海賊と吸血鬼の空中戦
(このスピード……!あの時のパンチか……!)
思った通り、気づくと顎付近まで右手の拳が迫る。
俺は前回同様、拳の脇を少し押さえると、軌道を逸らしてやった。
「さすがだな!だが……」
と、その瞬間、もう一方の左手が俺の腹を上へ撃ち抜いた。
「ぐぅおっ………!」
その衝撃で俺は上空まで吹っ飛ばされる。
(ぐ……見えなかった……!)
翼を広げて空中からデューのいた所を見ると、どこにもいない。
(このパターンは……)
俺は上を見ると、そこには拳を撃ち抜こうとするデューがいた。
「喰らえや!!!」
(くっ……。避けられねえ……!)
その瞬間、雷を纏ったような拳を上から撃ち込まれ、感電したような衝撃が体に走った。
「ぐっ………!!」
そのままものすごい勢いで地面に叩きつけられ、硬い岩盤に体が"弾んで"浮き上がる。
その衝撃で土煙が大きく舞った。
そのまま着地したデューが歩いてくる。
「『ブンバ・●ン!って弾んでいこう~♪』ってな。魔王級モンスターレベルの兄ちゃんもさすがに死んだか?」
先ほどからちょいちょい子供向け番組の歌を口ずさむデューにイラッとしながら俺はゆらりと立ち上がった。
「ブンバ・●ン!元気に行こう~♪」
「マジかよ!あれ食らって無傷ってか!?」
そのイライラをぶつけるべく、真紅の瞳でデューを見据える。
そのまま体勢を低くしてデューの懐に入り込む。
ーーーそして、顎を蹴り上げた。
「ぐおっ!!」
「ブンバ・●ン!!空に歌えば~」
そのまま空中に撃ち上げ、
「心が~わくわく~~~」
回転しながら、
「しーてーくーるーよーーー!!!」
ビュン……!
ーーーズドンッ!
中段蹴りで追撃した。
「ぐえぇぇぇっ!……ぐっ!!まだまだぁー!」
デューもすぐに体勢を立て直し、俺に向かって拳を放つ。
俺も負けじと拳で応戦する。
拳と拳がぶつかり合い、轟音が響く。
「「アルパッカパッカパッカ……」」
歌まで呼応してシンクロする。
ーーーーーーそして。
「「ちょっと…………」」
デューと俺、どちらもエネルギーを込めた渾身の一撃を、お互いの拳に向け、叩き込んだ。
「「オ●ピーーーー!!!」」
チュンーーー。
ドゴォオオオオオオオオン!!
半径1kmくらいの荒野にすさまじい衝撃が走った。
「う、うわぁーーーー!!!」
あまりの爆風にカトリーナたちと村人を全員吹き飛ばす。
「ひ、避難させた意味無いですわ!!」
そのまま俺とデューは着地した。
「はあっ、はあっ……」
流石のデューにも疲労が見えるほか、拳も膝もプルプルして、しばらくは使い物にならないようだった。
俺は勝ち誇ったようにコートのポケットに両手を突っ込んで決めセリフを言おうと思ったが、
「おっと兄ちゃん。あんたの腕無いぜ」
腕は吹っ飛ばされていた。
「マジかよ!俺ダサっ!」
慌ててポケットから腕を出し、散らばった破片を再生した。
「な、なんなんだ?あんたは一体……」
デューは俺の特殊性に目を丸くしていた。




