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愛する貴族令嬢とチンピラの再会

「オリヴィア!!」


入った瞬間、イスに縛られた彼女の姿を見て、思わず声を上げる。


オリヴィアは項垂れて、気を失っている。


しかもその顔には殴られたようなアザも見えた。


「この野郎ーーーー!!!」


俺は絶叫しながら傍らに立つペイジを睨みつけると、鬱陶しそうに目を逸らした。


そんなやり取りをしていると男の怒声が響く。


「なんだテメェ!!」


左から3人、チンピラが近づいてくる。


「●ねや!」


左側の男の1人が力任せに鉄パイプを振り下ろす。


俺は一歩後ろに下がってかわすと、思いっきり左の裏拳で鼻頭を打ち込んだ。


「ぶっふぇ!!」


裏拳にしては大袈裟なくらいダメージを食らっている男。


(なんだこれ……)


通常の俺の力ではないパワーがそこにはあった。


(これがあいつが言ってたパワーアップか……?)


俺は左手を見ながらギュッと握った。


「な、なんだこいつ?つえーのか?」


長身のチンピラがペイジへ確認する。


「ああ。その辺のワルよりは強い。が、その程度だ。この人数なら100%問題ない」


確かに、工場の中をざっと見ると15人ほどいた。


だが、俺は引く訳にはいかない。


何より、オリヴィアを殴られた怒りで俺はもう止まれなかった。


「……ペイジよぉ!!テメー、自分が何やってんのかわかってんのか!?」


オリヴィアを縛るイスに肘を付いて寄りかかるペイジに俺は問いかける。


「え?カイさん。この女を護衛する仕事は厄介ごとなんじゃなかったですか?」


ニヤついた嫌な表情。


俺はこんな奴を信頼できる仲間だと思っていたことを後悔した。


「テ、テメェ……!!」


「だから俺らが引き受けてやったんですよ。ククク……」


そう言うと、オリヴィアの頬をペチッとはたいた。


「やめろテメェ!!」


「ククク……」


ペイジがクズであればあるほど、自分の罪も改めて感じる。


本当に全てに嫌気が刺した。


「俺はバカだからよ……。仲間には何でも話したくなっちまったんだ。でも、まさか裏切られるなんて思ってなかったよ……」


「仲間だと……?先に"裏切った"のはどっちだよ?」


「……あ?」


「俺らはなぁ。あんたのつまらねぇプライドや劣等感に付き合ってチンピラ稼業してきたんだよ」


「なんだと……」


「マフィアからの借金取り立て、賭場のバウンサー。金にならねー割に危険な仕事もよくやったよなぁ」


「……………」


「俺らはそんな危険な仕事はやりたくなかった。できればアヘンの方で楽に稼ぎたかったんだ。だが、あんたはそれを売人マフィアの奴にケンカ売ってオジャンにした」


「それは……!」


「それがなんだ?俺らにはアヘンの仕事を奪っといて、自分だけカタギのネジ工場でいい給料を稼いでるだぁ?そんなことが許されるはずがねぇだろうが!……カイさんよぉ!」


「……あのクズ野郎からのアヘンの仕事なんて受けたら、マジで人間終わっちまう!!だからぶっ飛ばしただけだ」


「それが余計なお世話なんだよ!結局テメェだけが良い思いしてんじゃねーかよ!!今さら更生とかふざけてんのか!?」



「それとこれとは関係ねぇ!!とにかくオリヴィアを返せ!ゴミ野郎!」



ーーーするとその瞬間、右側頭部に鉄パイプが直撃した。



「ぐあっ!!」



どうやら背後の右側から振り抜かれたようだ。


右耳が聞こえないため、風切り音も気づかなかった。


思わず片膝をつき、右耳を押さえると、出血があった。


「まぁカイさん。でもあんたは最後に俺らに良い情報をくれましたよ。この女の情報をね。これで大金が入る」


「……の野郎!!」


「間もなく反乱軍の連中がここに来ます。そこでうずくまって見ててくださいよ。この女が連行される所を」


「待て……!」


「反乱軍は俺らのように金っていうシンプルな考え方じゃありませんよ。領主への恨みが強い分、恐らくこの女は命は取られないが、間違いなく慰み者にされる。まぁ、1日に50人は相手することになるでしょう」


「……そんなことになったら……!お前ら全員ぶっ●してやる!!」


ペイジは片頬を吊り上げて笑う。


「殴ることしか能がねぇあんたに何ができんだよ?大人しくNTRされとけや」


「うるせぇ……!できんだよ……!!」


そして俺はーーー。


背中の散弾銃に手をかけた。

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