アノニマスの仮面を付けて変装する
翌日、俺たちはピッピンプンスカ教会本部の受付に来て、入館証を受け取るべくマスコミの列に並んでいた。
念のため、顔が割れている可能性のある俺とカトリーナは変装して来ていた。
「おい、カトリーナ。お前、変装って言ってもさすがに馬の被り物はないだろ。頭悪いのか」
ゴム素材でできたパーティーグッズのような首まで覆うタイプの馬の被り物。
それを被って来場したカトリーナに思わずツッコむ。
「頭悪いのはお前だよ!なんだその不気味なお面!そんなん付けてるマスコミいるか!」
「な、なんだと」
俺は変装のために自分が付けてきた"アノニマス"みたいな仮面を否定され、動揺する。
「どっちも目立ち過ぎですわ……」
「これで入れるのか……?」
メイジーとクロエも後ろで呆れていた。
「お、そろそろだ」
そんなケンカをしていると、俺たちの番になった。
「う、馬……?こ、こんにちは。媒体名をお伺いしてもよろしいですか?」
「あ、はい。日刊キンダイです」
「えーっと……。あ、はい。日刊キンダイさんですね。名刺を2枚お預かりしてもよろしいでしょうか?」
「名刺?」
「え、ええ。来場者の確認と、後にプレスリリースなどのメールを致しますので……」
「……無い」
「えっ?」
「無い」
「えっと……では、こちらにサイン頂いてよろしいですか?」
「サタン。頼む」
「は?俺?」
「お前サインあるだろ」
「いや、そういうサインじゃねーだろ」
「いいから早く」
「え、マジで?」
俺は仕方なく受付の人が出した紙に『さたソたソ』のサインを書いて渡した。
それを受け取り、顔が引き攣る受付の女性。
「これ、サインなんだけど……」
受付の女性は何か言おうとしたが、俺たちの後に続くマスコミの列を見て、早く進めたいと諦めたようだった。
「え、ええ。それでは、こちらが入館証です。首へかけて奥のエレベーターで5Fまでお上がり下さい」
そうしてなんとか俺たちは人数分の入館証を手に入れた。
奥のエレベーターで5Fへ上がると、そこは広い会議室のような場所で、イスが100脚くらい並べられていた。
先に入っていたマスコミ連中もすでに着席している。
俺たちも再後列のイスに並んで座ったところで、カトリーナが聞いてきた。
「サタン、これからどうするの?」
「なにが?」
「いや、調査だよ。まさか入信プランについて聞きに来たの?」
「あ、そうだった」
俺は中に入ることに夢中になってしまっていたが、よく考えたらガリレオの娘であるマリアとその旦那、さらにローエングリンの親父の情報を集めなければならないのだと思い出した。
「忘れてんじゃねーよ」
「じゃあ、俺、もう別のフロア見に行くわ。お前らもタイミング見てトイレに出て、調査開始してくれ。1時間後、またここで落ち合おう」
「説明会が終わってた場合は?」
「その時は、入り口で」
「わかった」
「じゃあまた後で」
「あ、ちょっと、サタン!」
「ん?」
「調査の時はその不気味なお面外していけよ」
「お前の馬の被り物もな」
そうして俺は会議室を抜け出した。




