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空飛ぶ吸血鬼を老紳士は見ていた

1785年、フランス、パリ。


その当時の俺は、かなり荒れていた。


"吸血鬼"という謎の生物であるが故に、決して死ねない。


飛び降り、首吊り、毒ガス。


何度も自死を決意してみるも、その全ては俺の肉体に何のダメージも与えなかった。


呪いのようなこの体を文字通り呪いながら生きる。



(早く、早く会いたい。カトリーナに……)



ーーー最愛の婚約者の命を自分が奪ってしまった。



その自責の念は、あの事件から5年が経つ今も、消えることは無い。


死後、天国や地獄が存在するとは思えないが、それでも少しでも可能性があるなら、俺はそれに賭ける。


どんな形であれ、必ずカトリーナに再会すると、俺は心に決めていた。


しかし、無情にも、運命は俺を吸血鬼として生かそうとする。


(ちくしょう……!!)


そんな葛藤を抱えて、夜の街に繰り出しては飲み歩く日々を送っていた。


ちなみに、なぜそんなに飲み歩けるような金があるのか。


それは、ある組織による献金があり、俺の口座には莫大な資産が積み上げられているからだ。



5年前、俺は大切な婚約者を失ったショックから自暴自棄になり、翼で飛び回っていた。


(もう、正体隠すとかもどうでもいい……!)


その時、たまたま仕事でフランスに来ていたベンジャミンというアメリカ人の老紳士にその様子を見られていた。


その瞬間、そいつの前に着地し、俺は言った。


「なーに見てんだよ!このスカタン!」


すると、その男は笑顔で言った。


「未来を見ていたのです」


「は?」


その一言だけ残して、ベンジャミンは去ろうとする。


「ちょ、待てよ!見られたんだから生かして帰すかどうか、まだ言ってないよ!」


すると、ベンジャミンはこう言った。


「私には、あなたのような支配者側の方々をサポートする役目があります。それは太古より続く、世界の大いなる意志です」


「何言ってるかちょっとわかんない」


「それで、いいのです。あなた方は存在するだけで我々に智慧を与えて下さるのですから」


そうして俺が呆気に取られているうちにベンジャミンは笑顔で去っていった。


そして、どうやって調べたのかわからないが、後日ベンジャミンの代理人と名乗る人物が俺の住処を訪れた。


話を聞くと、ある一定の条件を飲むことで、永遠の富を約束する、というものだった。



その条件が、『とにかく正体を隠すこと』。



人外の存在であることを何がなんでも隠してほしい、との事だった。


そして、それが世界を正しい在り方に導くことになる、と。


代理人すら何を言ってるかわからなかったが、俺的には金を使いまくることで、鬱っぽくなっている気を紛らわすことはできるかもしれない、と思い、ひとまず了承することにした。


その後、ベンジャミンが俺に接触してくることは無かったが、他の吸血鬼に聞いたところ、有名な政治家であり、秘密結社の人間だということがわかった。


しかし俺にとってはそんなことはどうでもよく、その日から人生の虚しさを埋めるかのように金を使いまくった。



ーーーそして、5年後の現在に至る。



それでも、俺の気が晴れることは決して無かった。

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