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吸血鬼と再会するチンピラ

「はぁっ!はぁっ!オリヴィア……!オリヴィア……!」


息が上がるが、構いはしない。


走ってスラムを抜けて、母親が死んだ廃工場を目指す。


(待ってろ。必ず助けてやる……!)


俺はオリヴィアの笑顔を思い出しながら、歯を食いしばった。


こんなどうしようもないチンピラの俺に文字を教えてくれた優しい女。


ちょっとキレやすい所もあるが、その表情ですら可愛いと思ってしまう。


今日飲みに行く前の別れで確信した。



ーーー俺はオリヴィアが好きだ。



身分が違いすぎるし、別に成就したいとは思っていない。


だけど、貴族の娘というだけで理不尽な暴力に晒される彼女を、純粋に守ってあげたいと思っていた。


なのに、その暴力の引き金を引いたのは、俺。


自分のことは大嫌いだったが、今日のことでさらに死ぬほど嫌いになった。


「オリヴィア……!お前に何かあったら……!ペイジ!!あいつを必ず●してやる……!」


血がでそうなほど歯を食いしばり、全力で走る。


と、そこで前から見知った顔が歩いてきた。


「ちょっと待って、ちょっと待ってお兄さん♪『必ず●す』ってなんですのん♪」


「どけェーーーー!!!」


俺は謎の生物にダッシュのまま蹴りをかまそうとするが、あっさりかわされる。


その勢いのまま、体勢を崩して地面を滑った。


「ぐっ……!」


「お兄さん!なんで散弾銃持ってるのか、説明してね♪」


「これでスパイダーフラッシュローリンサンダーかますからに決まってんだろ!!」


「いや、意味わかんねーよ!オリヴィアはどうした?」


そこで俺はオリヴィアがさらわれたことをかいつまんで説明した。


「全て俺のせいだ。だから、必ず責任は取る。あいつらを全員この手でぶっ●して……!!!」


「確かにそれは……まずいことになったな」


「ぐ……!この罪は必ず償う!!あいつらを●してその後は俺も……!!」


「おい。とりあえず落ち着け。物騒なこと呟くネジ工場の従業員がいるって噂になっちゃうでしょ」


「知るか!!!必ず俺の手であいつらを……!!」


「……ちっ。わかったよ。じゃあ俺からお前にプレゼントをやろう。パワーアップできるとっておきの印だ」


そう言うと、謎の生物は空中に印のようなものを刻むと、俺の額に手を当ててきた。


なんとも言えない嫌な不快感が額に広がっていく。


あまりの気持ち悪さに顔を背けようとすると、「もうちょいで終わるから!」と顔を元に戻される。


「いや、これ何やってんだよ!?気持ちわりーんだよ!」


「大丈夫、大丈夫」


「いや、大丈夫じゃねーから!」


「大丈夫、大丈夫」


そうして3分ほど経った。


「なげーよ!!俺は急いでるんだ!!」


「よし、"眷属印"付けといたから。これで、俺のお願いを強制的に1つ聞いてもらうよ」


「は?なんだそれ?」


「いや、だから一応、お前は吸血鬼である俺の眷属になったってこと」


「き、吸血鬼?」


「うん。え、知らなかったの?そうじゃなきゃ銃で撃たれて死なないはずないじゃん。バカじゃないの」


「いや、知らねえから!聞いたこともねえ!それになんだ"眷属"って!怖いんだけど!俺も吸血鬼になったってことか!?」


「いや、違う。まぁ簡単に言うと正式な部下みたいなもん。そんでお前の行動に対して"ある制約"は付くけど、多少筋力がパワーアップするおまけ付き」


「何言ってるかマジでわかんねえ……。"ある制約"?」


「うん。その制約はね……」


吸血鬼はニコリと笑った。


「『銃で人を撃たないこと』」


「は!?」


「だってお前の背中のソレ、確実にチンピラ達にぶっ放すでしょ」


「オリヴィアを怖い目に合わせやがって……!絶対にこれで●す!!」


「うん。だから制約を付けた。残念だけどもうその銃を撃つことはできない」


「なんだよそれ。そんな魔法みたいなことできる訳ねーだろ!嘘ついてんじゃねーよ!」


「まぁ信じなくてもいいけどさ……」


「うるせーー!とにかく俺はオリヴィアを助けに行く!どけ!!」


俺は吸血鬼を突き飛ばすと、廃工場に向けて改めて走り出した。




10分ほど走った所で、廃工場へ辿り着いた。


子供の頃は鍵が掛かっていて扉からは入れなかったが、今は鍵が開いている。


(母さん……)


俺は感傷に浸りそうになったが、その感情を振り払い、オリヴィアを助けることに集中した。


中から数人が話す声が聞こえる。


(よし……。行くか!オリヴィア……!必ず助ける!)


俺はガラガラと大きな音がする古い扉を勢いよく開けた。


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