現実世界(前世)の記憶が蘇る
「さてと……。何階から見て回るかな」
俺はエレベーター前のフロアマップを見ながら考えていた。
1Fは受付、2Fが大聖堂、3Fが食堂、4Fがなにも書いていない、5Fが俺たちがいたゲストホール、6Fが本部となっているようだ。
いきなり6Fはバレる可能性が高いし、行くとしたら2Fの大聖堂か、3Fの食堂か。
しかし、なぜかはわからないが、俺は謎の4Fが気になっていた。
大聖堂と食堂に関しては、普通に考えればそこまで危険は無いはず。
カトリーナやメイジーが調査するにもちょうど良いはずだ。
しかし何があるかわからない4Fに関しては俺が調査するべきだと思った。
(よし、4Fへ行こう)
俺は行動を決定したところで、周囲を見渡した。
(エレベーターだとまだ入場してくるマスコミ関係者とか、教会関係者と会っちまうかもしれないな)
ということで、このフロアの端にある非常階段から行くことにした。
4Fへ向けて音を立てないよう階段を降りていく。
(そろりそろり……あむあむあむ)
俺は右手をバッテンのような形に動かし、架空のリンゴを食べながら移動した。
(あむあむ……ん?)
すると、4Fへ出られる鉄の扉が目の前に現れた。
(カギ掛かってませんように……)
そっとドアノブを回すと、ガチャリ、と音がして、扉が開いた。
(よし……)
すぐに体を滑り込ませ、音を立てないように扉を閉めた。
辺りを見渡すと、他のフロアに比べて薄暗く、あまりメインでは使われていないような印象を受ける。
いくつかの小部屋があり、覗いてみると、段ボールが積み上げられていた。
恐らくそのほとんどの部屋は倉庫のようだ。
(このフロアはハズレか……)
そう思い、別のフロアへ移動しようとした所で、ひとつの小部屋から光が漏れていた。
(誰かいる……?)
少し危険だと思ったが、ちょっとくらい収穫が欲しく、俺は中を覗いてみることにした。
(なんだこれ……?)
扉の隙間から覗いてみると、倉庫とは違い、中には鉄格子があった。
しかも、この部屋だけレンガ状の壁になっており、その隙間からなぜか異常なくらいツタのような植物が生えている。
そして、その植物園のような部屋の中に、1人の男が繋がれていた。
「ぶっ●す……。ぶっ●す……」
なにやら物騒なことをブツブツと呟く男。
しかも、どうやらこの男、格好から、この教会の"司祭"のようだ。
(なんで教会の司祭が監禁されてんだ……?)
だが、俄然興味が湧いた俺は、扉を開けて男に近づいた。
(ん!?こいつの額……!!)
額にあるものを発見し、さらによく見ようと顔を近づける。
「!!?」
ーーーが、その瞬間、何か記憶の断片のようなものが一気にフラッシュバックする。
これは、現実世界ーーー。
前世の記憶だーーー。
俺はそのまま過去の記憶の渦に飲み込まれていった。




