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最凶魔王級モンスター『ゼロ』のヤバさ

その後、俺とデューは適当な岩場に座って語り合っていた。


「マルタの連中の件は悪かった。まぁでも、殺すつもりなんて無かったぜ。投石機をぶっ壊して戦意を削ぐだけのつもりだった」


俺は少し安堵した。


「じゃあ、俺はもう文句は無い。お前が総司令のリーダーを引きずり出したから、とりあえずダリア軍も撤退したみたいだしな」


軍は帝都ではなく、元のダリアへ戻って行ったようだった。


「それはそうと、あんたマジで強いな!!しかもどんな撃ち込んでも再生するとか反則だろ!」


「いや、別にそんな良いもんじゃ……」


「しかも、あんなに速くて超威力の攻撃なのに"属性"も無いとかヤバすぎだろ!そんなん聞いたことないぜ!」


「強いて言うなら"美男子属性"かな」


「ヤベエぜ……」


「流すな!」


「マジであんたなら、"ゼロ"も倒せるかもしれねぇな」


「ゼロっていうと、魔王級モンスターとかいうやつか?」


「ああ。10年前、帝国騎士団長のロクサスと一緒に一度やり合ったが、ありゃあマジのバケモンだ」


「そんなに強いのか」


「強いなんてもんじゃねぇ。2人がかりでたった一撃しか与えられなかった。それに俺の部下と騎士団の連中で500人は死なせちまった」


デューは死んだ仲間を想ってか、顔を伏せた。


「そっか。……それはヤバかったな」


「ああ。いつか復讐してやりてぇが、俺だけでやっても勝てる気がしねぇ。だからよ、その時が来たら……」


「じ、じゃあ、俺、行くわ」


「おい!めんどくさそうな顔してんじゃねぇ!!」


俺はカトリーナたちがいる所までピューっと逃げ出した。


「ったく……。でも、マジですげぇ兄ちゃんだ。こりゃ、ロクサスも黙ってねぇな」


背後でデューが何か言っていたが俺は聞かないことにした。






「サタン!あのバッドボブの船長と互角に渡り合うなんてマジでヤバいよ!!もうさっきのLIVE配信、300万再生行ってるよ!!」


戻るなりカトリーナが駆け寄ってくる。


「へーへー」


俺は適当に相槌を打つ。


そのうちメイジーとクロエも走ってきた。


「サタン様!お疲れ様です。やはりお強いですわ!」


「ええ。想像以上でした」


「そりゃどうも……」


現実世界では長年誰かから称賛されることなど無かった俺は、柄にもなく少し照れた。


「サ、サタン様。本当に、あ、ありがとう……ございました……」


マルタの村長は俺にお礼を言った瞬間、糸が切れたように倒れ伏した。


「ば、婆さん!!メイジー!回復頼む!」


俺は慌てて駆け寄り抱き抱えるとメイジーに指示した。


「は、はい!」


メイジーが手のひらをかざすと、水色の魔法陣が現れ、回復魔法が発動した。


「う……」


「お!意識が戻った!」


しかし、若干安堵した俺にメイジーが告げた。


「これは……外傷ではなく、栄養失調、飢餓による生命危機ですわ。早く何か食べさせないと……」


「誰か!すぐ食える食い物持ってないか!?」


俺は聞くが、皆、一様に顔を伏せた。


すでに食糧は枯渇していたようだ。


ーーーその時、少女の声が響き渡った。




「サタン様!とうもろこし、あるよ!!」




少女は、涙を流しながらとうもろこしを手に持っていた。


「でも、それはお前の親父さんが、最期にお前に……」


「ぐすっ……。良いの!私、村長に生きてもらいたい!私はまだ大丈夫だから!」


「お前、名前は?」


「ミア……」


「ミア。サンキューな。頑張って街に着いたら、腹一杯食わせてやるから」


俺は泣きべそをかく少女の頭をグシャッと撫でた。


「サタン様。では、私がそのとうもろこし、流動食に加工しましょう」


クロエは少女からとうもろこしを受け取ると、残っていた少しの水とキレイな木を使って加工し始めた。


そして、それを婆さんの口へ運ぶと、「ん……」と婆さんは口を動かして無事に飲み込めたようだった。


ひとまず命の危機は去り、俺は深く息を吐いた。

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