3000人の反乱軍と最強の海賊団が激突
「なあ、そういえば、今マルタと一緒に進軍してる独立国家ダリアってなんなの?」
異世界に来たばかりの俺はこの世界の仕組みがあまりわかっていないため、馬車の中でメイジーに尋ねていた。
「ええ。一言で言うと、大昔からある帝国に属さない国ですわ。国王一族が生粋の自由人で、支配されたりするのを特に嫌っています」
「ふーん。でも、それって許されるの?」
「それだけその軍事力が強大なのです。帝国は色々な小国をまとめているため、数は多いですが一枚岩ではありません」
「まぁそうだろうね」
「ですが、ダリアに関しては国民までもが高い自由意識があり、90%以上が王の方針を支持しています。それに、学生時代から皆軍事訓練を受けるため、かなり個人個人の戦闘力が高いのです」
「なるほどな」
俺はダリアという国を少し理解した。
「しかし、ここ何十年も帝国とは、つかず離れずの関係でやってきました。今回のような反乱軍を起こすなど、聞いたことがありません。これでは……戦争になってしまいます……」
「なにか内部で陰謀が起こってるのかもしれないな」
俺は外の景色を見ながら、きな臭い反乱に疑問を抱いた。
「サタン様!サタン様!起きて下さい!」
耳を切り裂くようなメイジーの声が響く。
どうやら、心地いい馬車の揺れに、眠ってしまっていたようだ。
「サタン!なに寝てんだよ!起きろーーーー!」
カトリーナの怒号も響く。
「うるさっ!」
「サタン様。あれをご覧になって下さい!」
メイジーの指の先で見たもの。
それは、すでに戦闘を始めているダリア軍の姿だった。
「お、おい!やり始めちゃってんじゃん!相手は!?」
「そ、それが……」
カトリーナが口籠る。
「誰なんだよ?」
ドォォォーーーン!
俺がそう聞いた瞬間、大砲が近くに落ちた。
あまりの爆風に馬車が横倒しになる。
「うわっ!あぶねっ!」
慌てて馬車から飛び降りる俺たち。
「くっ……。まずいですわ」
「メイジー、大丈夫?」
クロエが慌ててメイジーを抱える。
俺は改めて戦闘している軍を見た。
戦っているのは前線の兵士らしい。
一般市民は後方に見えるため、まだマルタの村人などに被害は無さそうだったが、一刻の猶予も無いように思えた。
「サタン様、ダリア軍が押されています。このままでは壊滅も近いかもしれません……」
「だから相手は誰なんだよ?帝国軍か?」
「い、いえ。帝国騎士団などが出てきてしまうと、本格的な国と国の戦争になってしまうため、"ある人達"に鎮圧を依頼したようです」
「ある人達?」
そして、カトリーナはその名を告げた。
「バッドボブ海賊団だよ……」
「マジで!?」
俺は思わぬ名前に息を呑んだ。




