帝国労働省へ貧しい村がガチで反乱する
俺は親父にマルタの現状についてマジ顔で説明した。
「本当なんだ。村の子供なんてみんなガリガリだし。しかも村長の婆さんもクソみたいな税収者にボコボコにされててさ。ほんとヤバいんだよ」
表情は見えなかったが、親父は顔を伏せて考え込んだ。
「待て。酒が入ってしまっているから、しっかり記憶する。『85%』か。85……やご……はっこ……はこ……箱入り娘……」
「いや、語呂合わせかい!それくらい普通に覚えろよ!」
親父のアホっぷりにツッコんでしまったが、とりあえず話を戻す。
「マルタがそんな状況って、おっさんは知ってた?」
「いや、そんな話は聞いていないが……」
「マジか……。一応、村長の息子が労働省に入ってるらしいんだけど、それでも85%らしい」
「ふむ……。通常ならあり得んことだ」
「やっぱりそうか。税に関しての担当者っているのか?」
「あ、ああ。各市町村の税率や税の徴収に関してはゲイルという人間に一任している。まさか彼が……」
話を聞くと、どうやら"ゲイル"という人間が大きく関わっているようだ。
その件は親父にとっても寝耳に水だったらしい。
「あんたから一言、マルタの件をゲイルに伝えてもらうことってできないか?」
「う、うむ。どうしたものか……」
顎に手を当てて考え込む。
「なんか引っかかるのか?」
俺はマルタの現状を頭に浮かべながら少し目を細めた。
「あ、ああ。それが、前任の者が退職したのを機に、帝国政府の勅命でゲイルが労働省に配置されたんだが、その、ゲイルというのは、皇帝陛下の又甥に当たる人間でな……。あまり関わり合ってこなかったというか……」
歯切れの悪い親父に少しイラッとする。
「いや、そりゃ皇帝絡みならそうかもしれないけどさ。でも、マルタが追い詰められるのと関係ないんじゃないの?事実、そうなってんだから調査しなきゃ」
俺は少し早口になってしまった。
「う、うむ。そうだな。忖度しては、民に示しがつかぬ」
「そうだよ親父さん。あんたの方が立場は上なんだから。頼むよマジで」
親父は相変わらず浮かない表情だったが、少し決意を固めたようだった。
そして、そんな話をしていると、親父の携帯ポーポーが鳴った。
「……はい、アルコットです。……うん。どうした?」
電話先の声がかなり大きく、何やら慌てている様子が伺えた。
「……は?なんだって!!?それで……!?あ、ああ。わかった。こちらでも確認してみる。……はい、はい」
電話を切った瞬間、親父は顔を伏せた。
「どうした?」
俺が聞くと、親父は青ざめた顔で言った。
「マ、マルタとフィルディアが独立国家ダリアと手を組んで反乱を起こしたらしい。労働省に向けてダリア軍が進軍中とのことだ」
「あ!?反乱!?」
俺は思わず立ち上がった。




