大切な人を傷つけられた男の"殺し"の決意
ジャラリ、と音がして、俺の背中から散弾銃が顔を出す。
「くっ!?な、なんだそれはァーーー!?」
他のチンピラも一様に一歩後ずさった。
「終わりだ……ペイジ。てめーら全員を●して、俺も死ぬ」
「ヤ、ヤベェ!こいつイカれてやがる!」
「お、おい、ペイジ!これはさすがに聞いてねぇぞ!!」
チンピラが次々と慌て始め、一部の人間は扉近くまで走る者までいた。
「ま、待ってくれ!こいつにそんな勇気はねぇ!今までどんなことがあっても"殺し"だけはやってこなかったチキン野郎だ!」
ペイジは必死に叫ぶも、「それじゃ大丈夫だね!」と思う者はいない。
「ペイジよぉ。俺が色々迷惑かけてたんならすまねぇ……。だから、ここでお前はぶっ●すけど、またあの世で仲良くしようや」
俺は一歩一歩近づいていく。
「く、来るな!下がれボケがぁ!!」
ペイジはナイフを取り出すとオリヴィアの首に当てた。
「ん……」
その大声とナイフの感覚にオリヴィアがわずかに反応する。
「やめろクソ野郎!!」
「ん……。カイさ…ま……?」
そして、その声でオリヴィアの意識が戻った。
「オリヴィア!!すまねぇ!オリヴィア!!」
俺は涙を堪えながら、オリヴィアに謝罪した。
「こ、ここは……?」
まだ意識が混乱しているようだ。
「オリヴィア!!待ってろ!すぐに行く!」
「カイ様!」
俺はさらに一歩踏み出した。
その瞬間、ペイジがオリヴィアをナイフの持ち手で殴りつけた。
「邪魔すんな!!黙っとけクソアマァ!!」
ゴンッ!!と鈍い音を立ててオリヴィアの頭が下がる。
「あっ……」
そして、こめかみから血が滴った。
ポタリ、ポタリとオリヴィアのキレイな服に赤いシミが広がっていく。
ーーーーープツン。
その時、俺はキレた。
激昂するとかではない。
極めて冷静に。
あいつの命を消し去ることに一切のためらいが無くなった瞬間だった。
「………ぶっ●す」
散弾銃を素早く構え、ペイジに照準を合わせる。
「やめろ!死なば諸共ォ!!それ以上近づいたら即座にこいつを●す!!」
俺はもう一歩近づいて言った。
「……ペイジが5秒以内にそいつを離さなければ、こいつを全員にぶっ放す。確実に全員死ぬまで俺はやる。必ずだ。お前ら、それで良いんだな?」
俺は冷静にビビり散らすチンピラたちに問いかけた。
「くっ……!」
「5、4、3……」
「ぺ、ペイジ!その女から離れろ!早く!!」
チンピラたちは一様に俺の仲間になってくれたようだ。
「2、1……」
「ペイジ!!!」
「ちっ!!」
ペイジはようやくナイフを離した。
その瞬間俺はペイジに飛び掛かり、ナイフを持つ手を蹴り上げると、そのまま馬乗りになる。
そして、ガチャリと顔面に銃を構えた。
「や、やめろボケが!テメー頭イカれてんのか!?」
「………………」
俺は何も感じることなく、引き金に指をかける。
こいつとは3年くらいの付き合いだったが、短いながら濃い時間だった。
それなりに一緒に笑って、一緒にバカもやった。
最後まで心の内はさらけ出してくれなかったのも、俺に人望が無かったからだろう。
もっと俺がしっかりしていれば、こんなことにもならなかったかもしれない。
すまねぇな。ペイジ。
ーーーーでも、死ね。
そう決意して、俺は人差し指に無慈悲な力を込めた。




