュアの死物狂いの抵抗も、その強靭な鎧の前には歯が立たない。彼女を囮に逃亡することも辞さない状況の中、スティープルは密かに『ファングド・ファスナー』の真髄を引き出していた。新たなチカラ、『ディープ・ヴァイブス』でシェイクを撃破したスティープルたちは無事にパーチメント王国に帰還。エフィと友好的な関係を築くことに成功した。
一方、シェイクの仕業とされたグルー襲撃事件の真相は誰にも語られることなく、スティープルの心に留められるのであった。
主要人物紹介
スティープル
ヴェラム王国出身。生まれつき声を出せない失声の少女。腰まで伸びた緑色の髪と、母の形見であるピンク色のコートがトレードマーク。ヴェラム王国に伝わる『王国を滅亡させる封印解除の鍵』と言われている。
プレーン能力は口を生成できる『ファングド・ファスナー』。噛みつく力は強く、人体に生成することで喋れるようにもなるが、他人の質問に対して勝手に本音を喋ってしまうようになる。さらに口に飲み込ませることで物体内部に攻撃する『ディープ・ヴァイブス』も編み出した。
チョキ
スティープルと共にチーム・ツーサイドを結成する少年。栗色の短髪と透き通った青い瞳が特徴。生まれてから一度も生物を殺害できた試しが無いらしい。二重人格者であり、別人格のシザースが表に出ている時はチョキの意識は無い。
常にのんびりとした態度口調で話し、危機感が無いと指摘されることもある。ただし、それはシザースに絶対の信頼を寄せているためであり、チョキ自身がトロいわけではない。
シザース
チョキのもう一人の人格。瞳の色は赤で、それ以外は見た目や口調などチョキと同じ。別人格のチョキが表に出ている時でもシザースの意識はハッキリしている。ただし性格面ではチョキと真逆で、目的のためなら残酷な手段も厭わない。
プレーン能力は二本の剣を顕現させる『デュアル・ブレード』。この剣で斬り殺された生物は蘇り、シザースやチョキの命令に従うようになる。生命を持たない物質の場合はもう死んでいると扱われ、ただ斬るだけで良い。
マルカ・ドール
通称マルル。スティープルたちの住むナギナタ邸にて家事全般を担当するメイド。足元まで伸びた緋色の長髪が特徴。
優しい性格だが、それ以前に従者の役割に誠実に向き合うタイプ。主人から対等な立場で扱われることを嫌い、また主人に危害を加えた相手には躊躇せずに攻撃に踏み切れる。
レサルタ・ドール
マルカ・ドールの兄。茶褐色の燕尾服を着用している。彼女と同様に現在はスティープルたちに雇わて執事を務める。肩書は執事だが医師、庭師、弁護士も兼用している。
主人であるスティープルたちに容赦なく強い口調で話すが、実際は忠実な従者。主人の命令に呆れつつも途中で投げ出すことはしない。その一方、主人であろうと手の内を全て曝け出すつもりはないようだ。
エフィ・ルレッド
ギルド・カートリッジに務める少女。片目の隠れた青い髪と、全身包帯まみれの格好が特徴。エリートを自称しているがかなりのドジ。
プレーン能力は手から包帯を伸ばす『ピックニック・パッド』。この包帯で包みこんだ人体は時間を遡り、健康的な状態まで戻る。
ウェバリー
ギルド・カートリッジで受付を務めるメガネの女性。規律や損得を重んじる性格で、不誠実な相手には容赦しない。
ローエンビッツ
ロンタール王国では名の知られた道化師・殺し屋。依頼主の前で標的の殺人ショーを披露する“惨劇の立役者”。大道芸を思わせる攻撃魔法を使いこなす。
プレーン能力は攻撃の矛先を指定する『ミサイル・マエストロ』。
シザースとの戦いに敗れて治療を受けていたが、エフィの能力によって完治。新たな仕事を受けるべくヴェラム王国へと旅立った。
ペッグ
名探偵を自称する男。本業は弁護士だが、小説家として『ペガメントの紐解き』シリーズの執筆も行っている。
以前はラキュアを助手に雇っていたが、今は一人に戻っている。
ラキュア
本名はウルシア・グルー。ペッグの助手を隠れ蓑にしていたが、今や彼女にとってはラキュアの方が本名のようなもの。
プレーン能力はあらゆる加熱を実現する『サウナ・クラーター』。氷の魔法と組み合わせることで様々な戦術を生み出している。
ヴェラム王国
国王ヴェラム七世の統治する王国。王国兵団を束ねるフラットクリンチ、炎使いの女兵士ジョイント、自信家の美青年リムーバ、驕慢な老術師タッカーなどが所属する。
テック・ニコル
便宜上はパーチメント王国の船乗り。彼が操縦するニコル号は海上の運搬を可能とすることから船として認識されているが、その動作原理や材質は不明であり、船であるとは限らない。
彼が運ぶのは、何らかの理由で秘密裏に行動したがっている“訳あり”の人間たち。代金は他の船とは比べ物にならないほど高い。
ヴェル・ミリー
朱色と金色を基調とした容姿の謎の女性。ヴェラム王国兵を戦意喪失させるほどの魔力を持つ。
プレーン能力は、人や物の“滅び”を予見し、その回避策を知ること。




