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廃工場から消えた貴族令嬢

そこからは逃げ出すチンピラたちを工場の連中が片付けていった。


ダラダラ裏稼業してる奴らが毎日肉体労働してる男たちに勝てるはずもなく、制圧はあっさりと終わった。



「ジョウチン!大丈夫か!?」



血溜まりに倒れる俺に、古参従業員のボブが駆け寄ってきた。


「う……」


死の状況から一転、安堵すると急に痛みが襲ってきた。


果物ナイフなので刃渡りは12cmほどだが、それでも内臓を傷つけていることは確実だった。


呼吸もしづらい。


「ジョウチン!!みんな、これはヤバい!誰か手を貸してくれ!」


ボブが大声を張ると、3人が駆けつける。


刺された患部を止血して、俺を立ち上がらせ、2人がかりで肩を貸してくれた。


「こりゃ早く医者に診てもらわないとマズいな!ちゃんと意識持てよ!」


一人が俺を支えながら励ましてくれる。


そのまま出口へ向かう。


と、その時、ジョージとすれ違った。


「ったくバカちんがァ。一人でやろうとしやがって。仕事の基本は上司への報連相だぞ、チンカスうんカスコラァ」


そう言うと瀕死の俺の頭にコツンと拳を当てた。


「ネジは……投げ……ちゃ……いけねーんじゃ……なかった……の……かよ……」


「あァ?投げてたかァ?」


「ふん……」


ジョージも俺も、それ以上は何も言わなかった。


と、その時、俺は気づいてしまった。


(……あれ?オリヴィアは……?)


辺りを見てみるも、それらしき姿が無い。


「ボ……ボブ…。オリ……ヴィアは……?」


「え?オリヴィアちゃん?その辺にいない?」


ボブも見渡すが見つからない。


慌ててボブが声を張り上げた。


「おーい!みんなぁ!オリヴィアちゃんどこ行ったかわかるーー!?」


従業員たちはお互いの顔を見合わせ、首を傾げた。


それぞれが一人一人チンピラを相手していたからか、オリヴィアは後回しになっていたようだ。


そして、俺はもう一つ異変に気づく。


(ペイジが……いねぇ!!)


ジョージのネジによってぶっ飛んだはずのペイジの姿が無かった。


瞬間、何か嫌な予感がした。


「ボ、ボブ、離して……くれ……」


「お、おい!ちょっとジョウチン!!ダメだって!死んじゃうよ!」


俺はボブの制止を振り切り、ペイジがいた側の壁付近へ向かっていく。




(ここは……)



そこは、かつて俺が廃工場に侵入し、母が蹴り破った工場のアルミ板だった。


誰も直すはずもなく、相変わらずめくれている。


そしてよく見ると、その床に血痕が付いていた。


恐らくオリヴィアかペイジのものだろう。


混乱に乗じてペイジが連れ出したのだ。


だが、だとするとまだそう遠くへは行っていないはず。


とはいえ、馬車などに乗せられてしまえば終わりだ。


ーーー急がなければ。


「ぐ、はぁっ……」


しかし、大量出血した俺はすでに意識を保つのもやっとの状態。


そのまま膝をついてしまった。


「はぁっ、はぁっ……!オリ…ヴィア……」



ーーー目が霞む。



その時、後ろからジョージが俺を担ぎ上げた。


「医者の所か、女の所か、選べ」


俺は再び自分の意識に気合いを入れた。


「………女!!」


「よっしゃァ!行くぜェ!」


そう言うとジョージは巨体の蹴りで工場のアルミの壁を板ごと蹴り抜いた。


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