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チンピラ、怒りの『散弾銃ハンマー』

「ほらよ」


吸血鬼はペイジをこちらに放り投げる。


「ペイジ……」


俺はその顔に散弾銃を向け、言葉を待った。


「ち、ちくしょう……」


ペイジは先ほどまで掴まれていた首を押さえながら呟く。


「お前……」


俺はオリヴィアへの仕打ちを思い出し、怒りに震える。


「お、俺は謝罪するつもりはありませんよ……。全部あんたが悪いんだ……」


「………」


俺はさらに次の言葉を待つ。


「……いつまで不良品の銃で脅すつもりなんだよ……!」


「………」


「舐めてんじゃねーよ!!」


「………」


ペイジは最期とばかりに吠える。


「ジョウチン。それ、貸して」


すると吸血鬼は俺の手から散弾銃を奪い取った。


「な、なにし…やが……」



ーーーズバァァァァン!!


そして、ペイジのすぐ真横に向けて発砲した。



「ひっ……ひぃぃっ………!!ふ、不良品じゃ……ない!!?」


吸血鬼は散弾銃を俺に放り投げつつ言う。


「お前はまだ生きてるんじゃない。"生かされてる"んだ」


「ぐっ……。じゃあ、さっきは……」


ペイジは散弾銃が壊れていない事実に何か考え込んでいるようだった。


「ペイジ……」


俺は再度銃を構える。


「くっ……。カイさん……あんたは……。俺を、助け……?」


涙ぐむペイジ。


撃てるはずの銃を撃たなかった俺。


そして、その俺をナイフでぶっ刺した自分。


そんな葛藤を自分自身と行なっているペイジに対し、俺はニッコリと微笑みかけた。


「ペイジ……」


「カ、カイさん……」


ペイジが少し涙目で笑顔を見せた瞬間、俺は散弾銃を振りかぶった。


「え……?」




「……散弾銃ハンマーーー!!!」




そして、銃口側を手にすると、ハンマーのように持ち手の部分を思いっきり脳天目がけて振り下ろした。



「ぶっっっっふぇっっ!!!」



ペイジはそのまま倒れ伏した。



「ま、まだ…オリヴィアの受けた痛みは……こんなもんじゃ……」


怒りの収まらない俺は、地面へ沈んだペイジにもう一撃食らわそうとすると、スッと人影が出てきて視界を遮った。


「……ん?」


「もう……いいでしょう」



ーーーそこに立っていたのはオリヴィアだった。


「オ…オリヴィア……」


オリヴィアは涙目で俺に笑いかけた。


「もう……やめて下さい」


「だ、……だが……」


大粒の涙がオリヴィアの目から溢れる。


その顔にはいくつもの殴られたアザが痛々しく残っている。


「もう……十分ですから……。カイ様、早く治療を……」


俺の腹に染みた血液を見て、心配そうな声を上げる。


「お、俺は……オリヴィア……。お前を危険な目に合わせちまって……」


「良いのです」


「ほんとに……俺は……」


「カイ様。私は、こんな目に遭ってまで助けに来て下さっただけで、充分です」


そう言って美しい顔で笑った。


その瞬間、張り詰めていたものが解かれたのか、俺はその場に崩れ落ちた。


「ふっ……。さすがに限界か。でもね、ジョウチン。俺の"眷属印"の筋力アップ効果は結構すごいよ。だから、内臓の深くまでは刺さってないし、多分大丈夫」


吸血鬼は親指を立てて笑った。


崩れ落ちた俺に寄り添うオリヴィア。


「こ、こんなになって……。今、すぐに止血をします!」


そう言うと自分のスカートの下の方をビリビリと破き、血が滲みまくった包帯を解いていく。


「いで!いでででで!!もう少し……ゆっくり!」


その勢いで乾き始めた血がベリベリと剥がれ、激痛が走る。



「暴れるな!!止血できんやろ!!」



「いや、もうちょい……やさしく……!!」


俺は引き攣った笑顔でいつの間にかマナー講師口調に変わったオリヴィアを見る。


すると、必死の形相で俺の刺し傷にスカートを巻こうと狙いを定めていた。




「いくで……!」







「あいでーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」







そうして絶叫する俺を見て、吸血鬼とジョージはゲラゲラと笑っていた。







ーーーそれから3年後。








俺たちは結婚した。


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