表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

97/144

吸血鬼と悪人の空中座談会

ジョージはダッシュで血痕を辿っていく。


(血痕が、無くなった……)


しかし、ある一定の所から急に血痕が無くなっていた。


「ちっ……。こりゃあ……」


ジョージの舌打ちが響く。


その理由はすぐに明らかとなった。


ここはスラムや市街地からはかなり離れていて、建物すら無いエリア。



ーーーあるものと言えば目の前に広がる広大な森林。



しかし、もうこの森に入ったとなると、見つけるのは恐らく困難だった。


それに、まだ探すにしても、さすがに俺の体力がもう保たない。


「ぐ……。くっ……そぉ!!」


俺はジョージの背中で拳を握った。


「ジョウチン」


「オリヴィア……お、俺は……お前を……助け、られ……」


「ジョウチン」


「俺は……」


「ジョウチン!」


「……っ!」


ジョージが俺の言葉を背中越しに遮る。


しかし、その声色はなぜか嬉しそうだった。


そして、俺の腕に、ポタリと血が落ちてきた。



ーーー血が、落ちてきた?



「へっ。諦めるのはまだ早いみてェだぜ。……ほら」



そう言うと、ジョージは空を指差す。



ーーーそこにいたのは。



ーーーオリヴィアを背負った吸血鬼と、首を掴まれて宙吊りにされたペイジだった。



「俺さ。この娘の護衛の話をレスター卿から受けた時、嘘を吹聴して領地の民を焚き付けたのは、誰かって気になってたんだよね」


「ひっ……ひぃぃぃーーー!!」


ペイジはあまりの高さに恐怖の声を上げる。


「そしたらさ。その噂流したの、お金に困った母子家庭の娘だったんだ。お母さんの病気の薬を買いたかったんだと。村が混乱すればお金が盗めるから、別に理由は何でも良かったんだって」


「や、やめてくれ……」


「それ聞いちゃったらさ。なんだか怒りの矛先、………どこに向けたらいいか、わかんねーじゃねーかよ!!!」


「ひぃいいい!!」


「まぁそんで、そんな『誰も悪くない悲しき物語』に浸って涙してた所に、お前みたいなゴミクズに罪の無いオリヴィアが拐われて、反乱軍に売り渡されて手籠めにされるかも、って胸糞展開見せつけられたわけ」


「お、降ろしてくれぇ~!!」


「その罪により、もう一発打ち上げまーす」


そう言うと、吸血鬼はペイジの顎をデコピンで打ち上げた。


「ぶっっっふぇっ!!!」


10メートルほどさらに上空へ上がる。


それを吸血鬼は翼で追いかけて、改めて首を掴む。


「しかも女殴るとか、俺的には胸糞レベル5だったから殺してもいいんだけどなぁ~。あ、ちなみに胸糞レベル5ってどれくらいかって言うと、『母親と同居する交際相手に子供が殺されたニュース』を見た時と同じレベルね」


「や、やめて……」


「子供を愛せる覚悟が無いんだったら……一緒に住んだりとか………!!してんじゃないよーーーー!!!」


その怒りに任せて、男の顎をさらに上空へ向けてデコピンする吸血鬼。


「べっっっっふぇ!!」


さらに10メートルほど上がる。


いよいよ落ちたら100%助からない距離になった。


「まぁお前に言ってもしょうがないけどさ。でも、女や子供に暴力振るっちゃいけないよ。そんなことする奴にはなぁ……!!同じ目に合わせてやりたいって、国民は思ってるぞ、この野郎ーーー!!!………あ、ヤベ」



「う、うわぁぁあああ!!!」


ペイジはそのまま落下してくる。


「やべえ!ぶつかる!」


ジョージが慌てて一歩下がる。


が、その瞬間、吸血鬼が急降下してきて、地面スレスレで再びペイジの首を掴んだ。


すでにペイジは涙やら鼻水やらでぐしょぐしょだった。


「わーお。ジョウチン大丈夫?」


少し浮きながらこちらを見て吸血鬼が呟く。


「だ、大丈夫じゃ……ねぇ…」


「まぁ大丈夫大丈夫。死なないよ」


「なに…を……根拠……に」


「それより、こいつどうする?俺がこのまま空中30メートルまで上がって、『収入格差嫉妬禁止ボム』食らわして終わらせても良いんだけど」


「い……いや……おれ…が、ケジメ、付ける……」


そう言うと、俺はジョージの背中からゆっくりと降りる。


そして、工場から拾って背中に担いできた散弾銃に手をかけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ