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世界を救ったチンピラの散弾銃

背中から抜ける突然の鉛玉。


恐らく俺の気持ちなど1ミリも考えてないチンピラの銃撃だったが、そのおかげで惨事を起こさずに済んだ。


もし後ろから銃撃されていなかったらと考えると、ちょっぴり怖い。


(何が起こっていたのか、想像したくない……)


下手したら、俺の暴走が長引けばパリが壊滅的になる可能性だってあるし、それによって軍が動けば他国の政府に介入している吸血鬼だって黙ってはいない。


俺を仕留めるために多額の借金を負うことになるフランスは、世界の覇権争いで劣勢になり、そして侵攻される。


ーーーそうなれば、最終的に世界大戦が起こってもおかしくはない。


(もしかしたらこいつ、世界の救世主かもな……)


俺はこのチンピラにちょっぴり恩すら感じていた。



ーーーだから。



「ちょ、待てよ!!」


俺は恩返しすべく、ロングコートを翻し、翼を出して逃げ出すチンピラの前に着地した。



「ちょっと!いい加減しつこいよ!こんな真夜中にうるさい散弾銃なんか撃って、近所迷惑でしょ!!」


「とっ、飛ん……!?」


「そんな暇なことしてないでちゃんと汗水垂らして働きなさい。お前、名前は?」


「ひっ……。カ、カイ……ル……。カイル……ブランド」


「嘘じゃないだろうね?」


「う、嘘じゃねぇ……」


こいつを更正させて、人並みに金を稼げるようになって、家族を持って、普通の暮らしをさせてやるーーーそれが俺にできる恩返しだと思った。


そんなことを思いながら真紅の瞳で見つめていると、名前を言った瞬間、チンピラの心筋が跳ねた。


(にも関わらず、こいつ……!嘘の名前を言ってやがる!)



「お前、嘘を付いているなッ!?」



そのまま赤く光る瞳で睨みつける。


「ひっ!す、すまん!カ、カイ……。カイ・グランデだ……です」


「カイ・グランデくんね。微妙に名前変えてんじゃないよ。あのね……」


それから俺は、カイに仕事の大切さ、家族の大切さを語っていった。


だが、いきなり散弾銃で撃っても死なない謎の生物が人生について説教してきても、なかなか頭に入らないのも当然のこと。


ということで、そういう役目は跳ねっ返りの更正でお馴染み、『ネジ工場の魔王』に後日お願いすることにした。




ーーーそして、ジョージとの酒場に至る。



「まぁあんたの頼みじゃ俺に拒否権はねェしな!ガハハハハ!」


「面倒事ばっか押しつけて悪いな」


「良いってことよォ!俺ァ、元々ケンカが好きだしよォ!若いチンピラまとめて面倒見るくらいどうってことねーぜ!」


「他の従業員もそんなお前の気持ちがあるからついてくるんだろうな。グーパン食らっても」


「ガハハハ!愛の鉄拳ってやつよ!まぁそんなこと何年もやってたら俺も情が湧いてきちまってな。あいつらは俺の家族みてェなもんさ」


「ふっ……。チンピラの親分、っていうより……海賊の船長みたいだな」


「ガハハハ!"黒髭"が生きてればうちのネジ工場海賊団の連中とやり合えたのにな!!」


そう言ってジョージは8杯目のビールを飲み干した。



次回ーーーカイ・グランデ視点


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