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一瞬で軍総司令の首に手をかける最強の海賊

「バッドボブ海賊団って……。なんであいつらが出てくるんだよ?」


およそ2000人はいると思われる海賊団の姿を見ながら、俺はカトリーナに問いかける。


「帝国に危機がある時は基本的に帝国騎士団が動くんだけど、騎士団と戦闘するってことは、ダリアと本格的な戦争をする、ってことになる。だから、公式じゃない牽制として、同盟関係のバッドボブが出てきたんだと思う」


「ややこしいなぁ……」


仕方ないことなのかもしれないが、大人の事情に嫌気が差した。



ドォォォーーーン!!


ドォォォーーーン!!


ドォォォーーーン!!



そんな会話をしていると、一際大きな音が3回聞こえる。


音の方を振り向くと、30人ほどのダリア兵が空高く吹っ飛ばされている。


一ヶ所に連続で大砲でも落ちたのかと思ったが、土煙の中にいた男を見て、これは"人災"だとわかった。


「げっ……。デューやん……」


デューを取り囲んでいたと思われるダリア兵を全て拳で吹っ飛ばしたのか、デューは拳を天高く掲げていた。


「ガハハハハ!そんなんじゃ俺の歩きの一歩さえ止められないぜ!」


楽しげに叫ぶデューの様子から、反乱の鎮圧がどうというより、この状況を完全に楽しんでいるのが見て取れた。


そんな中、再びダリア軍が懲りずに突進していく。


それを見てデューは拳を固めた。


「ヤベ!また来るぞ!みんな伏せろ!」


「ガハハハ!懲りねぇ奴らだ!喰らえぇ!!!」


そう言うと、そのままエネルギーを溜めた拳を地面に叩きつける。



ズダンッ!!!



その瞬間、デューを中心に満月型に地面がえぐれ、辺りの地面から放射状にエネルギーが噴出する。


「「「う、うわぁーーー!!」」」


ダリア軍の足元に地割れが起き、100人ほどが足場を崩されて隊列が崩壊した。


「ガハハハ!ったく弱ぇなあ。ダリアの軍事訓練ってのはそんなもんかい!」


デューは自分の攻撃の衝撃で落ちたバイキングハットを拾って被り直すと、腰を深く落とした。


「あいつ……何する気だ?」


俺は目を細める。


「じゃあ、そろそろ頭獲らせてもらうぜ」


そう言うと、思いっきり地面を蹴上げて、軍の上空を飛んでいった。


「くっ……。リーダーを殺る気か……!おいカトリーナ!ちょっと俺、行ってくるから!」


カトリーナに一言告げて慌てて俺も追いかける。


デューは軍最後尾にある、『本陣』として使っているであろう巨大戦車に着地した。


俺は見つからないように戦車の影に隠れて様子を伺う。


デューは戦車の中に入るための蓋を力づくで開けると、そのまま空中へ放り投げた。



「こーんにーちわー!!みんなー元気ー!?海賊のおにいさんだよー!」



「『おか●さんといっしょ』かい」


なんか聞いたことあるセリフに思わず影からツッコむ。


「見つけに行こう〜僕ら〜の〜♪宝物〜♪この地球の〜どこ〜かに〜きっとあるはずさ〜♪」


「なにお前の歌みたいにしてんだよ」


そうして歌いながらデューは、戦車の中からリーダーの男を引っ張り出した。


「ひっ……!デュー・ジョーンズ……!なんでこんな所に……!こんな話は聞いてない……!」


片手でダリア軍リーダーの首を掴んで持ち上げながらデューは笑う。


「ガハハハ!なんでって言われてもよぉ〜。なんかオタクらがケンカするって聞いたからちょっかい出しに来ただけよ」


リーダーにとっては晴天の霹靂だったのか、顔を歪める。


「だ、誰が貴様に依頼したんだ……!?ゲイルめ……!!まさか私をハメたのか……!?」


色々なことが錯綜しているのか、リーダーは宙吊りになりながら文句を垂れ始めた。


「別に誰にも依頼されてねぇよ。むしろ帝国政府には『余計なことはすんな』って言われてたしな。まぁすんなと言われてそうですか、とはいかねぇよなぁ」


「バカな……。ゲイルの奴……!全て抑え込んだはずではなかったのか!?」


「なあ。あんた。今、俺とあんたは"ケンカ中"なんだぜ。色々考えるのは良いけどよぉ〜。そんなんじゃこのまま絞め殺しちまうぜ?」


そう言うとデューは腕に力を込めた。


「ぐっぐぇえええ……!わ、わがっだ。ぎざまのようぎゅうを……いえ……」


「おう。話がわかる奴で良かった」


「ゲホッ!ゲホッ!はあっ!はあっ!」


デューが手を離すと、リーダーは地面に落下し、呼吸を再開した。

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