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最強酒乱親父が放つ無数の"水の剣"

「おい!メイジー!なんなんだお前の親父は!!」


俺は大声で抗議するが、親父はまだチェーンソーのように高速回転する水の剣を俺に向けてきている。


「婚約破棄は許しませんぞ……」


「いや、意味わかんねーよ!」


ひとまずここにいてはまずいと思った俺は、居間の窓から翼で庭へ飛び出した。


「ん!?」


その俺の姿を見て、酔っぱらい親父の目が変わった。


俺は外に飛び出して空中で体勢を整え、着地しようする。


が、次の瞬間、親父が俺の真横に現れ、思いっきり斬りかかってきた。


ヴン……!


「っぶね!!」


すんでの所でかわしたが、恐るべきスピードだった。



「……なんだ貴様。モンスターではないか」



その瞬間、親父は覇気を纏う。


「ちげーよ!!」


「しかもその身のこなし……。まさか、魔王級モンスター"ゼロ"か?」


「だから違うって!」


俺は大声で潔白を証明する。


「二度とメイジーの結婚に間違いがあってはならんと、私が見極めようとしてみれば……。浮気男の次は魔王級モンスターとは……」


「いや、話聞けよ!」


「まぁ本来ならもう騎士ではない私が首を突っ込む話ではないのだが、『帝国労働省事務次官』という立場的に、魔王級モンスターを娘の旦那にすることはできん」


「いや、結婚しないから!」


「それに、"元帝国騎士"という肩書き上、さようなら、とすぐに見逃すこともできん」


「お、お父様!その方はモンスターではありませんわ!!私を助けてくれたと申し上げたでしょう!」


「メイジーよ……」


「くっ……」


親父は深く腰を落とした。



(ーーーーーー来るッ!!!)




「洗脳、乙!!!」



その瞬間、俺は真紅の瞳を発動し、状況把握する。


(あれっ!?……親父がいねぇ!!)


迫ってきているはずの親父の姿は無く、代わりに水しぶきが舞った。




ーーーそして。




「な、なにぃーーー!?」




空中を真紅の瞳で見ると、そこに飛んでいたのは、俺の『左腕』だった。




慌てて体勢を立て直し、親父を見る。


どさり、と音を立てて腕が地面に落ちた。


「……ふん。娘にどう取り入ったのか知らんが、洗脳術もここまでだ」


水のチェーンソーを親父が俺に向ける。


「ちっ……。めんどくせーな!」


俺は残った右腕にエネルギーを溜める。


そして、真紅の瞳で親父を捉えた。


親父と共にあのヤバい剣も赤く光る。


(問題はあの水の剣だな……。さっき腕を吹っ飛ばされた時もそうだが、恐らく形状を自由に変えられる物だ。あのチェーンソーはフェイクの可能性が高い……)


「何か観察しているな?……遅いわ」


そう言うと、親父は水の剣を天に掲げる。


すると、チェーンソー状だった剣が、8本に分かれた。



「うわぁーー!これはめんどくさい!!」



次の瞬間、8本が俺を同時に襲った。


真紅の瞳で動きを読みながら、全てかわしていく。


一回かわしても、方向を変えて地面から再び突き出してきたり、分かれた剣がさらに細かく分かれたりして、確実に俺に迫る。


「大方、婚約破棄で落ち込んだ娘の心に取り入り、結婚詐欺でも働こうとしたのだろう。下賤の魔王級モンスターが!」


水の剣が一斉に迫ってきた瞬間に飛び退いて、お互いの剣がぶつかり合い、水しぶきとなって飛び散った。


「だから誤解なんだっつーの!!俺は魔王級モンスターとかじゃない!単なるプーチューパーだ!!」


「…………」


「…………」


「より、娘はやれんな」



「おい、おっさん!プーチューパー舐めんなよ!」



なぜかカトリーナがキレた。


「まぁよい。その腕では君の方が不利だろう。それに、カトリーナさんと言ったかな?君が先ほどから向けているのは動画だろう?」


「そ、そうだけど……。いきなりおっさんが斬りかかったんだから、許可とか取らないぞ!」


「安心なさい。むしろその動画はプーチュープに流してほしいんだ。私の"やってる感"が世間に伝わるからね」


「なんだよそれ……」


「それに、今剣を交えてわかった。彼は悪いモンスターではなさそうだ。……腕は、すまないことをした」


親父は弾き飛ばした俺の腕を見ながら言った。


「ったく……。わかればいいよ……」


そう言うと、俺は吸血鬼の血を使って腕を引き戻し、瞬時に腕を再生した。


「!?……無傷だというのか……!?」


親父は目を見開いたが、それ以上何か言ってくることはなかった。



そして、酒乱親父とのワイン会が再スタートした。

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