父親を探す少年と交わした"約束"
「皆さんどうも、こんにちは!『カトサタンおんえあ』のカトちゃんと」
「誰か俺を殺しておくれよーーー!!不死身のサタちゃんと〜〜?」
素人の少年に対して無茶ブリ過ぎる動画の入りを強要し、ニヤニヤしながらトスする。
「バンバン!ハロープーチュープ。どうも!!ローエングリンです!」
「挨拶あるんかい!」
「しかも名前カッコよすぎだろ」
敬礼のようなポーズをキメてカッコつける少年に思わずツッコむ。
「おい!お前、さっき動画に出ると個人情報がどうのとか抜かしてたよな。なにさりげなく入りの挨拶キメてんだよ」
「い、いや、動画クリエイターになったらこの挨拶やりたいと思ってて……」
「そこまで考えてるなら個人情報とかガタガタ言ってんじゃねーよ!!」
ローエングリンは舌を出しておどけてみせた。
「はい、カトちゃん。進行進行」
「あ、そうだった!……はい!ということで、今回は『ピッピンプンスカ教会の闇を暴いてみた!』の企画で新しい情報が入ったので緊急で動画を回してます」
「新展開ありましたね〜」
俺はいつも通り適当に相槌を打つ。
「それがなんと、彼、ローエングリン君のお父さんが、ある日おかしくなって、ピッピンプンスカ教会に向かった、という情報です。それについて語ってもらえるかな?」
カトリーナはポーポー公爵を向けると、ローエングリンは語り出した。
父親がおかしくなった原因の怪物ウニの話、その後狂ったように『ぺぺン』としか言わなくなったこと。
そして何も言わずに教会へ向かったこと。
さらに今飲食店で信者らしき怪物ウニ中毒者に襲われたこと。
全て動画に向けて語ってくれた。
「……ということなのです。だから、我々はピッピンプンスカ教会への疑念をより強めました。そして、数日後には今回のことも含め、教会へインタビューしようと思っています」
「色々聞いてみたいですね〜」
「そして、彼のお父さんもついで……いや、しっかり探し出して、彼の元に帰るよう説得したいと思います」
「帰らせましょう」
「では、また続報があり次第、お届けしたいと思います!それでは皆さん、行きますよ〜?」
カトリーナと俺、ローエングリンもほっぺを膨らませて怒った表情になる。
「最初はプンプン!じゃんけんポイッ!」
ポーポー公爵に向けてチョキを出して固まる3人。
「バァーイ」
「「いや、お前が締めるんかい!」」
俺とカトリーナはローエングリンに思いっきりツッコんだ。
その後、俺たちはピッピンプンスカ教会のあるペペロニアへ向かうべく、場所に乗り込んでいた。
「サ、サタンさん!父ちゃんをよろしくね!お、俺、待ってるから!」
ローエングリンが馬車の横からこちらに叫ぶ。
「ま、約束はできんが善処する」
俺はぶっきらぼうに答えると、ローエングリンは涙目で俯いた。
まだ10歳そこそこの少年が、唯一の肉親である父親に家出されたのだ。
不安でないはずがなかった。
それを明るく振る舞ってひた隠していたのだろうか。
今の少年の肩はとても弱々しく見えた。
「サタン」
「ちっ。わかったよ。……ローエングリン。必ず親父は連れ帰ってやる。約束だ。だからメソメソすんな」
「う、うん!!」
ローエングリンは涙を拭いながら俺たちに笑顔を見せた。
そして馬車は動き出す。
「じゃあな」
「ローエングリン!またね!」
「ごきげんよう」
「またな。少年」
それぞれが馬車から顔を出して挨拶する。
それに対して、ローエングリンも大きな声で挨拶してくれた。
「バァーイ」
「もうええわ」
ピッピンプンスカ教会の闇を暴くべく、俺たちはペペロニアへ向かった。
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